IS DESTINY ~蒼白の騎士~ 作:ELS@花園メルン
『一夏……なのか…?』
「ああ、そうだぜ。
お前の幼馴染の織斑 一夏だ」
『今まで、どこにいたというんだ!?
姉さんから、行方不明だと言われ!
千冬さんの家に戻ってきたから安心したら、それは偽者だと教えられ!
私が、一体どれだけお前を心配していたか分かるか!?』
箒は泣きそうな声で俺にそう怒鳴ってきた。
確かに、すごく心配を掛けたと思う。
「…ごめん。
帰るに帰れなかったんだ」
『……んん!ま、まあ、それなら仕方あるまい。
それで今は姉さんの所にいるんだな?』
「ん?ああ。
今、束さんにISについて教えてもらってるんだ」
『IS?何故、お前がISについて勉強している?
お前は男だろう?』
「実はね~!
いっくんもISを動かせるんだよ~!」
束さんが箒に対してそう暴露した。
『へ…?』
ああ、もう束さんがいきなりそんなことを言うから箒、戸惑ってるじゃないか!
「で、箒ちゃんにお願いがあるんだけどさ」
『ちょ、ちょっと待ってください、姉さん。
頭が追い付いてなくて……』
やはり箒は混乱していた。
『す~は~す~は~……。
大丈夫です、続きをどうぞ』
「いっくんの手助けを箒ちゃんに頼みたいんだよね。
IS学園でのさ」
『一夏の手助けをですか?
もしかして、一夏は何か危険なことに巻き込まれているんですか?』
束さんの頼みに箒はそう疑問を返した。
「巻き込まれたっていうより、その出来事の対処を俺がやらないといけないんだよ」
『説明してくれないか?
いきなり幼馴染の手助けをしてくれと頼まれても、何をやっているのか分からないことに首を突っ込みたくはないのだ』
と、箒は言うので、俺は俺の身に起きたことを説明した。
数年前に誘拐され、何の経緯か分からないが別の世界へと飛ばされたこと。
そこはISなんて存在せず、こっちの世界とは根本的に違うこと。
コズミック・イラの世界で軍に入り、戦っていたこと。
その過程で束さんと連絡を取ることができ、そこで俺の偽者、コズミック・イラのMSと同じ外見のISが現れたことを知り、束さんの協力の下、こっちの世界へ戻ってきて今に至るってこと。
『ううむ…、何とも奇怪なことが起こったものだな…。
それで一夏はそのコズミック・イラの世界から派遣された人員ということなのだな?』
「ああ。
向こうでこっちの西暦世界について詳しいのは俺しかいないしな」
『ならば、私もできるだけ協力しよう。
ですが、姉さん。
一夏の外見はどうなさるおつもりですか?
世界中では一夏の偽者の方を本物として見ています。
同じ外見の人間が現れたら後から出てきた一夏の方が怪しまれると思いますが…?』
「そこは束さんにお任せあれ!
実はいっくんの為に偽装戸籍とかの準備を進めながら、変装用のアイテムを開発してたんだよ!」
束さんが取り出したのはミーアがラクス・クラインの姿に変装するときに使っていた端末と同じようなものだった。
「これさえあればいっくんの姿はあら不思議!
事前に決めておいた見た目に早変わりできるんだよ!
それと、声は……変声機でも使えばいっか」
『見た目の方に意識向けてて、そっちは無計画だったんですね…姉さん』
まあ、それによって身分や顔、声なんかの問題は解決したし良いか。
『では、私はIS学園で一夏と共にいればそれでいいのですか?』
「う~ん、それでもいいんだけどね。
一応、偽者はいっくんに化けてるんだし、偽者の方に近づかなければちーちゃんからも少し怪しまれそうな気がするんだよね?
だから、程よく偽者とも行動を共にして欲しいんだよ」
と、束さんは箒へ伝えた。
『…なるほど。
それもそうですね。
では、その様に私も動こうと思います。
それではこの辺で失礼します。
あまりに長いと護衛の人が怪しむと思うので』
「ああ、またな、箒。
IS学園で会おう」
「ばいばい、箒ちゃん!
