身も溶ける様な晴天
今日の出撃予定は無いためか
駆逐艦達がグラウンドに出て
ドッヂボールで遊んでいるようだ
第6駆逐隊の子たち
吹雪型数名と、独特なシルエットの子...
インドア派には理解し難いが、
楽しそうなので良しとしよう
「提督も行ってはどうですか?」
「大淀...仕事のやり過ぎで気が狂ったか
今度休みをやろう...」
大量の資料を運ぶ大淀が
書類が散らばって踏み場の少ない
執務室の床だけを歩いてくる
「いいえ 至って正気です。
運動不足は健康に良くありませんから
行ってきてくださいね
あ、休みは頂きますね」
と、半ば強制的に大淀に執務室から追い出された。
涼しい執務室から、
太陽が真上に輝く炎天下の中
外へ出てグラウンドへ歩く。
ったく...。
まぁ 駆逐艦のドッヂボールだ
軽く勝てるだろう。
駆逐艦達の近くへ行き
「まーぜて」
と、言い混ぜてもらう。
-この時俺は忘れていたのだ。
いや、分かってはいた。
しかし、 深く考えていなかった
彼女らは艦娘であると。-
「それじゃあいくのですー!」
四対四のドッヂボールで
俺は吹雪型の子達のチームに
入れてもらった。
深雪 龍驤...。
あれ、駆逐...? まぁ、いいか。
外野におわすは吹雪。
相手チームは第6駆
レディが外野
今ボールは電の手に収まっている
ふふふ、見事キャッチして
投げ返してやるわ!
陣地の真ん中に仁王立ちをして
俺に投げるように仕向ける
さあ来い!
「それじゃあいくのですー!」
電が振りかぶったボールが
一瞬で見えなくなったかと思うと
みぞおちにもの凄い
下から突き上げるような
痛みが走った
こう、ムキムキのボクサーに
グローブつけた状態で
アッパーを入れられた気分だ...。
くぅっ...なんて豪速球。
数秒息ができずにその場に悶絶
やっとこさ空気が吸えて
外野に出ようとすると
味方陣営からお声がかかった
「提督ーっ!
ワンバンセーフやで!」
ワン...バン...?
「はわわ...
手が滑っちゃったのです...」
なんということだ
腹を抑えて俯くと足元に
ボールが転がっているのを見た
咄嗟に拾い上げ
みぞおちの恨みを込めて
全力で電めがけて投げた
俺の投げたボールは
速くブレ無くそして俺の恨みも纏って
電に吸い込まれるかの様に飛んだ
某サッカーアニメばりに
青い竜だとかペンギンとか、
飛んでそうなくらい結構な速度
だったはずだ
電は俺の全ての恨みを込めた
ボールを右手だけで軽く受け止め
再び大きく振りかぶった
「いくのです!!」
今度は視界からボールは消えなかった
だが、視界いっぱいにボールだった
鼻が痛い。
両方の穴から赤い絵の具が垂れてたが 気にしない。
袖で拭った。
ボールが顔から剥がれた後
真っ先に目にしたのは
電の黒い笑みだった。
電恐ろしい子...!
だが まぁ しかし
ワンバンではないだろう?
これで堂々と外野に出れる!
「提督ーっ!
顔面セーフやでーっ!」
もう いやや。
またしても俺の足元に転がる
ボールを拾い上げる
よし。
「深雪にパス」
「えぇ...」
俺の斜め後ろにいた深雪へ
ボールを渡す。
深雪もボールを豪速球で投げたが
狙いの響に取られてしまった。
「電、パス」
「任せるのです」
ボールを受け取った電を見て
俺は陣地の右端へ咄嗟に避難。
狙いを定めたらしい電が
相変わらずの豪速球を繰り出す
「ぐふぅっっ…...!」
ボール着した艦は深雪のようだ。
もろに腹に
後ろに吹き飛ばされた。
え、俺死ぬよ?
あんな吹っ飛ぶ威力の
受けたら死ぬに決まってんじゃん
後ろに約3m飛ばされた深雪は
地面に転げて伸びていた。
もし 手遅れでなければ、
後でドックにいれてやろう...
深雪は吹雪に回収され外野で
吹雪と一緒にだれていた。
くそう、なんて羨ましい。
日陰であればなお嬉しい。
遠くまで転がったボールを
拾いに行っていたレディが帰ってきた。
「雷にパスするわ!」
「もっと私にパスしても
いいのよ!」
受け取った雷を見て
俺は身構えた。
きっと雷も豪速球を出す...
