IS DESTINY ~蒼白の騎士~   作:ELS@花園メルン

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イチカの戦い

NO SIDE

 

吹雪荒れているベルリンの大地。

地球連合軍の母艦【ボナパルト】にて一機の巨大なMAに一人のパイロットが搭乗した。

 

 

『GFAS-X1 デストロイ、スタンバイ』

 

 

そう、管制官の声を聞き、パイロットはシステムを立ち上げ、発進可能な状態にする。

 

 

『いいか?お前は最前線へと向かい、迎撃部隊や歯向かう者全てを焼き尽くすんだぞ?

そうすることでザフトに殺されたお前の母親も喜んでくれるさ。

頼んだぞ、アウル』

 

 

と、ネオ・ロアノークは荒唐無稽な嘘を述べる。

しかし、デストロイの搭乗者【アウル・ニーダ】にはそれが真実だと思わせられるように記憶を操作されていた。

 

 

「ザフト……お前たちがっ、母さんを…!!」

 

 

悲痛な呻き声をあげると、アウルは機体を母艦より発進させた。

破壊の名を持つ機体が今、蹂躙を開始する。

 

 

 

SIDE イチカ

 

 

俺たちミネルバクルーは今、補給と修理を終え、ジブラルタルへ向かう前にベルリンへ向かっている。

理由は、地球軍の大規模侵攻がベルリンへ向けて行われており、現地のザフト守備軍では対応が間に合わなくなっているからだ。

 

しかし、こちらも前回の戦闘でマユ、レイ、ルナの機体を失っており、今は俺とシンとアスランの機体のみという戦力不足が否めない状況になっていた。

 

 

「今回の貴方たちの作戦内容は可能な限りの時間稼ぎよ。

現在、現地民の人たちが避難している途中なのだけど、未だその作業が滞っているわ。

だから、レイたちにもその作業の手伝いをしてもらう間、MSが無事なあなた達がなるべく敵の意識を空へ向けてちょうだい。

それと、現地の情報を見るに、巨大なMAが戦場に現れたらしいわ。

その大きさは我々が今までに見たサイズのMAとは比べ物にならないものよ」

 

 

そう言いながら、艦長はその敵の外見の分かる映像を見せた。

 

 

「ちょ、ちょっと、これってデカすぎない!?」

 

「ああ、おおよそMS三機分ほどだろうな」

 

「こんなのが今、ベルリンで暴れてるんですよね…」

 

 

ルナ、レイ、マユがそう機体の姿を見て話した。

 

 

「どうする、アスラン?」

 

「恐らく生半可な攻撃では通らないだろうな。

かと言って、インパルスの装備をソードやブラストにしたとしても、それでは機動力が損なわれて却って的になるだろう」

 

「なら、やっぱりフォースシルエットとセイバー、ジャスティスによる高機動での攪乱が一番ってことか」

 

「グラディス艦長、敵の装備に関して分かることはありますか?」

 

 

出撃する俺たち三人は如何に敵に仕掛けるかを練っていた。

アスランは武装の情報も欲しいので艦長に情報を仰ぐ。

 

 

「そうね。

今のところは、左右2門計4門の高出力のビーム砲と、敵のフライトユニットの円周上に配置されているビーム砲とミサイルランチャーが確認されているわ。

後は、実際のものを見ないと分からないわね」

 

「分かりました。

なら、俺たちはベルリン付近で出撃。

状況に応じて接近して攻撃だが、飽くまでこちらの目的は陽動だ。

それに他にも敵は大勢いるだろう。

そちらへの注意も忘れるな」

 

「「はい」」

 

 

ミネルバはベルリンを目指し突き進んでいった。

すると、徐々に周りが雪の大地に変わっていき、さらに進むと、雪の大地が惨状と化していた。

俺の世界でもベルリンという街はあった。

ISの世界大会【モンド・グロッソ】を行うための巨大な競技場。

そういう有名な建造物があるほどに大きな都市だった。

けれど、そんな感じを一切見せないほど、この街は廃墟と化していた。

倒壊した建物、燃え上がる炎、そして奥に巨大なMSが見えた。

 

 

「何で、何でこんなことを!」

 

『イチカ、シン、発進するぞ。

残存戦力も危うくなっている。

アスラン・ザラ、セイバー、発進する!』

 

『了解!

