RWBY Mask of Grimm   作:人間のダスト

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お ま た せ

ネタはあっても文章に起こすのがきつくて二週間ほど投げてしまいました。その間ビルドを見てハイになったりもう休みが終わりに近づいてるとなって鬱になっていたりして本当に申し訳ありません。

(本編にホモ要素は)ないです。安心してください。

ここからできる限り巻いていくのであくしろよ、という兄貴たちも少々お待ちください。

しかし改めて思うけどホントRWBY新規層に優しくない作品だぁ…… 雑な出来ですがどうか読んでいってください。

今回からやる前回までのあらすじ
・アダムご乱心
・ネロ変身、異形と化す
・謎の鎧、唐突な手助け


Determination

「うむむ……」

 

 数日程前、あの場から離脱するためににダイナミック下車したはよいもの、いや全然よくはないのだが、勢いで飛び降りたことを後悔することになった。ブレイクをあの場から逃がすことができたところまではよかった。

 

 いや、全くもって大問題だ。ベラドンナ夫妻に無事に見つけて連れて帰りますなんて啖呵を切って見つけるところまではよかった。実際見つけて接触まではうまいことやった。しかし詰めの部分が甘すぎた。

 

「俺のバカヤロー!」

 

 森の中で声が響く。その声でグリムが寄ってくると思ったが運良く寄ってこなかった。迂闊だが本当に叫んでもいないとやっていられない。憂さ晴らしになってくれるグリムさえ寄ってこないとさらに空しくなる。 

 その場のノリで「いいからとっとと逃げろ」なんて格好つけた結果がこれだ。本来の目的と矛盾しすぎている。これでどこかでグリムにやられて野垂れ死にでもされたら完全に自分の責任だ。もう過ぎてしまったことだからどうしようもないが、もはや彼女のサバイバル能力が高いことを祈るしかない。

 

 列車を切り離していったから恐らく別ルートに行ったのだろう。目星があって運がよかったから見つけることができたのだ。恐らくここまでの好条件を逃してしまったら次に見つけるのは数か月後か、あるいは数年後か。 

 

 なんだか最近は乗り物に乗った後に頭を抱えてばかりだ。海で後悔(航海)して、陸では列車でダスト強盗の後に自主的に下車という名の大脱出。次は飛行機のハイジャックでもやらかすことになるのではないかと思うと戦々恐々とする。

 

「でも一番の問題は……」

 

 腹がぐう、と鳴る。丸一日何も食べていない。こんなことならば非常食の一つや二つくらいは忍ばせておくべきだったと後悔する。叫ぶ元気はまだまだ残ってはいるものの、そこらへんに生えているキノコ……は流石に食べたくはない。人間離れしているところしかないと言われても否定する材料がないとはいえ、そこまで体を張った真似はごめんだ、と頭を振る。

 

 そこらにいる動物を狩るのも乙なものだが、気配が感じられない。グリムと動物は縄張り争いをすることがあるらしいが、その軍配はグリムに上がったようだ。そこらへんの草を食べるにしてもフレッシュすぎて逆に体に悪いだろう。三日ぐらいは水だけでも何とでもなるがそれは嫌だ。まともな食事を取れないのは生きる気を削がれる。やる気だけで生きられるほど世の中甘くはないが、それすらないというのは問題外だ。来世に出直す危機は少し前にあったばかりなのでわざわざその可能性を引き上げるのは精神衛生上よろしくない。そう考えると前の自分がどれほど人間離れした生活を送っていたかと思うとネロは身震いした。

 

 幸いなことに最終手段を敢行する前に街につくことはできた。道行く人には怪訝な顔で見られたが、そんなことを気にしていては旅はできない。一張羅ともいえる黒い外套は枯れ葉がくっついて泥が付いて薄汚れてしまったが、洗えば何とかなる。大したことではない。

 そんなことよりも食事だ。その辺に来ている屋台で麺をずずっと啜りたい。熱々のスープが絡み、喉を少し焼いた後、腹の中に吸い込まれていく……たとえ一口だけでもいい。それだけでも今の自分にとっては最高の食事になり得る。麺以外のものも要求するなどとんでもない。そんなに多くのものを求めたらバチが当たって死んでしまうだろう。

 

 まあその辺に都合よくいい感じの屋台など来ているはずがないので普通に食事処で腹ごなしをした。好きな時に肉を食べることができるのは贅の極みだ。そして入った店は「当たり」の部類だったらしい。こういうふらっと入った店の料理が偶然美味しくて少し嬉しくなるのは旅の醍醐味だろう。

