RWBY Mask of Grimm   作:人間のダスト

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 たまに日間ランキングに乗っていることがあると自分自身が一番たまげるんだよなぁ……読んでくださった皆様に感謝を。これを機にRWBY小説流行れ流行れ……

 ほんへは前書き程クッソ汚くないのでよろしくお願いします!なんでもシャオロン!





Key points

 翌朝、指定の場所……ビーコン・クリフへと集められたが、一体何を始めようというのか。崖下には鬱蒼としたエメラルド・フォレストが広がっているのが見えるが、まさか駆けっこでもするわけではあるまい。そんなことをすればカルマがダントツでトップだろう。

 

「集まったかね?それでは今回の実力テストの話を始めよう。知っているものもいるかもしれないが、今回のテストで四人一組のチームに分ける。死の危険と隣り合わせのこの森を抜け、古びた寺院に遺されたとある遺物(レリック)を持ち帰ってきてもらうが……」

 

 ふむ。おおかた理解した。この正式な入学式である程度の実力を見ようという訳か。

 

「ハンターとなる以上、どのような状況でも成果を出せるように立ち回らなくてはならない。だが、敢えて……君たちはこの森で最初に出会った者同士でペアを組み、今後の四年間を過ごしてもらおうと思っている……!」

 

 もしやこの学長は手に持ったマグカップに知性を吸い取られているのではなかろうか。或いはサングラスか。いずれにせよこの場面でおふざけをしている場合ではないだろう。あえていいのは野菜だけだ。

 

「そんな~~~~~っ!?」

 

「ね?いったでしょレン。合図決めといてよかったね!」

 

 四人一組でチームを組むことはゴルドがした事前調査の時点で既に判明している。仮にそのようなことをしていなくてもハンターは四人一組で動くことが鉄則だと知っていれば容易に想像がつく。悲痛な叫びをあげているルビーには申し訳ないが、寝る前にチーム分け(非公式)をやっておいてよかった。カルマの提案で事前に合流する2:2のペアをグー・パーで分けておかなければ本番でうまくチームを組めるかどうか運否天賦になっていたかもしれない。そうなったら森の木全部切り倒してでも合流するつもりだったが。

 

「おし、ネロ。俺とお前でこの森を抜けるぜ。ゴルドに渡された通信機は付けたか?」

 

 隣にいるカルマが小声で囁いてくる。

 

「もち、準備万端だよ。あの学長の事だからきっと……」

 

 足元にある板を睨みつける。まあ予想通りの事が起こるだろう。本当はもっとましな方法でこの森を踏破したかったが。

 

「パートナーが決まり次第、森の北端を目指したまえ。もう一度言うが、そこにある寺院に遺物(レリック)が置いてあるから一人一つずつ持ち帰るように。様々な困難が待ち受けているだろうが、決して怖気づくことなく全てを粉砕して進んでいってもらいたい……さもなければ死ぬぞ」

 

 死。オズピン学長のその一言でこの空間に張り詰めた空気が流れる。だがこれしきの事も出来なければハンターなど夢のまた夢といったところか。

 

「それではこれより試験を開始する。何か質問のある者は?」

 

「あのー先生、一つだけ……」

 

「よろしい。それでは総員位置につけ!」

 

 ジョーン、このおっさ……オズピン学長がまだまともに質問に答える質だと思っていたのならとんだお笑い草だ。気を取り直したルビーも、ヤンも、気を抜いているものは誰一人としていない。楽しもうとしている者ぐらいはいるかもしれないが、各々が第一戦闘態勢を取っている。

 

「この場合、着地行動ってのは……どこかに降ろしてくれるってことですかね?」

 

 カタパルトから一人、また一人と宙を舞う。

 

「いいや?文字通り森へと『落下』していく」

 

「そ、そうですか……俺達ってパラシュートかなんか貰いましたっけ?」

 

