IS DESTINY ~蒼白の騎士~   作:ELS@花園メルン

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オリジナル戦闘回になります。


覚悟の剣

SIDE アスラン

 

 

「でぇぇい!」

 

 

俺はキラの動きから予測できる移動先に対して、アムフォルタスプラズマ収束ビーム砲とビームライフルを放つ。

それにより、キラは回避先を変更するが、そう誘い込むことが狙いだった俺はビームライフルを放ち頭部を狙った。それをキラはシールドでガードするが、それで正面の視覚を遮ることができ俺はここでビームライフルをキラへ向けて放り投げる。

そして、ガードを解除したところで20mmCIWSを先ほど投げたビームライフルに放ち、ライフルを爆発させる。

シールドを除けた無防備な状態でその爆発を受けたフリーダムは体勢を崩し、俺はそこを突きヴァジュラビームサーベルで追い打ちを掛け、フリーダムを墜とすように切りかかった。

 

 

「終わりだっ、キラ!」

 

 

俺はこのままフリーダムにビームサーベルを振り下ろすことでそのまま終わると思っていた。

しかし、ここで思いも寄らぬ乱入者が現れた。

 

 

『やめろ!アスラン!』

 

 

ストライク・ルージュがこちらへ突進を掛けてきて、フリーダムに切りかかる俺を突き飛ばした。

 

 

「ぐっ…。

カガリ…、君か」

 

『アスラン…なんでお前とキラが戦う必要があるんだよ!?』

 

「理由…か。

それは現時点でお前たちがミネルバの脅威であるということを理解して言っているのか?」

 

『脅威?何を言っている!

私達はこの戦闘を止めにきただけで…』

 

「その結果が何だ!!

実際に戦闘を中止させることができたか!?

オーブ軍が撤退したか?

違うだろう!!

ただ、向こうを駆り立て火に油を注いでいるに過ぎないんだ!」

 

『そんなつもり…私には——』

 

「そもそも、何故お前がオーブを離れる必要がある!

代表であるお前が国にいて、中から国を変えることができていれば、そもそもこんな争いすら起こっていなかったんだよ!」

 

『だが、あのまま国にいてもセイラン家の傀儡にしかならなかった!』

 

「それで守るべき国民のいる国を離れ、外から呼びかけている…と?

それこそセイラン家の思う壺だと何故分からない!

代表であるお前が国を出てしまう事こそがオーブの為にならないことぐらい分かっていた筈だ!」

 

 

 

実際、どうだ?

セイラン家は俺がオーブにいたころから何かと企んではいたが、カガリがいたことで自重していた。

しかし、今、そのカガリがいないということは必然的に力のあるセイラン家が国を牛耳っていることに変わりは無い。

 

 

『なら君は、カガリにあのまま結婚してしまえと言っているのかい?』

 

 

先ほどまで無言だったキラも会話に乱入してきた。

 

 

「国を、国民を思うのならそれは必然だったと俺は思うが?

昔の話になるが、俺だってザラ家とクライン家の婚約があった身だ。

そういった国を背負う立場の人間にとってそういうことはいずれは起こりうる出来事だったはずだ。

国をより纏め上げる上で必要なことだ。

カガリ、君はオーブの平和と婚約、どちらを選ぶんだ?」

 

『そんなもの国の平和に決まっているだろう!』

 

「ならばこそ!国の中にいて動く必要があったんだ!それをお前は!」

 

『ならカガリの気持ちはどうなるんだ!?』

 

 

ここで再びキラが乱入する。

 

 

「何も捨てることができない奴に、何かを守ることなんてできないんだよ!

かつてのプラントやオーブの代表だってそうだ。

ずっと何かを犠牲にして、自分たちの国を守ってきてるんだよ!

自分が綺麗なままで何かを救えるだなんて、ただの夢でしかない!

そんな夢をかなえるまで国民はどうする?待てばいいのか?」

 

 

父上だって…、パトリック・ザラだってそうだ。

プラントのより良い発展の為に、俺や母上よりも仕事を選んだ。

そうしなければプラントは衰退するからだ。

 

今のオーブだってきっとそうだ。

国民の安全という重いものを背負っているからこそ、理念を捨ててまで勢力の大きな大西洋連邦の傘下に入っている。

それを『悪』だとは、俺は思わない。

どんな代表者だって自分の下にいる人を救うことが何よりの願いだからだ。

 

結果的にはオーブはプラントにとっての敵になってはいるが、それは【ロゴス】という裏で糸を引くものがいるからだ。

 

 

『だけど、君の言うことも分かるけど…。

でも、僕たちはオーブが争いに巻き込まれるのを抑えるためにここにいるんだ。

カガリだってこんなことになるのが嫌で、泣いていたんだ!

君だって、カガリが泣くことを望んでいないはずだ!なら道を———!』

 

 

そうキラは俺を押し通ろうとする。

 

 

「俺はザフトの軍人だ。

俺だって何かを犠牲にしてここにいるんだ!

ミネルバを守るために、俺はお前に負けるわけにはいかないんだ!」

 

 

俺はSEEDを発動し、キラを迎え撃つ。

カガリは俺たちを止めようとしてはいるが、止められずにいた。

 

 

 

SIDE シン

 

 

アークエンジェルが現れ、アスランがそちらに向かい、フリーダムの相手をしている中、ミネルバ付近で俺たちはオーブ、地球軍の接近を防いでいた。

 

 

「でぇぇい!」

 

 

ミサイル、レール砲、ケルベロスビーム砲などの火砲をフルに活かし、地球軍のダガーやウィンダム、オーブ軍のアストレイやムラサメを落としていった。

 

 

『シン、カオスとピンク色のウィンダムが来てるわ!

