Fate/curious tale 緑の勇者と白い魔王 作:天々
ほ、ほらもともと不定期更新言ってたし…
とりあえずエタらない様には頑張ります。
2017/10/31気になったところを修正
「くそっ」
冬馬は怒りのあまり部屋の寝台を蹴飛ばした。魔術により強化もなく振るわれた蹴りは、ただ冬馬に痛みをもたらすのみであった。それが彼の苛立ちを益々加速させる。
「くそっ、バーサーカーめ」
そもそも魂喰いをしなければいけなくなったのはバーサーカーが目当てのサーヴァントでなかったことが原因である。しかし、それについて今論じても仕方がない。問題は今後どうするか、すなわち魂喰いをやめるかやめないかである。
ここで魂喰いを止めれば周囲から狙われることもなく聖杯戦争を進められる、しかしそれと引き換えに魔力不足の不安が常につきまとう羽目になるだろう。
どちらを選んでも不利になることには変わりない。
(ならばいっそ…)
この状況を利用する。それが唯一の活路と信じて冬馬はある戦略を選択した。
「流石に信用はしてもらえなかったか」
「まあ証拠は無いからね」
教会での召集が終わった後、正裕はキャスターと話し合っていた。内容は当然先程の召集についてである。
「まあ状況証拠でしかないし、敵対関係にあるバーサーカーを陥れてるだけとも考えられるしなあ。監督役としては裏付けは取らなきゃいけないか」
そう言いながら目の前にある乾きものをつまむ正裕。
酒のあて特有の塩気と旨味を楽しんだ後、お茶を流し込んでそれを洗い流す。酒は飲まない、聖杯戦争が終わるまでは酒は絶つつもりであった。
「しかしアーチャーは本当に芸達者だな。あいつがキャスターでいいんじゃないか本当に」
信号弾の意味についてわからないアーチャー陣営から連絡を貰った後、教会の召集への使い魔を出すと言ったのはアーチャーである。結界の敷設に使い魔の使役まで行う、そんなアーチャーがキャスターでないのが不思議であった。
対してキャスターの方は陣地作成スキルが陣地踏破なるスキルに変化する上、魔術らしい魔術も使えないキャスターである。正裕がそんな感想を持つのは間違っていないといえる。
「マスターは僕がキャスターなことが不満かい?」
キャスターが笑顔を浮かべつつ正裕に尋ねる。しかし若干その眼が笑っていなかったが。
「まあ、多少はな。お前だってじぶんがキャスター向きでないのは分かってるだろ?」
「う、まあ…」
正裕の指摘に、キャスターが言い淀む。彼自身その適性については理解していたが故に。
「そもそもお前の能力はキャスター相手に有利だからな。そんなお前がキャスターに割り振られても意味がないだろう」
ため息をつく正裕。
キャスターの持つ陣地踏破は相手の工房に攻め入るのに有利な補正を得るスキルである。その上彼の聖剣は魔術や結界を切り払う能力を持ち、更には数多の魔性を退けた逸話を持つ。故にキャスターの用いる魔術に対して優位に立ち、キャスターに使役されることが多い使い魔達に有利で、しかも工房へと攻め込みやすい。
総じてキャスターは魔術師殺しに特化しているのだ。そんな英霊がキャスターに割り振られてしまったこと自体宝の持ち腐れのようなものである。ちなみにセイバーならステータスが上がるし耐魔力が付いてくるであろう。ますますもって魔術師涙目である。まあ陣地踏破のスキルが本来のスキルに戻るため性能が落ちるだろうが。
「まあ今問題なのはお前がキャスターな事じゃなくて、アーチャーがキャスターに似た能力をもっているということだ。同盟相手であるアーチャーがな」
「ん?どういうことだい」
正裕の言葉が腑に落ちず、その意図を尋ねるキャスター。
「いいか、順当に行けば同盟相手とは最終的に戦う事になる。その相手がキャスターに似た能力を持っているんだ。それはお前にとっては相性の良い能力ということだ。聖杯戦争の同盟相手としては素晴らしい相手だと思わないか?」
「つまり、アーチャーたちを利用するだけ利用して切り捨てるということかい?」
正裕の言葉にやや不服そうに問うキャスター。
「人聞きの悪いことを言うなよ、別に騙すわけでもない。そもそも聖杯を得るためには全部の陣営を倒さなくちゃいけないんだしな」
「それはそうだけど…」
キャスターは納得がいかないようである。高潔な彼としては正々堂々とした勝利で無いように感じられるのであろう。
「いや、俺も元からそんなつもりは無かったよ。たまたま同盟を組んだ相手と相性が良かっただけだし。そもそも同盟を組んだのだってアーチャーのマスターの為なんだからな」
正裕自身戦力を強化する為だけに同盟を組んだわけではない。本来の目的はアーチャーのマスターを保護し、真っ当に聖杯戦争を行うことである。むしろ素人のマスターを抱えること自体正裕にとっての弱みになりかねない。
「まあそれもそうか」
どうやらキャスターも納得がいったらしく、若干釈然としないような表情ではあるもののその顔からは不満らしきものは感じられなかった。
「ごめん、マスター。変に勘繰って」
頭を下げ、キャスターは正裕へと謝罪する。
「まあ俺も勘繰られても仕方ないことを言ったしな。さて、これからの事を詰めるためにもアーチャー達と連絡を取るか」
そう言うと正裕は連絡用の使い魔を用意し始めるのであった。
まさに対魔術師特化型キャスター!
何これぇ…。
あ、伏せてある宝具の中にも魔術師に有効な宝具があります。
偶然とは言えなんだこれホント。