 ゴルドとハルトがカタパルトから撃ち出され、ハルトのセンブランスで作った横幅の広い氷の滑り台をアイススケートのようにゴルドと一緒に滑っていく。ゴルドが落下角度を予測して落ち始める地点に作らせたといったところか。こりゃ先に行った分あちらが先に着くかな?……それはそうと自分は少なくともパラシュートを貰った覚えはない。いい加減現実を見るんだジョーン。最悪の場合は助けるから。

 

「君たちには各々磨いてきた技を使って着地してもらうつもりだ。健闘を祈る」

 

 おー、ルビーとヤンも飛んで行ったか。数秒後には自分たちもあの空へと飛んで行っているだろう。

 

「あいつら俺を前にして最速だなんていい度胸してるぜ。ネロ、俺たちのコンビが最速だって見せてやろうじゃねえか」

 

「じゃあ打ち合わせ通りいくよ。……ジョーン、大丈夫。誰か助けてくれるから」

 

 そう言い終わった瞬間、浮遊感に襲われた。示し合わせてはいるが、本当に大丈夫なのだろうか。いや、カルマを信じよう。大剣を作ったのと同じ要領で大きめの黒いハングライダーを作り、落下速度を落とす。後は……

 

「おおおおおぉぉぉ……っとお!ナイスキャッチネロ!迎撃と加速は俺に任せて操縦の方を頼んだ!」

 

 カルマの飛んでくる位置まで動かし、なるべく衝撃が来ないようにキャッチする。余程強い衝撃でもなければ自分お手製の武器はそうそう壊れはしない。ハングライダーが武器かどうかは疑問だが、自分のセンブランスの判定的にはセーフらしい。

 

「ホイ来た!カルマこそはしゃぎすぎて落っこちないようにね!」

 

 後はカルマのセンブランス……速度調整(ハイ&ロー)に任せる。貨物車でアダムに対して使ったように速度を落とすのであれば問題はないが、加速させると……加速させた分だけ大きく負荷がかかる。これが強度と物理法則を無視して飛行しているパラグライダーを作った理由だ。……もしセンブランス製のパラグライダーでなかったら加速開始時点でパージしているだろう。ぶっつけ本番とはいえ成功して何よりだ。

 

 例えば、物体の飛んでいく速度を上げ過ぎると対象地点に着くまでに消し飛ぶ。消える魔球とか言って目にも留まらぬ速さで拳大の石をグリムに投げつけていた時はグリムも弾け飛んだが、石も思い切り弾け飛んでいた。また、カルマ以外の生物を加速させようとしたり、カルマ自身の動く速度を肉体が耐えられる限界以上にあげるとフィードバックが大きくなっていくといった諸刃の剣。なので専ら食品の賞味期限を延ばすのに使っていることが多いんだとか。初めて知ったときは凄そうなセンブランスなのに用途がみみっちいと思った。

 

「うわああああぁぁぁぁぁ……!」

 

 少し横あたりをジョーンが回転しながら通り過ぎていき、落下していく。助けたいのは山々だが、生憎両手が塞がっている。

 

「カルマ!」

 

「んー、一応試験って体だからな。おまえ個人があいつに入れ込むのはともかく俺は助けない」

 

 まっ、俺も嫌いじゃないがな。と漏らすカルマの顔はパラグライダーの翼に隠れて見えないが、にやついているだろう。勿論ジョーンのこれからに期待するという意味で。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 森の一部が燃えていたり、赤い槍がジョーンの方へと飛んで行ったりしたが、その数秒後に「ありがとう~~」と聞こえてきたので多分無事だろう。恐らくこの後も槍の持ち主が助けてくれるだろうからもう心配はしていない。

 

 自動車並みの速度は出ているが、これ以上の速度で動いてもまだまだ余裕だが……眼下に見えるエメラルド・フォレストの様子がおかしい。遠目に見える寂れた寺院に向かって青い筋が一直線に伸びていくのだ。青い筋の通った後には何も残さず。そしてもっと不可解なことがある。その青い筋が木を薙ぎ倒したら跡も残さず消えていくのだ。

 

「これってもしかして……」

 

