IS DESTINY ~蒼白の騎士~   作:ELS@花園メルン

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学校生活

SIDE シン

 

 

俺たちが士官学校入学してしばらくして、ヤキン・ドゥーエで行われていた戦争がようやく終結した。

結果は地球軍、ザフトともにクライン派及びオーブ軍の介入により痛み分けで終わった。

 

ザフト側はパトリック・ザラ議長や大勢の兵士を失い、地球軍もブルーコスモスのムルタ・アズラエル、同じく多くの兵士が戦死した。

これを教訓に戦争なんてもう起こらなければいいのに・・・、と俺は思った。

 

 

 

士官学校の訓練の内容は主に生身での格闘戦、銃撃戦の訓練、モビルスーツの運用のためのシミュレーション、基礎体力作りだった。

知識面はモビルスーツ工学、機械工学、その他一般教養など、幅広い分野の勉強を行っていた。

 

幸い、俺たちの中にはそれぞれの科目が得意というメンバーが何人かいたので、科目に応じて教え合いなんかを行い、最初の1年の試験を無事に終えることができた。

 

 

「はぁ~!やっと終わった~!!」

 

 

俺は自室でぐてっとしていた。

 

 

「おい、シン。

怠けすぎると癖になっちまうぞ」

 

 

同じ部屋のイチカにそう諭された。

 

 

「いいじゃんか、今日くらいさ。

折角、試験も終わったんだしのんびりさせてくれよ」

 

「ま、それもそっか。

俺は射撃の訓練してくるよ。ちょっと上手くいかなかったからさ」

 

 

そう言って、イチカは部屋を出ていった。

さて、少し寝ようかな・・・。

 

 

 

SIDE イチカ

 

 

俺は射撃場へ向かうと、そこで待機している教官に訓練用の銃と模擬弾を借り、空いている場所へ向かった。

 

パァン!パァン!

 

俺はそもそも銃を撃つような機会がこれまで全くなかったので的に写っている人のシルエットを正確に撃ち抜いたり、などという技術は特になかった。

 

でも、前々から勉強していた機械工学やモビルスーツ理論などは上位に入れるような点を取ることができ、実技のナイフ格闘術や無手格闘術では、シンには及ばなかったが上位に食い込むことができた。

 

 

『訓練生は直ちに講堂へ集まれ!』

 

 

と放送が入り、俺は銃を教官へ返して講堂へ向かった。

講堂には既に何人か集まっており、各兵科ごとに列になっていた。

俺も並んで教官が話し出すのを待つことにした。

 

 

「それでは、本日まで行われていた試験の結果を発表する。

それでは筆記総合の方から、

一位【レイ・ザ・バレル】」

 

 

おお!と、どよめきが起こった。

レイ・ザ・バレルは確か、長い金髪の男の人だった気がする。

そのまま何人か呼ばれてゆき、

 

 

「七位【イチカ・オリムラ】」

 

 

俺の名前が筆記において上位で呼ばれた。

 

その後、九位、十位でシン、ルナマリアも呼ばれた。

 

 

「続いてナイフ実技の発表を行う!

一位【シン・アスカ】。

二位【レイ・ザ・バレル】」

 

 

と、シンの名前とレイの名前が呼ばれる。

その次は筆記では名前を呼ばれなかった人が呼ばれていた。

 

 

「五位【イチカ・オリムラ】

六位【マユ・アスカ】」

 

 

俺の名前の後にマユの名前も呼ばれた。

操縦科にいる人でマユのことを知らない人たちは、オペレーター科から実技上位者が出たことに驚いていた。

 

 

「続いて射撃実技の発表を行う!

一位【レイ・ザ・バレル】」

 

 

!?またあいつが一位!?

一位を二つってことは今回のトップはあいつか!?

 

 

「三位【マユ・アスカ】

四位【シン・アスカ】」

 

 

マユが再び上位に入って、シンはマユの一つ下だった。

近くにシンがいたのでシンを見てみると、悔しそうにしていた。

 

 

「八位【イチカ・オリムラ】

九位【ルナマリア・ホーク】」

 

 

俺とルナマリアも上位10人に入った。

そしてすべての項目の発表が終わり、教官が話し出した。

 

 

「一週間ご苦労だった。

各々が望む結果を得られたかどうかはわからないが、今年の結果はこれだ。

来年ではさらに上を目指すように各員努力を惜しむな!!

