RWBY Mask of Grimm   作:人間のダスト

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 RWBYのVol.1‐3がTVで放送したということとか、Vol.4の日本語吹き替え版の制作決定の報を聞き、抑えが利かなくなり投稿することにしました。

 非公式の翻訳もいろいろあって楽しい限りです。日本語吹き替え版と見比べてみるのも面白いかも。



Journey
”Mask"Trailer ~blekeing mask~


 ―――その昔、人々は創造物として生を受け、英雄譚を語り継ぎ、そして忘れていった―――

 

 

 

 昔々、人々は塵の中より生まれ出た。

 

 しかしながら過酷な環境の下で生きることを余儀なくされていた。

 

 闇より出でる怪物、『グリム』の存在があったからだ。

 

 それらは人々を闇の中に葬り去ろうと容赦なく襲い掛かってくる。

 

 その闇は世界を脅かし、光の中に生きる人々を飲み込まんとするほどだった。

 

 だが彼らは小さな光の中に希望を見出すことになる。

 

 情熱と叡智を源とした新たな力――――――――――――

 

 

 彼らはそれを(ダスト)と呼んだ。

 

 大いなる自然の力を手にし、ダストによって闇を追い払い、奪われた文明、力、そして繁栄を勝ち得た。

 

 だがその輝きも所詮は一時の輝きに過ぎないのかもしれない。

 

 そこらかしこに闇は蔓延っており、いずれ甦るものなのだから……

 

 

 だがこの物語は闇を払う者の物語ではなく、闇の中より生まれた者が光をつかみ取る物語だ―――――――

 

 

 

 

 ――マウンテン・グレン―――

 

 レムナントに存在する四つの王国のうちの一つ、ヴェイル。ややこしいがその首都のヴェイルからはるか南東に離れた場所に位置する丘陵地帯。かつて王国の領土拡大のため新たに都市を築く計画を行ったものの、その姿は想定していた姿にはならなかった。

 もはや廃墟と形容すべきソレは未だに無様に残っており、負の象徴として人々の記憶に残ることとなり、恐怖の象徴たるグリムが流入している。当然計画は頓挫。市街地へ通じる地下鉄も掘られてはいたが封鎖された。

 

 結果としてグリムの巣窟と化し、人間の生活環境には適さない地になった。

 

 それもそのはず、グリムは人の持つ感情、特に負の感情に引き寄せられる性質を持っている。怒り、悲しみ、恐怖心、憎しみといった感情がグリムたちを呼び寄せると古来から言われてきた。

 

 そのためグリムが一度現れると人々の負の感情で満たされる。死が隣り合わせになることで人々は忘れ難い恐怖の遺伝子を呼び覚ますのだ。その結果、更に多くのグリムを引き寄せるという負の連鎖を引き起こす。

 

 ……さらに質の悪いことにたとえ人間が消えようとも、負の感情が染み込んだ場所にもグリムは住み着く。それはこのマウンテン・グレンも例外ではなく、数多のグリムが徘徊していた。

 

 だが、そんな暗黒都市にぽつりと人影があった。本来ならこのような危険な場所に人間などいないはずなのだがこの日だけは違った。……そんな深淵の淵と呼んでも差し支え無い土地に人がいれば当然グリムは寄ってくる。

 

 狼型のグリム、ベオウルフたちは本能のまま、その人影に襲い掛かった。数というのは何者にとっても理解できる力であり、グリムという存在は知ってか知らずかはともかく……群れることによって身を守り、群れからはぐれたグリムも負の感情に惹かれる習性によって自然と群れに合流できるという習性も確認されている。

 

 人類が王国外で生きることが厳しいとされているのには、まともに対処できない数のグリムが生息し、その上無数に湧いてくるというのが理由の一つとして挙げられる。

 

 国境を越えた旅に出るだけでも命懸けであり、その結果、明日には連絡が取れなくなっているなんてことは珍しい話ではない。

 人類は古代にグリムを退ける術を得ただけであり、真の安寧を勝ち得たわけではないのだ。未だに綱渡りをしながら明日を求めているに過ぎず、両種族の戦いは今も続いている。

 

 ……話を戻そう。このベオウルフたちはグリムとしては若い個体である故に知性の欠片も備わっていないまさしく「獣」と称すべき存在であるものの、人間に比べれば力も強く、図体は巨大であり、挙句の果てにはすべてを破壊するまで止まらない程に凶暴ときた。だが、「ハンター」と呼ばれるグリムを狩ることを生業としている者であれば余程の役立たずでもなければ難なく退けることができる。

 

 

 

 ……ただ、この青年はハンターではなかった。ハンターではない彼は次の瞬間には獣の腹の中に納まっていると誰しもが思って疑うことはないだろう。

 

 しかし、ただの人間というわけでもなかった。そこがグリムたちにとって唯一にして最大の誤算だった。

 

 彼はおもむろに奇妙な形状のベルトを取り出して腰に巻き付けた後、ただ一言だけ発した。

 

 

「変身」と。

 

 

 その言葉がグリムたちの聞いた最後の言葉になった。

 

 

 

 近くにあった今にも崩れそうな建物の中で彼は一人ごちる。

 

「こんな生き方をしていると文明的な生活が恋しくなるな……」

 

 先ほどまでのグリムとの戦いで一方的な殺戮を行った男の発言と誰も思うまい。グリムは大きく感情を動かさない限り察知されにくくなるが、念には念を押して遮蔽物のある建物の中へと入りこんだ。

 人がいれば不法侵入で通報ものだが、誰もいなければ貸し切り状態だ。よって何も問題はない。風呂もなければふかふかのベッドもないが、長旅でややよれてきているジーンズのまま寝転がり、漆黒の外套にくるまって眠った。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 太陽は朝が来れば必ず昇る。日影でもない限り。

 

 昨晩の寝床でもあり、これから起床する場所も例外ではない。日が昇っておよそ三十分程だろうか。散々目覚めることを拒否して外套に顔を埋めてはみたものの、瞼の裏の瞳を焦がさんとする日差しに抵抗することを遂に諦め、鉛のように重たい体を起こし、大きな伸びをして起き上がった。

 

「さっさとこんなとこから出てって、もうちょいしっかりしたとこで美味いものを食いたいな……」

 

 言うだけ自由だが、足を動かさないことには虚空に溶けていく言葉は何一つとして現実にはならない。そう理解していてもついつい口に出てしまうものだ。

 

 ……もはやここに用はないと言わんばかりに廃墟の出口へ足を進める男が一人いるだけだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「……カルマはまた潜入かい?」

 

「ああ。ホワイト・ファングにね。あのへっぽこテロリスト共はボロを出しやすいっていうのが彼と私の共通見解さ。だから必ずとんでもないことを隠していると踏んだが……」

 

「それだけのために僕を呼び戻したのかい?それならスクロールでもよかったんじゃないの?」

 

「まあ親友の顔を直に見ないと心配になることもあるからねぇ。私も随分と心配症になったものだ……」

 

 ライダーススーツの上に白衣を着た黒髪に金色のメッシュを入れた青年と吟遊詩人のような身なりをした透き通る銀髪をした全身純白に近い色合いの青年が薄暗い地下室で密談をしている。その様は悪の幹部同士の作戦会議を思わせるものだった。

 

「じゃあ僕はこれから一か月くらい出かけて情報収集してくる。留守番頼んだよゴルド」

 

「博士と呼んでくれ。……もう諦めているから構わないが」

 

 




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