本編が投げられない?だったら逆に番外編を投下すればいいじゃない、との天の声が聞こえてきたので今回は一人称でもなく、三人称でもない、驚愕のインタビュー形式でお送りします。
本編とは連動した内容とはいえど、妙にゆるーい部分もあって、本編中に突っ込み切れる自信がなかったので、番外編という形でねじ込むことに。
それではよろしくお願いします。
「よろしくお願いします……いや、普段通りにいこうよ。なんか畏まりすぎててなんか違和感あるって。ハルトならともかくゴルドがその口調だとなんか不気味だって」
博士と呼びたまえ。まあこれは形式上のものだからあまり気にするな。……気を取り直して最初の質問だ。あなたの趣味は?
「趣味って言えるほどじゃないかもしれないけど読書が好きだね。おとぎ話とか結構興味があるよ」
意外だな。旅をしている時には本を持っていなかったが。
「そうだね。本って一冊二冊なら兎も角、結構重たいでしょ?旅先の本屋で立ち読みして、気に入った本があったら買うんだけど、しばらくして内容を覚えたら売っちゃうかな。今思うと本当に惜しいことをしていたんだなぁ……」
これからは気に入った本があったらうちに置いておいてもいいし、無理のない程度なら金は渡すから好きにやってくれ。……その分、私達に力を貸してもらうがね。
「本当!?その言葉、忘れないからね?」
それじゃ次だ。今までで一番苦労したことは?
「特になし!っていうのじゃ満足しないよね……強いて言うならお金がなかった時にどうするか。食事したところでしばらく働かせてもらった代わりに賄いや給料を貰ったり、野宿をよくしたなあ……それでも最低限身の回りは整えておこうって心がけてはいたけどね」
私のような者は絶対にしないであろう体験談をありがとう。
「なんか棘があるような、ないような……」
まああまり気にしないでおきたまえ。次だ次。ズバリ、戦闘において重要な事は何か?
「あんまり意識はしてこなかったけれど、今までの自分を振り返ってみると、相手を倒すだけならば自分の限界が来る前に相手をどうにかすることに重点を置いているような気がする。このどうにかする、っていうのにはその場を上手いこと切り抜けるってことかな」
自身の生存を優先する、とも取れるが?
「死んだらどうしようもないからね。生きていればある程度の取り返しはつくと思いたい。勿論どうしようもない事もあるかもしれないけど……数秒後に死ぬとかでもなければ割となんとかなるはず……いや、なんとかする」
随分と前向きで羨ましいことだ。それでは最後の質問に行くぞ。記憶喪失らしいけど、記憶を取り戻したい?
「……もちろん。このベルトやイブって子に狙われる理由も分からない。自分が何者なのかすら分からない。ないない尽くしで困っちゃうね。だからそれが分かるまでは死ぬつもりはないよ」
ふむ。君の強さの根っこは其処にあるわけだ。不屈の意志が体を突き動かしているってところか。……もしも記憶を失う前の自分がロクでもない奴だったらどうする?
「そのときはその時だよ。できることならその自分をぶん殴ってやりたいけど出来ないし。前に進み続けることって大事だと思う。まあそうじゃない事を祈るしかないよね」
それもそうか。記憶の手掛かり探し、私達も手伝おう。
「うん、ありがとう。ところでゴルド、ふと疑問に思ったんだけど君らのうち一番強いのって誰? これから付き合って行くんだから実力がどれほどのものか教えてくれても……」
それには俺が答えるぜ。
「カルマ!?いきなり出てくるから驚いた……それで、実際どうなの?」
まあ難しいところではあるんだけどな。ネロ、お前は何の装備も、オーラも無しにグリムに挑んでどうにかできるか?
「うん、まあ……ベオウルフやウーサ程度であれば軽く殴って吹っ飛ばしていけるけど、デスストーカーは厳しいかな?」
普通なら絶対に無理だな。人間はオーラと武器という牙を持ってはじめて奴らと同じ土俵に上がることができる。余程人間を辞めてないと出来ない芸当だが、出来ない事はないだろう。なんせ俺たちはそれくらいはやってのけるし。
「って事はここには普通の人はいないってことになるよね?」
そうだな。まあその話はまた今度だ。もちっと暇な時間に話してやるよ。昔話とかもな。
「なんか聞くのが憚られるんだけど、いいの?」
構わない。なんならハルトや博士辺りにも聞いてみろ。ハルトのは聞いたことあるけど博士のは聞いたことないから今度聞きに行こうぜ!
「俺の方からはまだ話せそうな事はないけどね……」
まあ気にすんなって。話を元に戻すが、俺とハルトのどっちが強いかって? 一度本気で決闘でもしてみたいが、そんなことした日にはここら一帯がズタボロになるからな……まあ軽い手合わせ位ならした事があるが、膠着状態が続いて決着は付かなかったから互角ぐらいじゃないか?
「なんか釈然としない……ゴルド、本当のところは?」
ふむ。客観的な評価をするのであれば、ハルトの方が手札が多い。これはセンブランスの恩恵が大きいな。ダストを自身の体の如く扱う事により、戦闘の補助に役立てている訳だな。寧ろサポートに向いている武器とダストを組み合わせて効果を発揮させるのが本来の戦闘スタイルだから一対一は向いていない筈だが、それを補う技量を持ち合わせている。
肉弾戦になればカルマが上を行く。ファウナス特有の身体能力に長い間磨きをかけてきただけのことはある。センブランスもかなり優秀なものを持っているが、それでもハルトとその土俵で争おうとすれば厳しい戦いになるだろう。相手によっては苦戦程度はあるかもしれないが、その苦戦自体見たことはない。私の知る限りは、だが。
まあどちらも切り札を隠しているようだし、幾らでもひっくり返る要素はあるだろうな。……私か?そんな目で見ても何も出ないぞ?