 ゴムのように固くもなければさっと溶けてしまわない、程よい歯ごたえに後味のしつこくない味付け。人によってはその場で自分の手で狩ったものの味は格別だと言うものの、店でその道の者が調理して出したものの方が上だというのが個人的な意見だ。調味料の有無は大きい。

 

 舌鼓を打った後、街を歩いていると賑やかな空気が流れていた。少し開けた広場だ。街の中心部なのか、四方に道が伸びており、噴水があって腰掛ける椅子があるようなどの街にもありそうな広場だ。

 そこでは旅芸人というには少し落ち着いた、白を基調にしたフード付きのマントの男が横笛を吹いているのが目についた。辺りに聴衆が集まり、聞き入っている者もいれば、ちらりとその様子を見るだけで過ぎ去っていく者もいた。

 おひねりを受け取るカゴらしきものを置いていない。ただ趣味で演奏をしていただけなのだろう。奇特なものを見るような視線もあるあたり、このあたりの人間ではないことは確かだ。

 

 その音色は激しいものではなく、かといって物悲しいものでもなかった。目を瞑って聴けばこの街のような平和な場所が思い浮かぶようなものだ。町がこの音楽に似ているのか、それともこの音楽が街に合わせて奏でられているのか。旅人であるネロにはどこか縁遠く、不躾なのかもしれないが悲しく思えた。

 

 まばらな拍手が送られ、奏者がお辞儀をして数秒ほどした後にネロが入ってきた側に向かって歩いていった。何か一つのことを成し遂げ、堂々とした風体であった。

 

 ネロにとって彼には好感が持てた。自分には力でしか誰かを助けることしかできない。それに比べて彼は別の方法を以って人々を笑顔にすることができる。自分も胸の奥にもほんのりと温かいものが漏れてきていた。思いの外ミーハーなネロはならば彼と話をせずにはいられない件の白マントを追って広場を出た。

 

 少し離れた場所物陰に隠れながらからバレないように尾けていた。傍目から見れば不審者だ。ターゲット(白い奴)は鼻歌を鳴らしながらゆっくりと歩いていたが、建物の角を曲がった先で見失ってしまった。方向は間違いないと確信しているものの、あのミステリアスな後姿がそれを曖昧にさせてくる。

 

「何かお探しかな?」

 

 背後から飄々とした声で呼びかけられた。先ほどまで前方で鼻歌を先ほど広場で演奏していた曲を奏でながら、歩いていたはずだ。隠れる場所などどこにもなかった。となるとセンブランス?それぐらいでしか説明のつけようはないが、その種がわからない。超スピードで誤魔化した……ということでもないだろう。そんなことができるなら尾行を察知した時点でさっさと撒けばいいだけだ。それに少しばかり早く動いたところで余裕で見切れる。光並みに早く動けるなら話は変わってくるだろうが。

 

 うんうん唸りながらネロは自分の目を掻い潜った方法を考えていたものの、その思考を遮って再び声がした。

 

「いいかな?先ほどの拙い僕の演奏はいかがだったかな?」

 

 苦笑と照れが入り混じった顔で白マントは追跡者(ネロ)に自らのストリートパフォーマンスについての感想を聞いた。

 

「えっ?そんなに謙遜する必要はないと思うな。音楽はよくわかんないけど、心に染みてくるっていうかなんていうか……」

 

 しどろもどろになりながらの精一杯の受け答えだが、それだけでも白マントの青年は満足そうだった。

 

 

「へえ、ネロって旅してるんだ。いいなあそういうの。僕の場合はそうもいかなくてね。仕事で各地を転々としながら気晴らしにさっきみたいなことをしてるってわけだよ。途中までは同行してくれた奴がいたんだけど別の仕事が入ったとか言って別れたんだよ。実際に足を動かすのはこっちなのに……」

 

 現在進行形で愚痴を聞かされている。要約してしまえば指令を出してくる立場の男が割と自由奔放なところがあるから振り回されるこっちの身にもなってほしいといったものだった。そのことを語っているときの彼は疲れ切った声色で数分に一回は溜息をついている。先ほどまで見事な演奏をしていた姿はどこかへ吹き飛んで行ってしまった。

 

「あの……大丈夫ですか?なんか色々と苦労しているみたいですけど」

 

「身内のことだからあんまり気にしなくてもいいよ。それにこんなこと聞かせちゃってごめんね?いつものことだし」

 

 爽やかな香りが漂ってきそうだ。その白を基調にした服装も相まって尚更そんな香りがするようだ。

 

「まだ名乗ってなかったね。僕はハーメル・クラールハイト。ハルトって呼んでよ」

 

