Fate/curious tale 緑の勇者と白い魔王   作:天々

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風邪ひいて執筆の時間が取れませんでした
季節の変わり目なので皆さんもお気をつけを


九話 訪問と確認

 昼を少し過ぎた頃、正裕は住宅街の一角に立っていた。

 

「ここ、だな」

 

 美奈から教えられた住所と、目の前にあるアパートのプレートに書かれた名前を眺めて正裕はそこが目的地であると確信した。

 

 そしていざ乗り込もうとその小さなアパートの敷地へ踏み込もうとしたその刹那、キャスターからの念話が頭に響く。

 

「待って、マスター。そこは何かおかしい」

 

 緊張感に満ちた警告。それを聞いた正裕はそこでようやく目の前にある結界らしきものに気がついた。

 

「まさか」

 

 美奈は魔術師ではないので結界は張れない。ならば、誰がそれを張るのか。候補は2つ、アーチャーかもしく敵対するマスターが人払いのために張ったのか。

 

「キャスター、様子を見てきてくれ!」

 

 敵が中にいるのならばマスターがのこのこ乗り込むのは危険である。そう判断した正裕はキャスターに斥候を命じた。

 

「了解!」

 

 それを受けたキャスターは霊体化したままアパートに飛び込む。正裕もまたいつでも戦闘を開始できるように携行した物品を確認するように意識を巡らせ、その後周囲を警戒した。

 

 しばらくした後、キャスターが正裕のもとに戻ってきた。

 

「マスター、大丈夫だ。これはアーチャーの張ったものらしい」

 

 そんなキャスターの報告を受けて、正裕は警戒を緩める。

 

「そうかそれは良かった」

 

 そう呟き、正裕は改めてアパートへと足を踏み入れるのであった。

 

 

「こんにちは、正裕さん」

 

 教えられていた部屋をノックするとガチャリとドアが内側へと開き、中から美奈が笑顔で正裕を出迎えた。

 

「済まないな、突然」

 

「いえいえ、大丈夫ですよ」

 

 昨日の今日で突然押しかけてしまった事を正裕が詫びると、美奈はそれを笑顔で制した。

 

「取り敢えず上がってください」

 

 そう言って美奈はドアを更に開けて、正裕を中に入る様に促す。

 

「ああ、ありがとう」

 

 正裕は微笑を浮かべるとその招きに応じて美奈の住まいへと上がり込んだ。

 

 

 

 ワンルームの自室へと招くと、美奈は部屋の中央においてあるローテーブルへ正裕を誘う。

 

 促されるままに正裕がローテーブルのの前へと座ると、その正面に美奈が座った。

 

「あ、お茶とか飲みますか?」

 

「いや、いいよ。あまり長居する気もないし」

 

 美奈からの勧めを、しかし正裕は礼をしつつも断る。

 

「そうですか。それで、どうしてこちらに?」

 

 断られた事に少し気落ちしながら、美奈は正裕へ話を促した。

 

「いや、少し聞きたいことがあってな。最近この辺りで意識不明者が出ているというのは知っているか?」

 

「あ、なんかニュースになっていますね。原因は不明なんでしたっけ」

 

 正裕の問を聞いて最近風宮市を騒がせてるニュースに思い当たった美奈はそれを口にした。

 

「それが魔術師、というか他のマスターの仕業の可能性がある」

 

「え!?」

 

 正裕のその言葉に美奈は驚いた。

 

「魔術師ってそういうのは隠れてやるんじゃないんですか?」

 

 「魔術師は神秘を秘匿しなければならない」その原則について散々脅された美奈である。それはそんな彼女には当然の疑問であった。

 

「隠れてやって、それが表に出たんだろうな」

 

 呆れたようにため息をつく正裕。そうしたのち、正裕は姿勢を正すと本題を切り出した。

 

「それで君がサーヴァントを召喚した時に襲われたという化物なんだけど、こいつが魂喰いをやらかしてると思うんだ。一般人だった君を襲うなんてそれくらいしか考えられないしね。だから、そいつについての情報がほしいんだ。俺の予想だとバーサーカーのマスターの使い魔だとは思うんだが…」

 

「実は私もそういうのは分からないんですよね」

 

 そう言って申し訳無さそうに眉根を寄せる美奈。その傍らに突如アーチャーが実体化した。

 

「そのことなんだがマスター。バーサーカーのマスターらしき魔術師とプロピーが交戦していて、その中に使い魔もいたと言っていたが」

 

「あっ、そうね。アーチャー、プロピーさん呼んで、話を聞きたいから」

 

 アーチャーの助言に美奈はそれはそうだとポンと手を打ち、プロピーを呼び出すよう指示する。

 

「了解だ。おいプロピー」

 

 アーチャーが請け負い、虚空に向けて声をかけるとその背後でプロピーが実体化する。

 

「こいつは俺の使い魔のプロピーだ」

 

「ご紹介に預かりました、プロピーと申します」

 

 アーチャーが視線と腕を向けてプロピーを紹介すると、それを受けたプロピーはスカートの裾をつまんで優雅にお辞儀をした。

 

「プロピー、この部屋に来た使い魔はどんなやつだった?」

 

「気持ち悪いやつでしたね。爬虫類と人間を混ぜたようなやつでした」

 

 アーチャーはプロピーへ首を巡らして、質問を投げかけていく。

 

「リザードマンみたいなやつか?」

 

「ちょっと違いますね。強いて言うなら人間の骨格に爬虫類を構成する要素を貼り付けたような感じでしょうか」

 

「分かった、戻っていいぞ」

 

 問答の末に答えを得たアーチャーはプロピーを魔力に還し、再び正裕へと向き直った。

 

「十中八九バーサーカーのマスターが魂喰いをしているな。バーサーカーのマスターらしき魔術師が連れていたという使い魔の特徴がうちのマスターを襲っていた怪物によく似ている」

 

 問答で得た解答をアーチャーが伝えると正裕は少し考え込み、そうして唐突に立ち上がった。

 

「ありがとう邪魔したな」

 

 そう言って座ったままの美奈とその後ろで立つアーチャーへ礼を述べると、正裕は部屋の出口へと足を運ぶ。

 

「え、もう行っちゃうんですか?もう少し…」

 

「悪い、やらなきゃいけない事ができた」

 

 突然に退去しようとする正裕を美奈が引きとめようとするが、正裕はそれを断り玄関へと向かう。

 そして靴を履き、ドアを開けて出る寸前で正裕は着いてきていた美奈の方へと向き直り軽く頭を下げた。

 

「急で済まなかった。今度必ず礼はする」

 

 そうして再度礼を言った後、正裕はドアを開けて美奈の家を出ていった。

 

「何だったんだろ?」

 

「さあな」

 

 話についていけず呆然とする主従を残して。 

 




危うくエタるところだった…
サーヴァント戦を書きたいの戦う為の切欠を書くのに追われる悲しみ
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