IS DESTINY ~蒼白の騎士~   作:ELS@花園メルン

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今回、少し短めな内容になっております。


戦争の始まり

SIDE イチカ

 

 

俺がアスカ家に引き取られてからすでに三年ほど経過し、俺とシンは13歳。

シンの妹のマユは12歳になっていた。

 

こっちの世界に来てからは義父さんと義母さんが本当に色々教えてくれて、こっちでも普通に学校に通うことができた。

家族って今まで千冬姉しかいなかったもんだから、全然知らなかったけど、両親の愛っていうものを初めて受け、こんなにも暖かいんだって思った。

そのせめてもの恩返しとして、千冬姉と暮らしてた頃からしてたように家事をこなし、家での皆の負担を減らせるように努力した。

他にも、いつ元の世界に帰れるか分からないからこっちで働けるように工学系の資格の勉強をしている。

 

俺が住んでいる国【オーブ連合首長国】はモルゲンレーテと呼ばれる国営の大規模な工場があり、将来そこで働けるようになるために、【ヘリオポリス】とよばれる資源衛星コロニーで勉強したいと思っている。

 

 

義理の兄妹のシンとマユとの関係も良好で、

シンとは家族兼親友の様になっており、スポーツなんかの競い合いをいつも行っている。

マユは幼馴染の【凰 鈴音】のような活発な子でたまに俺やシンも手を焼くことがある。

 

 

 

今日も俺はいつものように家で朝飯を作っていた。

 

 

「おはよう、イチカ。

いつも悪いわね、家事を任せちゃって」

 

「おはよう、義母さん。

気にしないでくれよ、俺は好きでやってるんだし。

こうでもしないと何も返せそうに無いからさ。

それより義父さんたち起こしてきてくれるか?そろそろ出来上がるし」

 

「はいはい、ありがとね。

あ、シン、おはよう」

 

「ふわぁ、おはよう」

 

 

階段を下りながら、ぼさぼさの髪を掻くシンが起きてきた。

 

 

「おう、シン。

相変わらず朝、酷いな」

 

「うるさいな。

イチカ、ミルク」

 

「はいはいっと」

 

 

その後、マユや義父さんも起きてきて、朝食を摂り始めた。

 

 

「うん、やっぱりイチカのごはんは上手いな。

これ普通に店でも出せるんじゃないか?」

 

 

と、義父さんが言ってくれた。

 

 

「ホント、イチカの料理ってたくさん食べれちゃう!」

 

 

とマユも言ってくれた。

マユは普段、俺の事は呼び捨てで呼ぶ。

なんかこっちの方がシックリくるとのこと。

 

 

「…太るぞ」

 

 

ボソッとシンが言っちゃいけないことを言ってしまう。

 

 

「お兄ちゃん、うるさい!

ちゃんと運動してるから平気だもん!」

 

 

と、談笑しながら食べていると、

 

 

 

『緊急報道です!

ただいま、地球連合軍が農業用プラント【ユニウスセブン】への核攻撃を実行したとの連絡がありました!』

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

・・・今、なんて言った?

核攻撃?地球連合がプラントに?

これってつまり、戦争ってことか?

 

 

 

「嘘・・・でしょ?」

 

「これは・・・・」

 

「・・・・」

 

「な、なんで?」

 

 

皆、茫然としていた。

【地球連合軍】は遺伝子操作を行われていない人類【ナチュラル】によって構成された軍隊で地球が主な活動圏内になっている。

それに対するのが【Z.A.F.T.】と呼ばれる遺伝子操作によって生まれた【コーディネーター】によって構成されている組織だ。宇宙のプラントにて活動している組。

この二つの人種によってこの世界では差別、紛争などが起こっていた。

オーブはいわゆる中立国でそのどちらにも所属していなかった。

アスカ家はみんなコーディネーターだったが、俺は正直どっちなのか分からなかった。

 

 

 

「シン、イチカ、マユ。

今日は三人とも学校を休んでくれないか?」

 

「え、なんで?」

 

「戦争に発展してしまったら物資の不足なんかがこの国でもいつかは起こるかもしれない。

その前にある程度の避難できる準備を蓄えておこうと思うんだ。

いくら中立と言ってもあんなことが起こったならここもいつ戦火に巻き込まれるか分からないからね」

 

 

それから、3人で街に出て生活必需品や長持ちする食料を買い漁り、家の倉庫へ備蓄しておいた。

俺とシンはその後防災グッズの点検をしながら話をしていた。

 

 

「なあ、シン大丈夫なのかな?オーブってさ」

 

「大丈夫?」

 

「ああ、戦争の影響が出るのは仕方ないかもしれないけどさ、オーブが戦場になったりしないのかなってさ」

 

 

中立ということはつまり、どちらからも攻撃の対象となるってことだ。

それをオーブの代表【ウズミ・ナラ・アスハ】様は分かっていると思うけど、俺は不安だった。

 

 

「正直、俺に言われても分かんないよ。

でも、ハウメアの守り神が付いてるんだからさ、きっと大丈夫さ」

 

 

と、シンは言った。

 

 

「あはは、シンが神頼みするって珍しいな」

 

「な、なんだよ!こんなの、一個人がどうにか出来るわけ無いだろ!?」

 

「ま、そうだよな。

神にでも祈るしか無いってわけか...」

 

 

と、俺達は笑いあった。

でも、人生そんなにいい事ばっかが起こるわけじゃない。

楽観視していた俺らに降り注いだのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絶望だった。


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