「なんでハルトなんだ?ハーメルじゃダメなのか?」

 

 ふとした疑問だったのでつい口に出してしまった。ハルトは一瞬苦虫を噛み潰した表情をしたが、すぐに元の顔に戻り、

 

「ハーメルって名前、『ハ』って音の後に長音が来るのってなんか間抜けな感じがするでしょ? だから知り合いにはハルトって呼ばせているんだよね」

 

 自分でも変わってるとは思うんだけどね、とその後に付け加えてはにかんだ。

 

 

 

「ネロ、何なら一緒に行かない?勝手な申し出かもしれないけどいい加減一人旅も空しいんだよねー」

 

 単独行動が普通のネロにとってはこの感覚はいまいち掴めないものではあった。そんなときふとメナジェリー行きの船で出会った船長の言葉が脳裏を掠めていく。この提案に乗るのも悪くない。

 

「大丈夫、誰かと旅をすることは初めてだけど何とかなるでしょ。人探しをしているんだけどそれでもいいなら……よろしく、ハルト」

 

「おおー!ありがとう!僕の友達も紹介したいからさ、楽しみに待っててよ」

 

 一緒に行くと言っただけで意外な程に好感触だってので、ネロは歩く速度ををあげた。

 

「それでどこを目指す?こっちはよっぽど危ない場所に行くって言われなければついてくけど」

 

 最低限の目的があるものの、必要以上のことはぼかして伝える。焦ってもどうにもならないことは後に回した方がよい。実際それで手痛いミスを犯した後なら尚更の事だ。

 

「そうだね、適当に旅をしているって言ったけど僕にも探し人がいるんだよね。まあ正確には人じゃないんだけど」

 

「人じゃない?随分と妙な言い回しだけど動物でも探してるの?」

 

 目的地があるのではなく何かを探しているらしい。物によっては全面的な協力も惜しまない。そのように告げようとしたが、

 

「大丈夫だよ、第一眉唾だし。のんびりやって見つからなかったって言えばいい。だいたい人型のグリムを見つけてこいだなんて無茶言ってくれるよ。僕のセンブランスが使い勝手がいいからってこき使いすぎなんだよね……」

 

 よくわからないがナーバスな雰囲気を滲み出している。第一印象からは遠くかけ離れた面倒くさそうなのがネロの目の前に立ち呆けていた。

 

「ま、まあ気を取り直して街の外に行こう。その人型のグリムとやらも見つかるかもしれないしさ、ね?」

 

 うっかりをしてか焦ることはあるが、頭が痛くなるのは初めてのことだった。一人旅よりも気苦労が絶えず増え続けるだろうと頬を掻くネロだった。

 

 

 

 

 町外れまでどうにかこうにかハルトを宥めながら歩いたのはよかった。そこから街道へと出た。数日前まで森で彷徨っていたネロにとってはもう見たくもない光景であったが、ヴェイルへ通じる道で一番近いのがこの森を抜けていくルートだったのだ。それでも数日は森で野営をすることになるだろうし、最短ルートとはいえ軽く一か月はかかる。

 

「……この状況はかなりまずいんじゃない?」

 

「向こうのテリトリーだからね。こうなることは予想してはいたけれど……」

 

 二人はグリムの群れに囲まれていた。それもベオウルフだけではない。大型のアーサやキング・タイジツ、ボーバタスクまでいる。唯一の救いは大半がベオウルフで厄介そうな種は精々一、二体程ということか。それでも総数は五十は下らない。

 

 背中合わせで互いの死角を補う。グリムは二人の隙を伺いながら唸っている。

 

「ハルトってかなりヤル(・・)ほう?そうでないならさっさとこんな森からおさらばしたいんだけど……」

 

「まさか。ネロこそ一目見たときからかなりデキる(・・・)と思ったからこんなルートを通ってるんだ。そんな冗談はよしてくれ」

 

 第一印象はお互い物静かな奴だと思っていた。どうやらそれは――――――

 

 

「後ろは任せたよ、ネロ。うっかりミスでくたばるのはごめんだよ?」

 

「その言葉、そのままそっくり返すよ。あんまりタフじゃなさそうだから先に倒れないでね?」 

 

 

 間違いだったらしい。

 

 ネロが黒い靄の中から拳に棘が生えた籠手を、ハルトは普段は美しい音を奏でる横笛に穂先を付け、グリムに向けて切り込んでいったのが合図となった。

 

「まずはデカいのから潰していく!」

 