目覚めよ俺の腹筋! 力め力むんだ!!!
あ、待ってタイム。
無い腹筋力みすぎて逆に痛くなってきた。
「ええと、はい!」
右端で力む俺に狙いをつけて
ボールを投げた雷。
上から振り下ろす投げ方じゃなく、
下から投げる投げ方。
威力はほぼ皆無。
疑問の目を雷に向けると
ニッコリと微笑んでいた。
雷...。
なんて優しい子なんだ。
おじさん涙がこぼれちゃうよ。
よしおじさんがお小遣いをあげよう。
鼻歌を歌いスキップで外野へ出る。
深雪と吹雪のいる場所であぐらをかいた。
ボールはいっさい来ない。
第6駆が「ずっと俺のターン!」しているからだ。
豪速球が行き来している世界から
俺は遂に抜けたのだ...。
ありがとう...雷。
お 龍驤がボールを取ったぞ!
そして高くボールを投げた。
龍驤が高く投げたボールは俺の前に落ちた
訳が解らず龍驤を見る。
聞こえずらいが口の動きから解読するに
ぱ す や で だ、そうだ。
ここは盛大に無視を決め込みたい。
もしくは隣の吹雪に投げて貰おう。
「司令官投げてください!
私は深雪ちゃんの様子見てますので
今は手が離せません」
「...わかった」
ボール拾って吹雪の方向いてたら
間髪入れずに否定された。
投げても当たらないからな
いや、当てたくない。
「ほいっと」
恨みを込めるつもりもないので適当に投げた
「おっと...
少しボーッとしてたかな」
あろう事か
明後日の方向を向いてた響の背に
ボールが当たってしまった。
「提督復活やで!
はよ 内野戻ってきいや!」
「......ぉぅ」
吹雪から拝まれた。
「吹雪...元外入れるんだろ?
深雪の世話変わるから
交代しよ」
「お断りします」
「吹雪様 辛辣」
重い足取りで内野に戻ると龍驤に喜ばれた
四方八方から
飛んで来て避けるのが辛いらしい
これなんて無理ゲー。
こんなことなら書類捌くほうが
マシに思えてきたな。
よし 平和的に逃げよう。
「あー。そろそろ3時だし
甘味処寄って何か食べたいなーっ」
やや棒読みだが掛かってくれ!
「電もいきたいのです!」
「雷もいきたいわ」
「ハラショー」
「暁も行きたい!」
おや 第6駆は全員釣れたな。
「吹雪と深雪は」
「深雪運んだら
行かせて頂きます!」
よし。作戦成功
「司令官!奢って欲しいのです!」
「ファ?」
俺は今日甘味を食べながら誓った
もう、艦娘の子たちと
ドッヂボールをしない...と
そしてしばらく金を使わない...と
-番外 執務室にて-
深く椅子に腰掛けてクルクル回る
「どうでしたか?
ドッヂボール」
「俺は君を悪魔と呼びたい気分だよ」
「え...?
あ 提督袖が赤いですよ」
「あぁ ドッヂボールの最中で鼻血を
出してしまってな」
「ドッヂボールで鼻血って...」
真っ白な軍服に赤は映えるなぁ
でも、血って落ちづらいんだよな
上着の軍服脱いでいれば、
汚れずに済んだのではないか...?
まぁ 過ぎた事はしょうがない。
今週の週末クリーニングに出しに行こう。
財布残りいくら入ってたっけ...
-番外2 廊下にて-
「うう...」
「あ 深雪ちゃん大丈夫?」
「吹雪ちゃん おはよ...
なんか凄いお腹痛い」
自身の腹を押さえ込み縮こまる
確か皆とドッヂボールをしていたはず
なのになんでここに...?
「あーっ 深雪さん
目が覚めてるのです!」
廊下の反対側から、
電が走って頭から深雪に飛びかかる
全く邪気のない素晴らしい笑顔で。
「ぐふうっ...」
電の
そして私はまた意識を手放した...
※この後深雪は吹雪さんが回収しました
思いつきの妄想力と気力だけで書き上げました。
誤字やアドバイスがあれば報告していただけると幸いです
私は山よりまな板のほうが好みですね。