IS DESTINY ~蒼白の騎士~   作:ELS@花園メルン

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インフィニット・ストラトス編 本編
入学初日 前


これは、前よりはマシだが結構キツイな……。

俺、カムイ・リンクスは食堂で受けた視線同様のものをここ、1年1組の教室でも浴びていた。

だが、その視線の数はクラスの内、半分程度は別の奴へ向けられている。

【織斑 一夏】。俺が【イチカ・オリムラ】としてコズミック・イラでザフトの軍人として戦っていた時に突如、俺に成りすまし織斑家に現れた男。

 

織斑一夏が先頭のど真ん中の席に座っているので、窓際の真ん中あたりに座っている俺よりもそっちへ視線が集中していた。

ちなみに、箒は俺の座っている席の列の先頭に座っている。

すると、前のドアが開き、山田先生が教室へ入ってくる。

 

 

「皆さん、おはようございます!

ようこそ、IS学園へ!皆さんの御入学を心より歓迎致します!

私は副担任の山田真耶と申します。これから1年、皆さんと共に頑張っていきますのでよろしくお願いします!」

 

 

と、山田先生は教壇へ立ち、自分の名前を黒板サイズのスクリーンへ写し、自己紹介を始めた。

 

 

「「「「「.........」」」」」

 

「「よろしくお願いします、山田先生」」

 

「は、はい!よろしくお願いしますね!篠ノ之さん!リンクス君!」

 

 

しかし、クラス内は謎の緊張感?に包まれていて、返答したのは俺と箒の二人だった。

 

 

「では、自己紹介を出席番号順でお願いします。

最初は相川さんから!」

 

「はい!出席番号1番!相川清香です!―――――」

 

 

と、相川さんから自己紹介が始まり、そのまま何人かが自己紹介を行い、次に織斑一夏の番になった。

しかし、山田先生が呼ぶにもかかわらず、彼は反応せず何かを考えたままだった。

 

 

「織斑君?織斑君?」

 

「!?は、はい!」

 

「あの、自己紹介で『あ』から始まってて今『お』なんだよね。自己紹介してくれるかな?ダメかな?」

 

 

と、山田先生が申し訳なさそうにへこへことした態度で織斑へ尋ねていた。

…山田先生、そんなに弱気にならなくても……。

俺は検査試験の時の山田先生と今の先生の雰囲気の差に少し呆れていた。もっと、堂々とすればいいのに、と。

 

 

「んん!!…え、えーと、織斑一夏、です。よろしくお願いします」

 

 

織斑は短くそれだけ口にした。

しかし、周りの生徒はそれで終わることを許さないかのように、鋭い視線を織斑へ浴びせていた。

そして、その視線を受けた織斑は意を決したかのように息を大きく吸い込み、

 

 

「―――以上です!!」

 

 

と、短く言った。

一体、何を言ってくれるのだろう、と期待していた他のクラスの人たちはその予想外の一言で何人かズッコケていた。

そして、そのドタバタでクラスの殆ど、俺と箒以外は教室へ入って来る人に気づかなかった。

ああ、今だけは織斑へ同情しよう…。

心の中で俺は織斑へ同情し、織斑の頭へ攻撃が降り注ぐのをただ眺めていた。

 

織斑千冬という、我が姉の出席簿チョップという攻撃を。

 

ズドンッ!

 

出席簿らしからぬ音が響き、織斑は頭を押さえ、クラスの人たちは音の発生源へ目を向ける。

 

 

「げ、げぇ!?千冬姉!?」

 

「織斑先生だ、馬鹿者!!」

 

 

更に出席簿が頭へ炸裂した。

 

 

「山田先生、HRを任せてしまってすまなかったな」

 

「あ、いえ!先生、会議はもう終わったんですか?」

 

「ああ。――諸君、私が担任の織斑千冬だ。諸君ら新入生に基礎を叩き込むのが私の仕事だ。

私の言うことはよく聞き、理解しろ。分からないなら分かるまで指導してやる。ただし、分からないままにしておくことは許さん。それと、逆らってもいいが、逆らうならばそれ相応の対応を見せてもらうぞ?いいな」

 

 

と、織斑先生は一息に話した。

あれ?少し、態度が軟化してるか?

昔だったら、「私の言うことには、はい、かyesで答えろ」的なことを言ってたと思うけど、分からないなら分かるまで教えるとか絶対言わなかっただろうな。

 

と、俺が考え事をしたせいで、その後の兵器の対応に遅れてしまった。

 

 

「キャーー!!千冬様、本物の千冬様よ!!」「ずっと、ファンでした!!」「私、お姉さまの為なら死ねます!!」

 

 

と、様々な声がクラスを埋め尽くし、俺の耳はやられてしまった。

な、なんだ、これは…?戦略兵器か…?