また電話してね!」
『ええ。
失礼します』
それで箒との通話を終了し、食事を終えた俺たちは三人で皿洗いをして、また各自別の行動を開始した。
「束さん、ここってどこか銃を撃てる場所ってありますか?」
「銃?
う~ん、ラボの隅っこにしょぼいのだったら作ってるけどそこでいい?」
「はい。
お借りしてもいいですか?」
「いいよいいよ~!
だって、作った割に全く練習に使ってないもん」
で、クロエに案内され射撃場―――とは言い難い小さいスペースで射撃の練習を行った。
それと同時に頭で色々と考えていた。
俺の偽者。
一体、何の目的で成り代わるようにして千冬姉たちの前に現れたんだ?
俺の居場所を無くすことで向こうに何の得があるのか…。
フリーダムのIS。
束さん曰く、情報が少ないがその力は現行のISでは太刀打ちできず、各国も捜索を行っているけど尻尾を掴めない。
白騎士事件の真相。
白騎士のコアが言っていたミサイル基地のハッキングを行った黒幕。
世界では束さんがやったという情報が出回っていたが、それは偽りの情報だと白騎士は言っていた。
この三つがすべて繋がっているとしたら、それは何年も前から仕組まれていたことになるってことだ。
フリーダムと白騎士事件の真相を確かめることは今はできないから、俺の偽者の正体を掴むためにIS学園で探らないとな。
それから数日が経過し、束さんの部屋でISについての勉強を粗方終え、実際にISを動かすことになった。
「それじゃあ、いっくんはこの開発途中のに乗ってね!
ちなみに、これは箒ちゃんへ渡す予定のだから!くれぐれも壊さないでよ…!!」
「わ、分かりました」
俺は赤い装甲のISに身を預け、楽にした。
すると、たくさんの情報が一斉に頭に流れ込み、俺の視界が光で包まれ、思わず目を閉じた。
目を開けると、身長が伸びたかのように目線が高くなっていて、手を動かすと機械の腕が動いた。
「うん!無事、起動できたね!
それじゃあ、飛んでみよっか?」
「は、はい!?
いきなり飛ぶんですか!?
やっぱり最初は歩いたりするんじゃ…?」
「う~ん、まあそうなんだけどね?
いっくんなら何とかなりそうだし良いかな~って思ってさ」
良くない!全然良くないですよ!?
と、いう叫びを俺は出さずに飲み込んだ。
どの道、いずれは飛ぶ必要があるんだからその順番がずれただけだ…!
そう、心に言い聞かせ、飛ぶイメージをした。
モビルスーツで地球や宇宙を飛んでいた時のイメージを。
モニターに映る景色が自分の動きで変わっていく、あの感じを。
そうすることで、ISが浮き、ゆっくりと上に上昇していく。
「あ!いっくん!
その機体の名前は仮だけど【赤椿】って名前だからね!」
「はい。
少しの間よろしくな、赤椿」
俺がそう、自分の乗っているIS【赤椿】へ言うと、装甲が少し煌いたように見えた。
赤椿を操り、ゆっくりと空へ上昇し、一定の高さで停止した。
『じゃあ、いっくん!
そこで少し自由に飛んでみようか!』
「は、はい!」
俺は初めて搭乗したということもあり、ふらふらとではあるが、ラボの上をゆっくりと飛行した。
『うんうん!やっぱりいっくんにはISを扱う才能があったんだね!
ちーちゃんの弟だからかな?
…それとも、いっくん自身が…』
束さんは一人でぶつぶつと俺が動かせる理由について考察していた。
俺はそんな束さんを他所に、慣れるためにMSのテストで飛ぶような軌道を描き、練習を行った。
初日のIS稼働はこの程度で終了したが、思ったより疲労がたまり、俺は疲れ切っていた。
なので、そのままラボの割り当てられた自室の布団に倒れこみ、意識を闇に落としていった
一応、アンケートの結果が2番が圧倒的に多いということで、2番の方向で進めていきます!
専用機はもうジンで確定かな・・・?
今、出ている箒に渡す予定のIS赤椿ですが、
質問にもあったのですが、紅椿ではなく、赤椿です。
理由としては、束さんもまだ4世代を造れていないからその試作機が赤椿ということになっています