インフィニット・ストラトス 選ばれし翼   作:タオモン3

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プロローグ3

さらに2年が経つ頃、俺は本格的に行動を始めた。

まずは父さんから剣術、柔術などをしっかりと学びながら、身体を鍛え8年後の原作に備えるように日々汗を流すこと。

そして――家の裏にある山の中でひっそりと神様からもらったISを起動して慣らしていた。

この山には少し上ったところに開けた場所がある。人の目がないこの場所はISを起動して動かすことができるのに最適だった。

小さい頃は父さんから山に入ることを固く禁じられていたが、この年になってようやく解禁したのだ。

一度、無断で言ってこっぴどく怒られたことがあったのでそれ以来は踏み入ってはいない。

確かに、5歳の子供が一人で山に入ることがどれだけ危険かを認知していなかった俺の失態だった。

そして、本気で怒ってくれた父さんから本当の愛があるのだとも感じ取れたことが何よりうれしかった。

そしてこの日、与えられたISを初めて起動するのだ。

俺は左手にしてある4つの紐のブレスレットをなぞる。これは俺が丸まっていたシーツの中に手紙と共にあったらしい。

なんでも「この4つのブレスレッドをこの子に与えてください」だそうだ。恐らくはこれがISなのだろうと思う。

俺は興奮と緊張でバクバクする心臓を落ち着かせるため、目蓋を閉じて集中する。数度息を吐き、落ち着いてから目蓋を開く。

しかしそこは裏山の森林でなく、遥か彼方まで続く地平線が目の前に現れた。

な、なんだここは?!

いきなりに出来事に、さすがの俺も混乱した。

 

『お初にお目にかかる。貴方が私のマスターか?』

「っ?!」

 

後ろを振り向くと、そこには黒のドレスを着た少女が立っていた。肌は白く、そして対照的に髪は黒く三つ編まれていた。

彼女が……このISの魂なのだろうか。

 

『もう一度問うぞ。貴方が私のマスターか?』

「そ、そうだ」

 

唖然としていた俺は我に返って頷く。

少女は『そうか』と言うと近づいてきてじろじろと俺を値踏みするように見回す。

 

『多少は鍛えてあるがまだまだだな。まぁ、今は合格点だな』

 

自己完結したようにそう言う少女。

 

「なら、俺は君を使ってもいいのか?」

『今のところ……はな。貴方は――巽は私たちに魂を与えた。それは意志を与えたに等しい。それがどういうことかわかる?』

「……自分が期待していた者以下なら使わせないと言うことなのか?」

『そうだ。私たちはただ扱われる機械でなく本当のパートナーになってくれる者を求めている。それは貴方が魂を与えてくれたからだ。そのことには感謝している。が、貴方が私たちの求めている人物でなければ私たちは平然と拒否する。それが、私たち4人が決めたルールだ』

 

要は俺以外で相棒にしたい人間が見つかるまでの関係。他人の物になるのが嫌なら切磋琢磨と自己研鑽を欠かせずにいろか。なるほど面白い。

 

「わかった。君たちの期待を裏切らないように精進しよう。これからよろしくな」

 

そう言って右手を差し出すと、少女は快く握りしめた。

 

『契約は交わされた。マスター、私に名を与えてくれ』

 

名前か。あまり考えてなかったが……そうだな。

 

「ファントム……ファントムレギナってのはどうだ?」

『ファントムレギナ――幻影の王女か。なかなか悪くないな』

 

少女――ファントムレギナは小さく微笑む。

すると左手にしていたブレスレットが消え、右手の中指に指輪がとして現れた。

 

『今から貴方が私のマスターだ。よろしく頼む』

 

視界が再び真っ白くなる。そして気が付くと景色は裏山に代わっていた。

右手には指輪が確かに嵌められている。

なら、あとは呼び出すだけだ。

 

「こい!」

 

そう言った瞬間、左手に付けている4つブレスレットの内の1つが光り輝く。溢れた光は無機質な金属に形を成して手足に装着される。

背には翼を模した形になっていく。

視線がやや高くなり、ISの機能の1つハイパーセンサーが起動――薄暗い林の中でも視認できるように鮮明になる。

続いてPICが起動――フワッとした浮遊感がして動きやすくなる。

最後に、シールバリアーが起動――身体を不可視の膜のようなもので包まれた感じがする。

網膜にはセンサーが全体のバイタルと機体の状態のチェックと最適化を開始した。

そして10分後、起動したISは再び輝きを放つ。

光が収まると全身の装甲が黒と紫を基調とした禍々しい色に変色している。

カスタム・ウィングはその形を変え、骨組みの用な形状になっている。

頭には騎士の兜をモチーフにしたバイザーが付けられていると網膜の映し出されたデータのモデルにはなっている。

これがIS――ファントムレギナの姿なのか。

 

『早速の呼び出しかマスター』

 

鼓膜にファントムレギナの声が響く。姿が見えなくてもすぐ隣にいるような存在感を感じた。

 

「ああ、一回飛んでみたいと思ってな」

『フフ、性能の確認か? いいだろう。この身体、思う存分使ってみるといい!』

 

なんか表現がいやらしく聞こえるが気にせずにいよう。

 

「そう言うなら遠慮なく――行くぞッ!」

 

脚部のスロットを踏み込んで、スラスター出力を目一杯に上げる。

背後のカスタム・ウィングが唸りを上げながら、砂埃を巻き上げ、俺の身体が空へと飛翔した。

風を受け、ぐんぐんとまるでロケットの様に重力に逆らいながら上へ上へと突き進んでいく。

は、はははははっ! 最高だ! 空を飛ぶのがこんなにも気分のいいものだなんて思いもしなかった!! 

新品のおもちゃを与えられた子供のように俺は滞空から降下、上昇とファントムレギナを操縦する。

 

『マスター、はしゃぐのはいいがあまりに目立つようなことはするなよ』

 

呆れたように言うファントムレギナ。

だって、仕方ないだろう。こんなにも自由に空を飛べることなんて一生に一度あるかないかなのだから、はしゃがない方がおかしいだろう。

 

「わかっている」

 

そう言って地表に降り立つ。ここまでくるとやっぱり欲が出てくる。

俺は武装データをインストールした。

 

『まさかここで武装を使用するのか?』

「いや確認だけだよ」

 

流石にここでは使用を控えようとは思う。

行くな人目が無くても安易に使っては何かあった時に面倒になる。

インストールされたデータが表示された。

大型実体剣レーヴァテイン。

表示された画像は5メートルを超える巨剣のようだ。まるでF〇に出てきたバスターソードのようだ。

試しにコールする。すると右手に光の粒子は集まり、形を成す。

瞬間、片刃の巨剣が姿を現した。

おおすげぇえッ! 本当にクラ〇ド見たいな剣だな。

俺は両手で構えて振り下し、薙ぎ払い、突きといつもしている動作をする。

若干、振り回されている感はあるが少しずつ慣らしていくか。

 

『気は済んだかマスター?』

「うん。あといくつかの武装はあるけどまた明日にするよ」

 

辺りはすっかり暗くなってきていた。いつまでも帰らないと今度こそ父さんに出禁にされかねなからな。

レーヴァテインを拡張領域に収納してファントムレギナを解き、駆け足で家に向かった。

 




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