IS DESTINY ~蒼白の騎士~ 作:ELS@花園メルン
SIDE イチカ
俺はアウルを止めるべく、巨大なMSに向かい攻撃を開始した。
接近し、無線誘導兵器の手をデファイアントビームジャベリンで切り裂き、そのまま背中のフライトユニットにある巨大なビーム砲塔を両断する。
「アウル!
聞いてくれ、アウル!!」
俺はアウルが聞いてくれるのを信じ、呼びかけ続けた。
しかし、それを邪魔するかの様にウィンダムが突撃を仕掛けてくる。
『あの機体はやらせん!』
「邪魔をするな!!」
ビームブーメランを投げ、腕を切断し、飛んでこれない様にバックパックをCIWSで破壊する。
『何ッ!?うあぁぁぁ!』
「俺は、アンタを信じてアウルを帰したんだ。
なのに…!」
ウィンダムがベルリンの大地に落ちたのを確認すると、再び巨大MSを止めるべく、俺は攻撃を開始した。
しかし、そこへビーム砲が飛んでくる。
「今度は何だ!?」
飛んできた方角を確認すると、そこにはアスランが前の戦場で戦っていたストライクがいた。
ストライクは対艦刀を振りかざし、こっちへ切りかかって来る。
アウルを止めないといけないのにっ!
SIDE アスラン
キラの行動に驚いたが、俺は機をうかがい、フリーダムにアムフォルタスプラズマ収束ビーム砲で攻撃を行う。
しかし、それをフリーダムはこちらを見ずに宙返りすることで躱し、そのままこっちへ斬りかかってきた。
「何だ、この動きは!?」
今までのキラとは違うと分かってはいたが、その動きに俺は驚き気づいたときにはセイバーの右腕を切られていた。
「しまった!?」
追い撃ちを掛けようと、フリーダムはこちらへビームサーベルを振るってくる。
それにより頭部が破壊され、いよいよこっちの後が無くなってきていた。
「仕方ない…か。
すまない、セイバー。
お前をイージスと同じように扱ってしまう…」
俺は、セイバーの残った片腕でフリーダムの腕を掴み、脚で胴体にしがみつく。
そして、コクピットハッチを開き、脱出の準備を整えて自爆用のキーを入力する。
これは俺がかつてキラと戦った時に乗っていたMS【イージス】で行った戦法だった。
それによりかなりの怪我を俺は負ってしまったのだが、今は怪我なんて考えてられないと思い、セイバーから飛び降りる。
20カウントで自爆するようにセットしたので間もなく爆発するだろう。
俺はパイロットスーツに取り付けられている非常用スラスターを使って着地する。
カウントが0になり、セイバーが自爆し、その爆風でフリーダムは吹き飛ばされる。
これで、少しでも被弾してくれればいいのだが、と俺は淡い希望を抱いていたが、現実はそう甘くは無かった。
他のMSなら可能性はあったが、フリーダムは装甲もかなりの強度で大した損傷を負っていなかった。
フリーダムは別の戦闘空域へ飛んでいったが、俺はアイツに、キラに何があったのか分からないでいた。
SIDE シン
ウィンダム部隊を撃墜し、巨大MSを止めようと思いそちらへ機体を向けた。
イチカはアークエンジェル部隊のストライクと戦っていたので俺がやるしかないと思い、アウルを止めるため巨大MSに接近した。
「アウル!お前、なんでこんなことしてるんだよ!」
『ザフトを…!母さんを殺したザフトを…!!』
そう、アウルは呻いていた。
俺が、フリーダムが父さんたちを撃った時からつい最近まで抱いていた憎しみの気持ちに似ていた。
だからこそ、俺はアイツの苦しみを解放してやりたいと思った。
「イチカ、あいつを楽にしてやってもいいか?」
戦闘中だと分かっていたが、俺はイチカに確認をとる。
『シン!?それってつまり…!』
「ああ。
アイツを楽にしてやりたいんだ。
ステラの仲間だから助けてやりたい、だけどいつかアイツがこの光景を作ったのが自分だって知ったら、それこそアウルが壊れてしまうかもしれない。そんなことにならない為にも…!」
俺は、イチカに酷な選択をさせていると思う。
自分の選択で友人の生死を決めてしまうのだから。
『…ああ頼む、シン。
お前にだからこそ任せられると思うんだ、俺』
イチカはそう決断した。
俺はどうするんだろう…。もし、ステラがアウルのようにベルリンを焼くようなことをしていたら…?