「でもハルトは『自分と博士は互角だ』って言ってたけど?」
うぐっ、余計な事を……まあ私は対応力が段違いだからハルトとは互角だと思っていてくれればそれでいい。
博士は変な所で謙遜する……割と嫌味だよ?
「ハルトも何処から湧いて……ああ、アレで塵状にして入ってきたのか」
ご名答。こんなの戦闘中じゃ使えないから誰かをからかう用の技だけどね。実際僕ら三人は得意分野が別々だから、相手を得意な土俵に持ち込んだら勝つかな? 程度に思ってるよ。ネロは私見が入るけど多分僕らと互角だと思う。カルマに聞いた所だとファウナス並の身体能力を持っているらしいし、それに多彩な武装を出現させて戦うから近接戦闘であればほぼ負けないよね。実際グリムの群れを蹴散らしてたし。
私達はこのベルト……アークドライバーがあるから長所を伸ばしたり、欠点を埋めたりする事はそう難しい事ではないがね。
「えっ、これそんな名前だったの!?」
今付けた。まあそんなことよりこれがどのような代物か聞きたくはないか? 勝手に喋るが構わないか?
「この流れだと延々と喋るだろうし好きにしてください……」
よろしい。それでは回答者交代だ。
「まずこれの開発コンセプトから説明しよう。このレムナントにはグリムといった目に見える驚異の他に、悪党も跋扈している。それを抑止するための力が必要だと開発者、正確にはその上の人物は考えたわけだな。そのためにはわかりやすい『英雄』が必要だ。そこからこれが作られた……はずだ」
はず、って?
「うん、私の父がこれを作成した話はしただろう?だからまあ、私の憶測が混じっているから、もしかして真実は違うかもしれない。だから言い切らない。これが正解だと言い切れないんだ」
随分と願望混じりなんだな。で? どれほどすげえわけよ?それがわからない限り何とも言えないぜ。
「よくぞ聞いてくれた! その性能はいたって単純、装着者のポテンシャルを最大限に引き出し、使用するたびに伸ばしていくといったものだ。その証拠として装着者の特徴を模した装甲と、オーラを操作することによって俗にいう『必殺技』のようなものを使うことができる。まあ良い事ばかりとは行かなかったがね……」
とんでもないデメリットがありそうだな。
「このデメリットも……いやそこまででもないか。単に使いこなせるものがいなかっただけのことだ。これは研究データに残されていた。まあそのせいで開発は頓挫、別のプロジェクトにシフトしていったらしい……まあ実物が残っていたことには流石に驚いたが」
でもハルトは使えてるよな?それだとおかしくねーか?
「最後の良心だったんだろう。流石に親を亡くしたばかりの幼子であるハルトを人体実験には使いたくなかったんだと思いたい。或いはハルトがこれを使いこなせる可能性があることを直感で悟り、データはこの家に隠して私に教え、時が来たら決断させるつもりだったのかもしれないが……今となってはもうわからない」
カルマや俺も問題なく使えてるから、案外使える程優秀な人材がいなかっただけとか?
「それはないだろう。私たちが軍のエリート共よりも遥かに優秀だと仮定しても、そこそこの奴はいたはずだ。となると、優秀なだけではダメで何か別の条件でもあるのかもしれないが……これも研究しなくてはならないのだが、いかんせんデータを集めようにも目立ちすぎるな」
まあそれはおいおいやっていけばいいんじゃないの?それよりも人型グリムについて興味があるんだけど……
「人型グリム。こう呼び続けるのも座りがよろしくないから便宜上の呼称を付けようか。そうだな……グリムでありながら人の姿を持ち、本来
普通のグリムがプリテンダーになるところを見たけど、確かに変わっていた。知性も人並みに進化していたように見えた。
「グリムという存在は人類を抹殺するという一点のみで多種多様な進化を遂げてきた。このプリテンダーもその一種なのだろう。肉体はグリム並みの強靭さ。知性は人間に比類し、進化の速度も更に上昇しているように思える。これほど恐ろしい存在もあるまい」
でもさ。そいつらを倒すためのアークドライバーでしょ?英雄を作るためでなく、誰かを守るために使うと決めたんだから、恐ろしいとか思っている暇はないよ。
「そうだな。そうじゃないとオレ……私は父に顔向けできない。ネロ、君の言う通りだとも。……あまりこのような言葉を使うのは信念に反するが、君らと会うことができたのはきっと運命の導きだろう。そう考えないと信じられない程にあり得ない。だから誰一人として欠けずにやり遂げよう。……最後まで」
あのゴルドがこんなこと言うとか明日は雪降るぞ。コーンスープを飲みながらじゃないとこんな話聞いていられないな。
だね。部屋を暖かくして笛の手入れしなくちゃ。あ、ファイヤーダストはもう必要ない?
「オレを何だと思っているのか、この二人は……ネロ、君は違うだろ?」
意外だと思ったけど、いいんじゃないですかね……?
「今回はこれぐらいで区切ろうか。……今度はハルトとカルマだからな」
今回は番外編なので次回予告はなし。