以上で話は終わるが、マユ・アスカ!」

 

「は、はい!!」

 

 

教官に名指しで呼ばれ、マユは詰まりながらも返事をした。

 

 

「本校のカリキュラムは既に理解していると思うが、貴官には来期から操縦科へ移ってもらう!

準備をしておけ、いいな!」

 

「りょ、了解です!!」

 

「では、解散!!」

 

 

 

 

その後、いつものメンバーで集まり試験結果の話をしていた。

 

 

「まさか、マユが操縦科へ移動だなんて。

マユ、大丈夫なの?」

 

 

メイリンがマユに尋ねた。

 

 

「モビルスーツに乗って戦いに出るのは怖いけど、上からの指示だったら従わないとね」

 

「安心しなって、マユちゃん!」

 

 

と、ヨウランが言い出した。

 

 

「君の事が大事で大事で堪らないお兄ちゃんが君の事を守ってくれるってぇぇぇぇ!!!

何すんだよ、シン!?」

 

 

ヨウランがまたいつもの軽口をマユに言ってたのでシンがヨウランに鉄拳をお見舞いしていた。

 

 

「いつも言ってるだろうが!からかうなってな!!」

 

「お、俺はマユちゃんの雰囲気を直そうと!」

 

「それで、なんでいつもいつも俺を話に持ち出すんだよ!?」

 

「ん~?その方が面白いから?」

 

 

またヨウランが殴られた。

 

 

「いや、今のはヨウランが悪いって。

あれ?そういえば今日、ミーアは?」

 

 

とヴィーノはパンに噛り付きながらそういった。

そういえば、まだ見かけてないな。

 

 

「マユ、メイリンあんたたち何か知らないの?」

 

「今日は私見てませんよ」

 

「私も。

あ、でも、教官室に入って行くのを見たって人がいたんだけど」

 

 

教官室に?

まあ、普通なら教官室に行っても不思議じゃないけど、今日一日顔を出さないってのは変だな。

 

 

「おそらくミーア・キャンベルはもうこの学校にはいないだろう」

 

 

俺たち以外の声がしたので、そっちを見ると

試験結果の殆どが1位だったレイ・ザ・バレルがいた。

 

 

「座ってもいいか?」

 

「ああ、いいけど。

それよりどういう意味だよ?もういないって」

 

 

ヴィーノがレイに代表で尋ねた。

 

 

「先ほど、【ギルバート・デュランダル】議長がお見えになっててな。

彼と共に車に乗り込んでいたのを見かけたんだ。

何故、と思い教官に掛け合ってみたところ、彼女は自主退学と同時に議長に何かしらのスカウトを受けていた。

と、いう情報を得てな。

つまりはそういうことだ」

 

 

ってことは、ミーアは議長からの引き抜きで何かしら別の目的ができたってことか。

にしても別れも言わずに行ってしまうなんて、寂しいな。

 

でも、ミーアが自分で決めたんならその道を進むべきだな。

また、会えるといいな・・・。

俺は心の中でそう思った。

 

 

「それと、ここにいる試験上位者に話しておこう。

来期からは俺たちはモビルスーツの操縦を実際に行うことになるそうだ」

 

「そうなのか?」

 

「ああ。

だが、今年は少し違っていてな。

軍の新型のテストパイロットに選ばれる可能性もあるらしい」

 

「し、新型!?そんな情報、あんたどっから取ってきたの!?」

 

 

ルナマリアはレイの言葉に驚いていた。

 

 

「ちゃんとカリキュラムを読んでいないのか?書いてあったぞ」

 

「そうだよ、お姉ちゃん。

ちゃんと読んでおかないと」

 

 

と、メイリンは呆れいていた。

 

 

「じゃ、じゃあ、なんで皆知ってる情報をわざわざ話したのよ?」

 

「お前みたいに理解してない奴がいるとも限らんからな」

 

 

と、ルナマリアの問いにそう返したレイ。

ルナマリアは少し、不機嫌そうになった。

 

 

にしても、新型か・・・。

ヘリオポリスみたいにならなければいいんだけど・・・。

 




ここでミーアはメンバーから外れました。
ここでデュランダルにスカウトされたって感じです。

それと、レイがメンバーと絡み、マユが操縦科へ転属となりました。
さあ、これからどうなるのか・・・

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