「あいつら以外にこんなことできる奴が居るかよ。どうやらそり滑りからスピードスケートに鞍替えしたみたいだな。俺たちも急ぐぜ!」

 

 今の自分たちは高速道路で逃走する犯人を追う為、カーチェイスをするときの警察官だ。それがレーシングカー並の速度を出して行われているのだからジョーンでなくても吐きそうになる。

 

「ヒャフウウウウウ!風を切れー!」

 

 向かい側から飛来する小型のネヴァーモアの尖った嘴が撃ち落とそうと狙ってくるが、カルマがオーラをクナイ状にして切り裂き、壊れる限界まで速度を上げたパラグライダーでひき潰しながら墜落に近い形で寺院に向かって高度を下げていく。

 

「よいしょお!……ったくもうちょいマシな降り方したかった……」

 

「まあまあそんな細かいこと気にしなさんな。パラグライダーで行く時点でこうなる運命だったと思って諦めろ」

 

 ドスン、と重たい音を立てて着地した自分に対し、軽やかな着地を決めるカルマ。まあ急所を守るように作られていて軽い忍装束と全身ガチガチに固めていてかなり重い鎧のようなもの(実はこれもセンブランス製)を比べればそうなるのも当然の帰結だった。

 

「これは同着かな?ゴルド。僕らも結構急いだんだけどねー」

 

「まさか私が木こりの真似をさせられる日が来るとは思っていなかったがね……さっさと目的のブツを取るぞ」

 

 ゴルドがあからさまに不機嫌なのはきっとハルトが後ろでファイアー・ダストをの生み出す推進力を使ったブースター役で、ゴルドが前に出て障害物の排除をさせられたからだろう。その証拠としてハルトがかなり楽しそうだし。いつも裏方の親友をたまには前に引っ張り出して苦労を味わわせることができたからだろうか?

 

 たまにハルトはナチュラルサディストだから困る。できないことは絶対にやらせようとはしないが。

 

「それでどれを取っていくの?黒のルークか?金色のナイトか?まだだれも来てないからより取り見取りだけど?」

 

 円状に並んでいる小さな台座の上に取ってくれと言わんばかりに金と黒のチェスの駒が置かれている。……最強の駒(キングとクィーン)はどうやら事情が違うようだが。ここに着いて最初に目に付いたのが四本の大きな柱の上に置かれている紅、透明、黒、金といったカラフルな四色だ。何故このピースだけこんなにカラフルなのか。金と黒にしても他のピースのように暗色混じりではなく、艶のある黒と磨き抜いた金といった風に特徴的な色をしている。

 

 試験だから罠ではないと思いたいがあの学長だし……どうにも素直に取る気になれない。だが何となく直感がこれを取っていけと言っている。これ以外はありえないと本能が叫んでいる。

 

「いやいやいや……ここは一丁、最強であることを大々的に打ち出していこうじゃねぇか。俺はこの赤いクィーンを頂くぜ」

 

「ふふ、それでこそ親友だ。ならば私は……黄金のキングを頂こうか。ハルト、ネロ。どっちでもいいから好きな方を選んでくれ」

 

 ピースそのものが固定されていたり、取ったら罠にかかるといったことはないらしく、二人は当然の権利と言わんばかりに軽くジャンプして柱の上の最強の駒(キングとクィーン)を取っていく。

 

「先にとっていいよ。残った方を貰うから。誰かが来ないうちに早く取って」

 

 ハルトが先に取れという意味で親指でピースを指差していたが、これはフィーリングで決めろという事か。直感的に選び取るのは構わないのだが、いざどちらか取れと言われると悩んでしまう。そうだな……では黒のキングにしよう。無骨なカラーリングの中にも上品さがある。もしも貰えるなら毎日磨いてしまうぐらいには美しい。そんなどうでもよさげなことを思いつつ、地面を蹴ってそれを手に取った。

 