と、一瞬勘違いしていしまうほど、耳が死にかけた。

 

 

「―――はぁ、何故、私のクラスにはこれだけ馬鹿者が集まるんだ?」

 

 

と、織斑先生はやれやれと頭に手を置いていた。

 

 

「で、貴様は満足に自己紹介の一つもできんのか?」

 

「い、いや、俺は、ちゃんとしてますが・・・?」

 

「馬鹿者、どこがだ?」

 

 

そう言いながら、織斑先生は再び織斑をしばく。

 

 

「まあいい。それで、山田先生?自己紹介はどこまで済みましたか?」

 

「今、番号順で織斑君まで済んでいます。多少、時間を費やしてしまいまして…」

 

「はぁ、まだ数人ですか…。仕方ないな。

では、リンクス!時間の都合もあるから代表でお前が自己紹介をやれ。

他の奴らも気になっているだろうしな」

 

 

と、織斑先生は俺を指名してきた。

薄々、そんな予感はしていたから、俺はスッと立ち上がり、話し始める。

 

 

「カムイ・リンクスです。年は皆さんより一つ上の16歳です。

ニュースなどで話題になりましたが、篠ノ之博士の下で保護され、養子として暮らしていた際にISを扱えることが分かりました。とはいえ、皆さんと同じ初心者です。一緒に頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。―――最後に、篠ノ之博士とは親子の関係ですけど今、あの人がどこにいるかとかは分からないのでその辺の質問はお答えしかねます」

 

 

そう言って、席へ座った。

 

 

「ふむ、なかなか良い自己紹介だ。

しかし、リンクス。自己紹介なのだから、もう少し自分の事を話すべきだ。

分かったか、織斑、自己紹介とはああいうことを言うんだ。

分かったら座れ」

 

 

そして、HRは終了し、授業までの間、小休止が挟まれた。

クラス内だけでなく、廊下からも他クラスの生徒が男性操縦者を見に来ている中、箒が俺の元へきて話しかける。

 

 

「カムイ、大丈夫か?色々と」

 

「ああ、箒。視線には大分慣れてきたよ。

にしても、箒こそよくこの視線の中で話しかけてきたな」

 

「視線は関係ないさ。それに、私とお前は一応、家族のようなものだぞ?

家族と話すのに誰かの許可がいるのか?」

 

「それもそうだな」

 

 

と、箒は周りにも聞こえる感じで話す。

形式上、俺は束さんの息子なので、箒は叔母に当たる。

周りが俺や織斑に対して話しかけ難い状態だが、こう話しかけることで、特に違和感を持たれることなく箒は話すことができる。

 

 

「え、篠ノ之さんて、リンクス君の家族なの?」「ほら、篠ノ之博士の養子だから」「ってことは、篠ノ之さんは博士の妹なんだ~」

 

 

と、周りも解釈し、俺と箒が話している状態をクラスの皆は家族の会話っていう風に見ていた。

しかし、

 

 

「よ、箒、久しぶりだな」

 

「…織斑」

 

 

俺がIS学園に入学した理由でもある本人、織斑一夏が気さくな感じで箒へ話しかけてきた。

 

 

「なあ、屋上言って話そうぜ!」

 

「悪いが、今は家族と話してるんだ。

後にしてくれ」

 

「別にいつでも話せるだろ?

な、お前もいいよな?」

 

 

と、俺に対して聞いてくるが、その眼はどこか俺を不審、異質と言った思いがこもっていた。

 

 

「いいよ、箒。

後で話そう。昼食の時でもまた話せばいいんだからさ」

 

「……ああ、分かった」

 

 

で、織斑は箒を連れて教室を出た。

俺は箒の端末宛てにメッセージを送っておいた。

 

 

『乗り気じゃ無かったのに無理に向かわせてごめんな』

 

『気にするな。何とか情報を抜き出せるように努力する』

 

 

と、返信が返ってきたので、少し安心し端末を閉じ、次の講義のための参考書を取り出した。

チャイムが鳴る少し前に箒が教室へ戻ってきて、後から不機嫌そうな織斑も戻ってきた。

そして、授業が始まり、山田先生が授業の進行を始めた。

 

 

「ISはその運用においては現時点では国家からの承認が必要であり、もし違反、逸脱した運用を行った場合は、アラスカ条約によって罰せられます。

では、アラスカ条約について、そうですね―――リンクス君、説明をお願いします」

 

「はい」

 

 

俺は返事をして席を立った。

その時、山田先生及びクラス全員が俺の方を向いてきた。

男性IS操縦者がどれほどの知識を持っているのか、という興味があるんだろうか。

俺は束さんの資料や参考書を基に勉強した内容を話す。

 

 

「アラスカ条約、正式にはIS運用協定はISという現行の兵器を遥かに上回る性能を持った力を日本に対して諸外国がISに関しての情報の開示、研究、共有を目的として定められました。

条約には、研究のための国家機関の設立とISという圧倒的な力を軍事利用してはならないという物などが存在しています」

 

「はい、その通りです!

では、その国家機関について、織斑君!二つお答えください!」

 

「うぇ!?」

 

「…なんだ、織斑、事前に参考書を渡しておいたはずだろう。

山田先生の質問に関しての答えは最初の数ページ以内に書かれている。

―――待て、お前、参考書はどうした?」

 

 

織斑先生は織斑へそう尋ねた。

そう言えば、織斑の机にはノートと筆記具しか出ていないな。

 

 

「古い電話帳と間違えて捨てました!」

 

 

織斑は潔くそう言った。

織斑先生は見かねて、織斑の頭へ出席簿を振り下ろした。

 

 

「はぁ、山田先生、申し訳ありませんが別の人へお願いします」

 

「わ、分かりました。では、布仏さん――――」

 

 

こうして、織斑の無知さを証明するかのような授業が終了した。

 

 




織斑の正体について分かった人はいるでしょうか(ノーヒントのくせに何を言ってんだか)

次回は縦巻きロールさんの登場になります。
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