Fate/curious tale 緑の勇者と白い魔王   作:天々

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悪いなバーサーカー今回特に見せ場はないんだ

2017/8/5スキルを一個追加
8/11改行等修正


三話 狂戦士

「どうする?マスター」

 正裕がキャスターの視界を水晶玉に投影して眺めていると、現地にいるキャスターが念話で尋ねてきた。

 水晶玉に映っているのは、サーヴァント同士の戦闘である。どちらもクラスは不明。片や白いコートを羽織った銀髪の青年、もう一人は赤いマントを頭から被ったパンツ一丁の変態である。青年のサーヴァントの方はマスターを連れているようで、後ろにいる女性を守るように戦っている。

 街にばら撒いていた使い魔によりサーヴァント戦を察知した正裕は、その場にキャスターを派遣した。いつでも戦闘に介入できるようにである。

「どうする、とは?」

「あの子は助けないの?見た感じ魔術も知らない素人だし」

「素人?」

 キャスターの報告を受けて、正裕はより深くキャスターと意識を同調させた。

 サーヴァントとマスターは霊的な繋がりがあり、感覚の同調が可能である。水晶玉に視界を映し出しているのもその応用であった。

 正裕はキャスターの感覚に同調させて女性を眺めたが、魔術師と言うにはあまりに軽微な魔力しか感じ取れなかった。これでは一般人に毛が生えた程度でしかない。ましてや今はサーヴァント戦の最中であり、普通ならサーヴァントを支援するなり身を守るなりするための魔術の準備はしていないとおかしいのだ。

「なるほど、素人だ」

 正裕はキャスターの意見に同意した。

 素人というのはこの場合いくつか可能性が考えられる。

 まず一つは魔術師として未熟なマスターが参加している可能性。そしてもう一つは何も知らない一般人がマスターに選定されてしまった可能性だ。

 前者なら良いが後者なら面倒だ。マスターが素人である場合、聖杯戦争や魔術師としてのルールも知らずにルール外の行動を取ることがある。そこから魔術の片鱗が世間に漏れてしまえば厄介なことになる。「神秘は秘匿すべし」が魔術師総てにとっての不文律であるが故に。

 だがここで介入して助けたところで、素人マスターである以上何れは殺されるだろう。結果はほとんど変わらない。そのようなことの為に戦いを監視しているだろう他の陣営の前に姿を晒すのは愚策である。むしろ見殺しにしてしまった方が余計な騒動を招かない分良いだろう。しかし――

「白い方のサーヴァントを援護しろキャスター」

「了解、マスター」

 正裕の指示を受けて、キャスターは嬉々として動き始める。

 彼は助ける道を選んだ。理由は二つ。一つはキャスターの気性。生前に勇者として国を救った彼が目の前で虐げられる弱者を見過ごすことは無く、それを無理に押さえ込めば今後の信頼関係に支障が出かねない。そしてもう一つの理由。それは正裕自身もまた彼女の死を良しとしない甘い人間だということであった。

 

 

 そもそも召喚の時がケチの付き始めであったのだと彼は考える。

 彼はこの聖杯戦争においてバーサーカーのサーヴァントを呼び出すと決めていた。

 とはいえバーサーカーというサーヴァントの厄介さは彼も知っている。

 能力値の高さこそあるが費やす魔力は膨大で、マスターの制御も振り払い、スキルや宝具も十全に扱えないこともあるらしい。

 わざわざそんなクラスでサーヴァントを召喚しようと考えたのは、ある英雄の物語を知っていたからだ。

 凄まじいほどの守りの力を持つが代償として狂気を齎す「面」を顔に嵌めて戦ったはずの彼は、こと単独の戦いにおいては決して狂気に呑み込まれることなく剣と魔術を駆使し理知を保ったままに戦い抜いたという。