シン・アスカ、コアスプレンダー、行きます!』

 

「イチカ・オリムラ、フェイク・ジャスティス、発進する!」

 

 

俺たちは巨大なMSの侵攻を止めるべく、向かっていった。

 

 

『三人とも聞いて。

別方向にアークエンジェルの姿が確認されたわ。

恐らく、フリーダムも既に戦場にいると思われるわ。

向こうもやるべきことは分かっていると思うけれど、充分に注意して!』

 

 

艦長にそう言われ、俺たちは了解の意を示した。

 

 

「どうする、アスラン?

また前みたいに邪魔をしてくる可能性もあるけど」

 

『やることは変わらない。

俺たちは都市の人を安全に避難させられるように動くだけだ。

しかし、向こうの出方次第では、攻撃するようにしてくれ』

 

『あいつ等、またここで暴れるつもりなのかよ!』

 

「…まずは敵の火砲を破壊した方がいいかもしれない。

そうじゃないと避難どころじゃないぞ」

 

 

俺は巨大なMSにバラエーナプラズマ収束ビーム砲を放つ。

しかし、それはビームシールドに阻まれ、弾かれてしまった。

 

 

「嘘だろ!?

あの巨体をビームシールドで覆ってるのか!?」

 

『不味いな、それではこちらの装備は効かないようなものだぞ』

 

『アスラン!避けろ!』

 

 

アスランのセイバーへビームが降り注ぐ。

アスランはそれをシールドで防ぎ、被弾は免れた。

セイバーへ攻撃を行った機体を確認すると、それはフリーダムだった。

 

 

「あいつ、また邪魔を!!」

 

『フリーダムは俺が止める。

シン、イチカ、そちらは任せる』

 

「了解!」『ああ!』

 

 

アスランはフリーダムへ、俺たちは地球軍の部隊へそれぞれ機体を向けた。

 

 

 

 

SIDE アスラン

 

 

アークエンジェルが来ているという知らせがあったから、お前はここにいるんだろうという予感はしていたさ、キラ。

だが、何故このタイミングで俺を撃つ?

今、最優先事項はあの巨大な機体から街を守ることだろう?

 

しかし、俺の声はあの戦いでも分かったが、キラには届いていないのだろう。

 

ならば、墜としてでも帰らせるしかない!

それにキラ一人に時間を割くわけにはいかない。

一気に決めなくては!

 

俺はビームライフルをフリーダムへ向けて放つ。

同じようにフリーダムも俺を狙ってビームライフルを撃って来る。

 

それを回避したとき、違和感を感じた。

 

 

何だ?いつものキラの戦闘と何かが違う…。

一体、何だ?

その違和感を抱いたまま接近するのは不味いと判断し、俺は一旦距離を取る。

 

すると、俺やフリーダムを撃つために、地球軍のMSが数機こっちへ接近していた。

 

俺は自分に向かってくる機体をビームサーベルで切り抜け、更にビームライフルで後ろから撃つ。

 

そして俺はキラへ抱いていた違和感の正体を知った。

 

 

 

フリーダムが、キラが、敵機体のコクピットめがけてビームサーベルを突き刺していた。

これまで、キラと共に戦ってきたことは何度もあった。

しかし、その時には決まって武装やメインカメラなどを破壊する【不殺】の方法をとっていた。

それが今のアイツはどうだ?

フリーダムめがけて攻撃を仕掛けるウィンダムのすべてにコクピットへの攻撃を行っていた。

 

アイツに一体、何があったというんだ……!

 

 

 

SIDE イチカ

 

 

クソッ、大きいだけには留まらず、この火力…!

これでは全然近づくことも出来ないぞ!

 

 

「何で、こんなことを平然としてるんだよっ!

何で、お前たちは…!!」

 

『イチカ、ウィンダムの隊長機がそっちへ行ってるぞ!』

 

「!分かった!」

 

 

ネオ・ロアノーク…、お前たちは一体、何をしたいんだよ!