「うん、何となくそっちを取るような気がしてた。じゃあ僕は透明なクィーンだね。さっ、グリムや他の生徒が来る前に戻ろう」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 その後ピクニック感覚で森をちんたらと歩いていたら案の定ウーサやネヴァーモアがわんさか寄って来たのだが、これについてはもはや語るまい。誰が一番狩ることができるか競争が始まった。……ゴルドが正確無比な早打ちでネヴァーモアを一匹残らず撃ち落としてしまったため、自動的に羽数の多かったネヴァーモアを倒したゴルドの優勝だった。三匹ずつウーサを狩っていた俺たちを見ていたのはもう勝ち確定だったからか。

 

……あのサック付き拳銃、あんな見てくれだったのに、想像していたよりも威力がありすぎる。というかビームを発射するのはナシだと思う。音を立てて蒸発させていた。

 

 

「あ~あ、こういうのはやっぱ機械のような射撃ができるゴルドが有利だよな」

 

「負け惜しみかい?……まあこの条件じゃなければ今の私は負けていたよ。間違いなく」

 

 相手に対する称賛すら勝者の勝鬨に聞こえてしまうのはゴルドの性格故か。のんびりと試験開始地点のビーコン・クリフから試験会場であるエメラルド・フォレストを眺めるが、自分たち以外はまだ誰も戻ってきてはいない。

 

「……ん?遠くにグリムが見えるな。アレだ、アレ。……ほう、ルビー嬢とワイス嬢か。昨晩の様子からして仲が悪そうだったが……少しはマシになったといったところかな?」

 

 ゴルドはカルマを無視して寂れた寺院よりも遠い地点に着地した大型のネヴァーモアを見ている。どうやらルビーたちが交戦しているらしい。苦戦とまではいかずとも決め手に欠けているようだ。

 

 しかしこの森はかなり広い筈なのになぜゴルドははっきりと目視できるのか。自分でもうっすらとしか見えないのに。

 

「どうする?ちょっと手助けしてあげる?」

 

 勿論手助けの範疇を超えるつもりはないが、スクロールで様子を見ていたオズピン学長とグリンダ女史に一瞥された。

 

「そうしてあげたい気持ちは山々だけどね……いっそジャンケンでもして負けた人が罰ゲームで助けに行く?」

 

 ハルトが冗談めかした提案をしたら二人の教師の視線が心なしか更に鋭くなった気がする。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 チーム発表は粛々と進行していく。柄が悪そ……いや、ガタイがいいチームCRDN(カーディナル)。無事に生還したジョーンがリーダーに任命され……あの赤い槍の持ち主は案の定ピュラ・ニコスだったらしい。その二人の所属するチームJNPR(ジュニパー)

 遠目からだったので、赤い何かが盛大に飛び散ったようにしか見えなかったが、クレセント・ローズでネヴァーモアの首を落としたことは理解できる。あの咄嗟のコンビネーションは流石としか言いようがない。自分たちは強烈な個人技を合わせるような真似はするが、あの高度な連携はちょっと真似できないので素直な称賛を送らせてもらおう。そんなルビー達が組むことになったチームRWBY(ルビー)。……幾らチームリーダーがルビーになったとはいえそれはあまりに直球過ぎるのではないだろうか、オズピン学長?

 

 最後に持って来られるのはむず痒いし、目立つのはどうにも慣れない。だが会場の皆が今か今かと壇上に現れるのを期待している。少し駆け足で上がり、オズピン学長の前でこれまでのチームに倣って休めの体勢を取って言葉を待つ。

 

「……それでは最後にネロ・ベスティア、カルマ・ケーファー、ハーメル・クラールハイト、ゴルド・モルテ。……やってくれたね。あんな事をしでかすとは。だからこそこれらを取ってきたのかもしれないが。最速で森を抜けて君たちが持ち帰った駒は赤のクィーン透明なクィーン。それに漆黒のキング黄金のキングだ。そして君たちは今日から……」

 

 ああは言っているが、オズピン学長の口元には笑みが浮かんでいる。そして命名の時が来た。

 

「チームCHNG(チェンジ)……それが君たちのチームだ」

 




区切りのいいところで切ろうとすると短くなってしまうジレンマ。

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