IS DESTINY ~蒼白の騎士~ 作:ELS@花園メルン
SIDE イチカ
俺はマユが後退した後、ミネルバへ向けて進攻してくる敵MSを相手にしていた。
マユがこっちへ戻ってきた後も敵の勢いは止まず、MS部隊がどんどん押し寄せてきた。
そのMS部隊の中にカオスと色の違うウィンダムを確認したが、ウィンダムは迂回してミネルバへ向かっていった。
俺とマユは数の多い方を受け持ち、残りをシンたちに任せ、カオス率いるMS部隊を相手にした。
「カオス、ならあいつがスティングか!」
俺はカオスにビームライフルを放つがMA形態のカオスの機動力により難なく躱された。
カオスは脚部ビームクローを展開し、すれ違いざま俺に切りかかってきた。
大気圏内での戦闘のため、カオスのバックパックのポッドは外せないため、武装の数は少なくなってるけど、ガイアやアビスと違って、脚にも武装があるから油断ができない。
俺はジャスティスのリフターを切り離し、その上に飛び乗り、カオスを追いかける。
このままじゃ埒が明かないな…!高機動型の足を止めるには宇宙ならデブリが使えるけどそんなものこんな海には無いからな…。
俺はビームブーメランを左右へ投げ、少しでも逃げ道を塞ごうとした。
幸い、それを回避するためにカオスは下降し、海へ向かったため、俺は海面に向けてビームライフル、バラエーナプラズマ収束ビーム砲を放ち、目くらましのための水しぶきを巻き上げた。
そのまま俺はカオスを追いかけるようにリフターから飛び降り、カオスの機動兵装ポッドをデファイアントビームジャベリンで切り裂いた。
これにより、カオスの高機動は封じることができたので、俺はそのままカオスを海へ蹴り落とし、リフターに乗り他のMSを落としに行った。
SIDE アスラン
時間稼ぎという意味ではある意味成功なのだが、俺はフリーダムを落とせないことに少し、焦りを抱いていた。
向こうは核エンジンを搭載していることでほぼ無尽蔵に戦えるのに対し、こちらはエネルギーの残量が残り三割を切っていた。
カガリのストライクはキラにここを任せたと確認したら、オーブ艦隊の方へ向かっていった。
が、途中でオーブ軍に足止めをされていた。
機体のエネルギーが尽きてしまえば、それこそフリーダムに落とされてしまう。
それまでに何としても戦況がこちらへ傾いて欲しいものだ。
しかし、そんな願いは叶わず、こちらに対してアークエンジェル方面から攻撃が飛んできた。
「!?」
咄嗟に躱すことはできたが、その隙にフリーダムが俺を抜け、敵艦を襲撃しようとしているインパルスの方へ向かっていった。
フリーダムを追尾しようとしたが、そこに二本のビームが降り注ぐ。
「援軍だとっ!?
このままだと、キラが…!」
アークエンジェルから増援で向かってきたのは、黄金のムラサメとストライクだった。
「ストライクだと?
あの機体は確か、ヤキンでの戦いで大破したと聞いていたが、アークエンジェルが回収したのか?
だが、身を隠していたアークエンジェルがあそこまで復元させられるはずがない…。
ええいっ!!」
俺はビームサーベルを抜き、ムラサメに切りかかる。
しかし、それはシールドで防がれてしまう。
『やるねぇ、流石は元ジャスティスのパイロットなだけはあるな?』
「その声、バルトフェルド隊長!?
何故、ここに!?
いや、そもそもなんで貴方の様な指揮官がいながら、キラやカガリを止めなかったんですか!?」
『ん~?
それはねぇ~『敵に余計なことを喋るな、バルトフェルド』おぉっと、怖い怖い。
まあ、強いて言うならこれは前々から計画していたことってことかな?』
「それはどういう――クソッ!」
バルトフェルド隊長が敵に回っていたとは予想外だった。
仮にも部隊の指揮官を任されていたほどの人が、このような無謀な戦いに手を貸すとは…。
しかし、もう一人の声は一体?
機械音声だったから分からなかったが、ストライクを扱えるパイロットが今までのアークエンジェルにいたとは思えない。
それに、前々からの計画と言っていたが、それはこの戦いへの介入事態だとは思えない。
もっと、別の何かを行おうとしているようにも、取れる。
しかし、それ以上考えることを許さないかのように、ストライクから攻撃が飛んでくる。
ストライクはインパルスの様にバックパックを自在に変えて戦う機体だが、このストライクは三種類のバックパック複合の【パーフェクトストライク】と呼ばれる装備だった。
フリーダムの様な高火力を有していながら、対艦刀やブーメラン、しかも高機動パックを装備していた。
「くそっ、こんな伏兵が用意されていたとは…!」
俺はシンが敵旗艦を落としてくれることを願って、この二機を相手にしていた。
残るエネルギーは二割…、シン頼んだぞ…!
SIDE マユ
お兄ちゃんがオーブ艦隊への攻撃を開始するとき、フリーダムがそれを阻止しようとこちらへ飛んでくるのが見えました。
私はお兄ちゃんの攻撃の邪魔をさせないため、フリーダムを相手に戦い始めました。
「また、あなたですか!」
『くっ、退いてくれ!
その機体じゃ、フリーダムには!』
ビームサーベル二本を使って切りかかって来るフリーダムをシールドで一本防ぎ、もう片方をビームサーベルを持つ腕を掴み、防ぎました。
「お兄ちゃんの邪魔はさせません!
…貴方は、私が止めます!」
『ぐっ、退いてくれ!!』
フリーダムが腰のレール砲を放って、私を無理矢理引きはがしました。
衝撃で一瞬、吐きそうになりましたが、フリーダムを追いかけます。
「逃がしません!貴方を止める…、何があっても!!」
私の中で前の戦闘のときみたいに何かが割れる感じがして、頭が一気にクリアになりました。
私は、フリーダムの動きを止めるべく、死角から一気に詰め寄り、ビームサーベルで切りかかりました。
「はぁぁ!!」
『ッッ!』
しかし、それを読んでいたかのようにフリーダムは躱し、代わりにこちらの腕を持っていかれました。
「強い...!
けど、片腕が無くても...!!」
シールドを投げ、そこにビームライフルを撃つことで反射させ、フリーダムの肩の装甲を削る事に成功しました。
さらに、少しでも時間を稼ごうとバラエーナプラズマ収束ビーム砲を連射で放ち、足止めを行います。
しかし、フリーダムはそれを難なく躱し、私に切りかかってきました。
片腕を失ってシールドのみで防ぐしか無かったので、私は2本のビームサーベルを防ぎ切ることが出来ず、もう片方の腕、足を切られ、成す術なく落とされてしまいました。
『その力は危険なんだ。
だから、ごめん、落とさせてもらうよ』
最後にフリーダムのパイロットはそう言ってきました。
どの口がそんな事を...!
私はそう思わずにいられませんでした。
条約違反の核エンジンを搭載した機体。
そんなものを持ち出しておいて危険なのはこっち?
けど、私にはどうすることも出来ずただ、海へ落ちていきました。
最後にかろうじで見えたのは敵の母艦を落とすインパルスの姿でした。
お兄ちゃん、やったんだね...。
作戦は成功しました、けど大事な機体を失ってしまい、私は帰艦するお兄ちゃんに拾ってもらい、ミネルバへと戻りました。
一応、グダグダになりますが、ダーダネルス辺りはここで終わります。
賛否両論になると思いますが、次の章で、1度種死編を中断するかもしれません