 もとより聖杯戦争とは、マスターの援護こそあれ、基本的には英雄個人で戦うものだ。つまり狂化のデメリットを抑えた上で、その能力向上の恩恵に預かれる。

 その目論見があったからこそのバーサーカークラスでのサーヴァントの召喚であったのだ。

 しかし召喚を終えたときそこにいたのは狙い通りの英霊ではなく、その英霊と縁深き、ただ狂戦士としてしかふるまえない英霊の姿。

 確かに使った触媒はかの英霊の血統にいるものなら呼び出す可能性があるものであった。しかし、彼の血統にあるものは狂戦士のクラス適正など持たぬはずであったのだ、本来ならば。

 それは、いわゆるもしもの話。「英雄が邪悪なる誘いにより誑かされ、人々に害を及ぼしたりしたら?」などというありえざるイフ。

 しかし、そんなイフが実際に起きていたのだ。もっともそれはこの世界とは切り離された平行世界、剪定事象と呼ばれる世界での話であるがそれでもそんな英雄がいた事実がある以上それは召喚されうる。

 そんなものを引き当ててしまった彼は当然焦った。

 まず、真名が分からない。剪定事象の事など把握しているわけもなく、身につけた装備品から狙った英雄の系譜にある英霊だと推測できる程度。バーサーカーであり、理性を失っている以上サーヴァント本人から聞き出すこともできない。

 それに魔力消費も問題である。何せ真っ当なバーサーカーを引くなど考えてもいなかったのだ。制御が効き、魔力消費が他のサーヴァントよりも多少多くなる程度なら想定の範囲内だが、本来のバーサーカーの消費魔力は底なしだ。制御が効かないゆえに莫大な魔力消費を抑えようともせず、無節操かつ無遠慮に魔力を食い潰してしまうのだから。

 だから彼は持ち込んでいた使い魔を使って魂喰いまがいのことまでやるハメになった。

 そして、市井から魔力を殺さぬ程度に徴収していた際にアクシデントが起こったのである。

 なんと獲物の一人が土壇場でサーヴァントを召喚し、使い魔を撃退したというのだ。

 とはいえ素人のまぐれで召喚されたサーヴァントとそのマスター程度、バーサーカーの力ですぐに叩き潰せるはず。

 そう考えた彼はそのマスターの居所を突き止めて襲撃したのであった。

 

 

「はあっ」

 巨漢の振り下ろした剣をアーチャーがナイフで逸らす。アーチャーはそのまま懐に潜り込み一撃を加えようとするが、それは巨漢の持つ盾によって防がれた。

 アーチャーと巨漢の戦闘が始まってから30分ほどが経過していた。ナイフを主武装とし素早い動きと時折放つ雷撃や炎弾によって巨漢を翻弄するアーチャーと、長剣を振るい豪快な剣撃と大盾による守りでアーチャーを撥ね退ける巨漢のサーヴァント。どちらもが決定力を欠いたまま戦闘は膠着状態に陥っていた。

(どうする――?)

 アーチャーは悩んでいた。理性に欠けたふるまいや戦い方から見るに、相手はバーサーカーのサーヴァントであろうと彼は予測していた。バーサーカーの特徴は理性と引き換えにした高いステータス、そしてそれに伴う魔力消費の多さである。故に持久戦なら息切れを起こすのは相手が先のはずだった、本来であるならば。

 しかしアーチャーのマスターは魔術を知らない半人前のマスターであり、魔力の供給には期待できない。魔力不足はお互い様であり、むしろ相手がバーサーカーを扱う為の魔力不足対策をしている可能性を鑑みるならば不利なのはこちらであろう。

 選択肢はいくつかある、まず一つは撤退。しかし、マスターの住居が押さえられてる以上追跡に使うための触媒の採取は容易である。何れは追い詰められジリ貧になるであろう。

 もう一つの選択肢は宝具の使用。宝具というのは伝説の武具や伝説の再現といった英霊のシンボルであり、その真名を解放する事で戦況をひっくり返すほどの効果が発揮される。

 しかし宝具にはデメリットもある。まずは魔力を大量に消費すること、そして発動に際しその真名を宣言しなければならない事である。宝具の名前は自らの伝説に密接に関わるため、それを宣言するというのは自らの正体を明かすのに等しい。例えばエクスカリバーを真名解放すれば、正体はアーサー王であると露見し、能力や弱点を調べられ対策をねられてしまうと言った具合である。