俺はイチカのように決断できたのだろうか…。
俺は自分の中のリミッターを外す意識をし、ミネルバに指示を送る。
「分かった。
メイリン、ソードシルエットを!」
ミネルバから射出されたソードシルエットから対艦刀【エクスカリバー】を二本取り、一気にアウルの近くへ接近する。
すると、巨大MSの頭部にあるビーム砲に光が収束し、ビームを放つ体制になっていたので、そこに対艦刀を一本突き刺す。
そして、残った最後の一本の対艦刀で胸部にある三門のビーム砲の中心を突き刺す。
「アウル…、恨んでくれてもいい。
けれど、こうすることが多分、一番いいと俺は思ったんだ。
いつか、平和な世界が来たら改めて謝罪させてくれ」
俺は対艦刀が刺さったところから火花を放つ巨大MSから離れ、そう倒れ行くMSに向かって言った。
巨大MSやエース格のMSがやられたことで地球連合軍の部隊は総崩れとなり、ベルリンのこれ以上の被害は食い止められることができた。
アークエンジェルやフリーダム、ストライクはあの大型MSデストロイを俺が破壊したのを確認してから戦場を離脱していた。
SIDE イチカ
戦闘が終結し俺たちはベルリンの住民で被害にあって逃げ遅れた人がいないか、捜索していた。
そんな中、俺は倒れたデストロイのコクピット付近に灰色と水色のパイロットスーツを着たアウルを見つけた。
既にその体は冷たくなっていて、死んでいるのだと分かった。
せめて、安らかに眠れるようにと、俺はベルリン近郊にある湖でアウルにささやかな水葬を行った。
「もう一緒にバスケしたり、会話したりできないけど、ここでならゆっくり眠れると思うんだ。
だからせめて、誰にも邪魔されない夢の中で、世界の平和を待っててほしい。
すぐには無理だけど、いつかお前のところに行くからさ。
……じゃ、あ、おやすみ…アウル」
俺はアウルの身体を湖に沈めた。
暗く深い湖の底へアウルの身体が消えていく。
それを見ながら俺は泣いていた。
「友達を…こんな風に見送るなんて……こんなの、辛すぎるだろ…!?
アイツら、街で会った時は全然、パイロットって感じがしない普通の人間だったのに…!
なんで、こんなことを平然とやらせるんだよ…!!」
俺はベルリン市街のザフト駐屯地へ戻った。
そこでラジオからデュランダル議長の放送声明が流されるというので、それを聞いていた。
『私は、プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルです。
今日、私がお話しするのは本日あった辛く、悲しい出来事についてです。
遠方でお住まいの方はご存じないと思いますが、本日、ベルリンにて地球連合軍の大規模侵攻がありました。
彼らは、大量のMSと一機の巨大なMSを持ち出し、罪もないベルリンの市民を焼き払っていきました。
幸い、今は勇敢なザフト兵士のお陰で事態は収束しています。
ですが、悲しいことに地球連合軍はその大量虐殺を一人の子供にやらせていたという事実が発覚しました。
その子供は既に亡くなりましたが、連合はその子を薬物による暗示により兵士に仕立て上げ、引き金を引かせていたのです。
以前、私はとある連合の施設でそういった実験を行っていた痕跡を発見しました。
そこにはたくさんの子供の死体が転がっており、いずれも実験の材料、成果の確認のために殺されていたのです!
確かに、我々ザフトでも少年兵はいます。
ですが、彼らは自ら平和の為に立ち上がり、自国を守るために戦っています。
けれど、地球軍はどうなのでしょうか?
中には自ら志願した者もいることでしょう。けれどその裏で、不幸なことに薬でむりやり戦う道具として扱われる子供が存在しております!
この放送を聞いている方々にお聞きしたい。
それをこのまま放置しておいていいのでしょうか!?
大人の方に問います。自分の子が薬のせいで無理矢理戦わされることにあなたは喜べますか?
子供に問います。自分の友人が無理矢理戦わされることに、何も感じないのでしょうか?
私は、この度の事実を知った際、非常に心が痛みました。
同時に、そのような行いを実行している輩を許せないという気持ちでいっぱいになりました。
私は、平和を望む人、ただ愛する人と共に暮らしたいと願う人を支持すると共に、その行いを邪魔しようとする者もいます。
彼らは【ブルーコスモス】という組織を作り上げ、その裏で暗躍し、自分たちの利益の為に人々に武器を持たせ、何があっても戦いをやめようとしない者たち、【軍需産業複合体 ロゴス】。
世界の平和を阻害せんとする組織と私は全面的に戦い、真なる平和を掴み取ることをここに宣言します!』
議長の言葉と共に複数人の顔写真が表示された。
【ロゴス】、以前議長も仰っていた組織か…。
本当にこれで戦いが終わるっていうなら、俺は最後まで戦って見せる…。
それがアウルやスティング、死んでいった人たちへの償いにもなると信じて!
もう原作との相違だらけですけど、この方向性で進めていきたいと思います。
それと、一つアンケートを取らせてほしいんですけども、
このSSはイチカが主人公なのですが、IS世界にイチカが戻り、メインヒロインのマユやサブ主人公のシンと別行動をとる感じになるんです、今後。
その時に、
1.イチカの方のみのストーリーを書くか。
2.マユ、シンを視点としたイチカがいないときのストーリーも書く
のどちらがいいでしょうか!?
活動報告にアンケートで聞きたいと思います。
【IS世界にイチカが戻った後…】
ってタイトルで活動報告に出してます