カオスはイチカが押さえてるけど、ウィンダムの方をお願い!』

 

 

と、ルナに通信を送られ、俺はインパルスをフォースへと換装させ、一機だけ色の違うウィンダムを落としに向かった。

 

 

「はぁぁ!」

 

 

ウィンダムにビームライフルを放つが、それを躱され、ビームサーベルで切りかかってきた。

それを機動防盾で防ぐと、同時に接触回線で通信が入って来る。

 

 

『全く、やってくれるね、ザフトのエース君は!

ステラとアウルは君たちが連れて行ったんだろう?』

 

 

コイツ、ステラたちのことを知ってるのか?

ということは、この男がファントムペインの隊長でステラたちが【ネオ】って呼んでいる奴か。

 

 

「そうだが、それがどうしたんだよ!

兵器としか見ていないお前たちの所にいるよりもマシだと俺は思うけどな!」

 

『何をバカな!

ステラたちのことは大切な存在だと思っているさ!』

 

「なら、なんでパイロットとして戦わせてるんだよ!

ステラの気持ちを知っているんだろう!?

彼女は死ぬのが怖いと震えていたんだ!

なのに、死と隣り合わせのMSに乗せて、それで大切だと!?ふざけるな!」

 

『なら君がステラを守るっていうのか?』

 

 

そんなのとっくに決まってるさ。

 

 

「当り前だ!

彼女を戦争の無い暖かな世界へと連れて行って見せる!

そのために俺は、一刻も早く戦争を終わらせるんだぁぁぁ!!」

 

 

ステラを守りたい、そう強く願った俺の中で種が割れた気がした。

あの時の地球軍の大隊を相手にしたときと同じような感覚だった。

 

 

今ならコイツの、インパルスの力を発揮できる!

 

 

「うおぉぉぉぉ!!」

 

 

競り合っていた俺とウィンダムの拮抗を打開するため、俺はスラスターの出力を落とす。

そうすることでシールドをはじかれ、無防備になってしまう。

 

 

『終わったぞ、ザフトのエース君!』

 

「甘い!」

 

 

俺はインパルスのドッキングを解除し、胴体と下半身を分けることでウィンダムのビームサーベルを躱す。

 

 

「はぁぁぁ!!」

 

 

ビームサーベルを躱した俺は、ビームライフルでコクピット後部をロックオンした。

けど、曲がりなりにもステラを思っていたコイツを殺すことは、ステラにとって辛いことかもしれない、と思い、俺はウィンダムの高機動型用バックパックのスラスターを撃ち抜き、飛行できないようにし近くの敵機へ蹴り飛ばした。

 

 

「メイリン、ソードシルエット!

敵母艦への攻撃を開始する!

マユ、対艦攻撃の援護を頼む!」

 

『は、はい!』

 

『分かったよ!』

 

 

俺はシルエットフライヤーがこっちへ飛んでくるまでに敵母艦へ接近し、迎撃部隊の数を減らしていた。

マユも援護に向かってきて、艦の護衛を行っていたムラサメやアストレイを落としていく。

 

 

『クソッ、もうやめろ!!』

 

『フリーダム!?』

 

 

アスランが足止めしていた筈のフリーダムがこちらへ来ていた。

じゃあ、アスランは!?

アスランは金色のムラサメとそれにあれは…ストライク!?その二機のMSを相手にしていた。

 

 

『お兄ちゃん、行って!あれは私が抑えるから!』

 

「ありがとう、マユ!」

 

 

俺はソードへ換装して一番近いイージス艦へと着地する。

迎撃を行おうと、艦上の機関砲がインパルスを撃つが全く効いていない。

 

 

「うおぉぉぉぉ!!」

 

 

俺は対艦刀エクスカリバーを艦砲部分に突き刺し、攻撃が止んだことを確認したら次の艦を無力化しに向かった。

次も同じように艦砲を切り、切り、切り、一際大きな護衛艦タケミカズチへ飛び乗ると、そのブリッジに俺の見覚えのあるオーブ士官がいた。

 

 

「貴方は、トダカさん?」

 

『君は、シン・アスカか。

やはりパイロットになっていたのだな。

なら君の家族も?』

 

「はい、貴方のお陰で俺たちは無事、プラントへ渡ることができました」

 

『…そうか。

なら、最後に私を撃て。

この艦の指揮官は私だ。

それで、この戦闘においてのオーブ軍は負けを認めることだろう』

 

「な、何を!」

 

『私は、間違っていると分かっていながら、ミネルバへの攻撃指示を出した。

だからこそ、せめてもの償いを——「ふざけるな!あんたにはまだやれることがあるはずだろ!」―――――やること?』

 

「間違っているって分かるのならそれを正すことだってできるんだ!

オーブを変えることができるのはきっと、あなた達みたいな人なんだよ!

だから、こんなところで終わろうとしたらいけないんだ!」

 

 

あの日、家族を失って途方に暮れた俺たちに新たな道を示してくれたその人が、こんなところで諦めるなんて…。

なら、俺があなたに新たな道を示すんだ!あの時みたいに!

 

 

『…そうか。

まだ、子供だろうと思っていた私が愚かだったということか…。

ならば、私も動こう。

君の言うやれることを私も探してみるとするさ』

 

 

そう言って、トダカさんは通信を切った。

俺はタケミカズチの主砲を破壊し撤退した。

 

 

 




ちょっと今回はイチカ空気でしたが、次回、
イチカとスティング。マユとキラ。アスランと金ピカ&ストライク。
を書こうと思います。


あと、今回のアスランの訴え如何だったでしょうか?
若干、私の考えも入っておりますが、変だったなら申し訳ありません

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