 実のところ、アーチャーの宝具に関しては彼本人の正体が露見する恐れは低いのだが、使用する際にデメリットがあり下手をすればマスターに危害が及びかねない。それ故に彼は宝具の使用を躊躇っていた。

 その迷いのためかアーチャーの動きにもほんの少し障りが出る。狂戦士より放たれた力任せの斬撃、その一つを捌きそこねたのである。

「くっ」

 直撃こそ防いだが、その強烈な一撃はアーチャーの身体を吹き飛ばすのに余りある衝撃を与えた。態勢が崩れたその隙をついて巨漢のサーヴァントは美奈、アーチャーのマスターへと突貫する。

「まずいっ!?」

 もはや迷っている暇はない、とアーチャーが決断し宝具を使用する為に魔力を高める。

『混沌なる…(キャッスル…)』

 そしていざ真名を開放しようとした瞬間、

「ぐおぉぉぉおおぉ!?」

 横合いからの一撃を受けて、巨漢がふっ飛ばされた。

「何!?」

 アーチャーが慌てて攻撃が来た方向を見ると、矢を放ち終えた姿のままに公園の植え込みに潜む緑衣のサーヴァントがいた。

 緑衣のサーヴァントはアーチャーの視線に気がつくとニコリと笑い、それから軽く顎をしゃくってアーチャーの背後を示す。

「ぐうおおおおぉぉぉおおぉぉおぉぉぉ!!!」

 彼が慌てて振り向くとそこには未だ健在な巨漢の姿がある。攻撃を食らった怒り故か、がむしゃらに繰り出された剣戟を潜り抜け、アーチャーは巨漢の右胸に斬りつけた。

「うぉぉおぉおぉぉ…」

 弓の一撃から立て続けに痛打を受け、巨漢が悲鳴を上げる。そのまま巨漢は自らの実体を解き、その姿を消した。死んだわけではない。霊体化による逃走である。

 サーヴァントの本質は英霊、即ち霊だ。故に実体化を解けばたちまち霊体となる。巨漢のサーヴァントはこの場での勝利を諦め、実体化を解いてこの場を離脱したのである。

 巨漢のサーヴァントの気配が遠ざかっていきやがて確認できなくなると、アーチャーは新手、即ち繁みに佇むサーヴァントへと鋭い視線を向けた。

「それで、どういうつもりで俺達を助けたんだ?」

 




【CLASS】バーサーカー
【マスター】?
【真名】?
【身長・体重】192㎝・115kg
【イメージカラー】黒
【属性】混沌・善
【性別】男性
【特技】剣術
【好きなもの】自らの選択
【嫌いなもの】定められた道筋
【天敵】?
【ステータス】 筋力A 耐久A 敏捷B 魔力B 幸運D 宝具B

『保有スキル』

<クラス保有スキル>
・狂化(B)

<固有スキル>
・精霊の加護(-)
・魔術(-)
・竜殺し(C)
・戦闘続行(A)

【解説】
・狂化
 幸運を除いたパラメーターを1ランクアップさせるが、理性の大半を奪われる。

・精霊の加護
 本来ならばAランク相当。しかしその加護は失われている。

・魔術
 本来ならばCランク相当。しかし魔術を使うことはできない。

・竜殺し
 竜殺しを為しとげた者。
 竜種及びその属性を持つものと相対した際に有利な補正を得る。

・戦闘続行
 往生際が悪い。決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能。
 

 <所有宝具>

不明
ランク:?
種別:?
レンジ:?
最大補足:?
由来:?
彼の持つ宝剣。彼の伝説の象徴とも言えるもの、のはずだった。


不明
ランク:?
種別:?
レンジ:?
最大補足:?
由来:?
詳細不明。
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