 デスストーカーが一番近いが、そこまで行くのに十体ほどのベオウルフが阻んでいる。すれ違いざまに三体ほど殴り飛ばし、巻き込むようにして後続のベオウルフを吹き飛ばし、間合いを作る。直接殴られたのは着弾と同時に弾け飛び、元あった形を失う。破裂に巻き込まれたベオウルフも動かなくなり、道は開かれた。

 

「そんじゃ一発重いのプレゼントだ!」

 

 開けた空間で助走をつけ、大きく跳び上がって拳を叩きつける。仮面に罅を入れるだけでは飽き足らず、周囲の地面まで陥没させる。一切の反応も抵抗も許されなかった大蠍(デスストーカー)は当然ながらその巨大な鋏を生かす間も、ゆらゆらと動く黄色い毒針も使わずに砕け散った。

 

「ちょっと、僕の方の足場が崩れたらどうするのさ!」

 

「ごめんごめん、いつもの流れでさ」 

 

 叱責を飛ばされるのも慣れないことだがそれでも誰かと肩を並べ、背中を預けあって戦うというのは一度やってみたかった。こんな軽口を叩きあって戦うのもやはり楽しいものがある。

 

「本当に分かってるのかな……まあいいか、こっちもサクッと片付けますか」

 

 笛の吹き口に唇を触れさせて空気の振動を起こす。その振動は辺りに広がり、グリムたちを錯乱させる。

 

「いわゆる魔笛ってやつですな。うまいことやらないと味方も巻き込むのが玉に瑕だけど、これでフィナーレだ」

 

 風を纏ったかのような動きをして残っているグリムに穂先を突き刺し、そこから何かを流し込んでからターゲット……キング・タイジツの下へ走りこむ。鎌首をもたげて双頭の蛇が二股に裂けた舌を出し入れしながら締め上げようとするが、ハルトはその包囲網をするりと抜けて右往左往させていた頭に他のグリムと同じように突き刺した。一呼吸おいて、内側からブクブクと膨れ上がり、泡立った肉体が破裂した。

 

「ふぃー、たまには派手に動くのも悪くはないかもね。お疲れ」

 

「うーん、割とエグイことをするな。今のが人に向けられたら相当見れたもんじゃないことになるよね」

 

 はっはっはと乾いた笑いをするネロとは対照的に、日課をこなした後の老人のようなことを言って汗を拭うハルト。ただ、どちらもまだまだ余裕があるようで、息さえ切らしていない。グリムも二、三体程しか残っておらず、ベオウルフなら後は適当に……といったところで異変が起きた。

 

「ウ……ウウ……アアアアアアア!」

 

 そのうちの一匹が突然二足で立ち上がった。犬がじゃれつくときのそれとは違い、人間と同じように安定して立っている。

 

「こりゃ楽勝と言ってもいられない感じだな」

 

 すぐさま脇を固めていたベオウルフを殴り、先ほどの焼き直しを作る。しかしその異形はその一撃が脅威であると明確に理解しているような素振りを見せ、躱そうとしたものの、右半分に当たってしまい、その部分は消し飛んだ。

 

「オ……ウ……」

 

 弱弱しい声を上げてばたりと倒れ、動かなくなった。

 

「弱っていたからいいものの、万全の奴だったら危なかったかもね。しかし今のは一体……」

 

 亡骸を見ながら目を離さないハルト。ネロとしてもその正体は気にはなる。

 

「ハルトとその仲間が探している人型のグリムに何か関係があるのかもしれないな。今のところはよく分からないけど、次に見つけたときに考えるしかないでしょ」

 

 首をひねっていたものの、頷くハルト。

 

「まあこういうのはあいつに任せておけばいいか。僕の仕事はあくまでも情報収集だし」

 

 そんなことよりも、とネロに向き直り眉をㇵの字にする。

 

「さっきの地砕きは大したもんだったよ、でもね、こっちに一声かけてくれたっていいんじゃない?今後は気を付けてよ?ただでさえ胃痛になりそうなのにこれ以上問題児の世話とかしてらんないよ本当……」

 

「ごめんごめん、本当に悪かったって。今まで一人でやってきたからさ、こういうのの勝手についてはどうもね……」 

 

 平謝りする他不機嫌なこの笛吹き男は期限を直してくれないだろう。しばらくして顔を上げるとふう、と溜息をついて踵を返した。

 

「次に気を付けてくれればいいんだ。じゃあとっとと薄気味悪い森を抜けよう。もう一日あれば余裕で抜けられるよ」

 

「おう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クスクスクス……

 

 

 

 

 

 

 見つけた……

 

 




タイトル回収すらしないとか人間の屑過ぎる……

次回予告は売り切れです。次の入荷をお待ちください。

11/11次回予告を追加。

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