 

 

「はぁぁぁ!!」

 

 

ウィンダムめがけてデファイアントビームジャベリンを振るう。

それはシールドで止められ、向こうもビームサーベルを振るってきたので、それをシールドで受け止めた。

 

 

「貴方たちは、一体何の目的でこんな大量虐殺を行っているんだ!ネオ・ロアノーク!!」

 

『君か、ザフトの兵士君。

強いて言うなら、アレはアイツの意思だよ。

家族を、ザフトに奪われたアウルの、ね?』

 

「アウル…だと!?

アレに乗っているのがアウルと、貴方はそう言ったのか!?」

 

『ああ、そうだ。

アレに乗っているのは君が俺に引き渡したアウル・ニーダ、本人だ』

 

「…何をしたんだ…!

アイツに!一体、何を!!」

 

『何、衰弱しかけていたからね、少し調整したに過ぎないさ。

後、記憶も弄ったな。

家族を母親を殺したのはザフトだっていう記憶を、な』

 

 

何だよ、それ…?

どこまで、あなた達は…、お前らは腐ってるんだ!!

 

 

「クソッ!!」

 

 

俺はウィンダムを蹴り飛ばし、アウルが乗っているMSに急接近する。

 

 

「アウル!俺だ!

イチカだ!聞こえたら返事をしてくれ!!」

 

『…す。

……殺す。

ザフトを…!母さんを殺した奴を!!』

 

 

アウルのそんな狂気染みた声が聞こえた。

それと同時にMSの手が外れ、無線誘導兵器となり、俺にビームを放ってきた。

 

 

『イチカ!近づきすぎてる!一旦、離れないと!!』

 

「シン、あれにアウルが乗ってるんだ!」

 

『アウルが!?

…くそっ、連合の奴ら、いつまでこんなことを!』

 

 

カオスが俺を落とそうと接近してくる。

それを俺はシールドで受け止める。

 

 

『見つけたぜぇ!この前の借りそのまま返してやるよ!!』

 

「スティング…!

お前、アウルにあんな事させて、何も思わないのか!?」

 

『ああ?アウルって誰の事だよ?

それより、あんな機体があるんだったら俺に乗せろよな、ネオの奴…』

 

「な、何だよ、それ?

お前も、そんなに人殺しをしたいのか?」

 

『あ?決まってんだろ?

あんなでっかいので引き金を引けば、それだけでたくさんの機体をぶっ潰せるんだぜ?

最高に決まってるだろうが!!』

 

 

 

スティングも、以前、出会った時のような雰囲気ではなく、人殺しを楽しむような性格に変貌していた。

調整を繰り返して、人を殺すことを快楽のように思わせるなんて…。

 

 

「ふざけるなァァァァァ!!!」

 

 

俺の中で種が割れる。

シールドに力をこめて、カオスを吹き飛ばし、横から蹴りとばす

 

 

『何だよ、コイツ、急に!?』

 

「お前が、お前たちが調整されて作られた兵士だっていうのは分かるさ!

でもっ!それでもっ、戦争で人を撃つことを喜んでいるなんて、間違ってる!

だから、俺がっ!!」

 

 

俺はデファイアントビームジャベリンを抜き、カオスのコクピットに突き刺す。

 

 

「お前たちみたいなのが二度と作られない様に、戦うからさ…。

だから、ゆっくりと眠っててくれ、スティング」

 

『……ああ、お前に任せたぜ、イチカ。

これで俺も夢を見られるかな?』

 

「見れるさ、平和な世界の夢を、な」

 

『それは、楽しみだ…』

 

 

カオスが落下し、爆発する。

悲しんでなんかいられない。

まだ止めるべき相手がいるんだから、俺は戦う!

 




なんか、エクステンデッド組が悲惨に思えてきた…

それとネオがとってもクズくなってる気がします・・・。
次回、デストロイを止めるための戦いの続きです。


それと、ISアーキタイプブレイカー始まりましたね。
皆さん、どんな具合でしょうか、ガチャは?
自分はISカードは貰えるのを含めると星5は4枚です。


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