fate×メガテンもの(旧名・間桐慎二のデビルサマナー(短編))   作:メガテニスト(偽)

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本編を放置してまた不確定な未来(予定)の話を書く投稿者の屑。

許してください!なんでも(略)

ちゃんと本編は進めてます(震え声


これに出てくる慎二君は戦いの連続やらいろいろあってやさぐれたけど優しさは持ち合わせているぼくのかんがえたかっこいいおりじなるしゅじんこうと化しています。
そういうのが苦手な人は注意。


未来のお話Part2 前篇

「んー、つっかれたぁー!」

 

深夜の新都を一人の女性が歩いていた。

知り合いの目がないことをいいことにグイーッと背伸びをしながら夜の街を歩く女性。

今日も1日頑張って働いた自分へのご褒美に高級スイーツを買って、

冷蔵庫で冷やしているのを思うとなんだか疲れもやわらいでくる。

明日は休日なのでエステサロンの予約を入れてある。

心も体もスッキリしよう、なんて楽しい明日のことを考えながら歩いていると男性が

目の前を走って横切っていった。

その後には何やら財布のようなものが落ちている。

きっとさっきの人が落としていったのだろう。

今ならまだ間に合うかもしれない。追いかけて届けてあげようかと思い、走り出した。

男性の背中を追いかけていくとどうにも付かず離れずで追いつけない。

声を上げてみるが、気付かずに走っていく。

それに人目のないところへとどんどん入って行く。

そしてとうとう背中すら見失ってしまったので諦めて、

『交番にでも届けよう。』

そう思って振り返って気がついた。

 

「何処よ…ここ…。」

 

全く見知らぬ所にいることに。

それになんだかわからないが嫌な予感とでもいうのだろうか。

そういった不安が襲ってきた。

『こんな所さっさと出よう。』

そう思ってひとまず人気のあるところを目指して歩き出した。

道路にでも出ればどこにいるかわかるだろうと思い、歩いていく。

しかし、あるけどもあるけども一向に道路に出ない。

それどころか周りが高いビルに囲まれた路地裏をさまよっていた。

気のせいだろうか。何処かから見られている。そう感じて足を早めていく。

鼓動が早くなっていく。不安に押しつぶされそうになる。

早足は小走りになり、小走りは全力疾走になっていく。

あてもなく路地裏を走っていく女性。

とうとう袋小路にたどり着いて息が切れた。

膝に手をついて荒い呼吸を鎮めていく。

そして顔を上げて気がついた。袋小路、その壁に何かある。

反応が警告を出す。だけどそれが何かがとても気になる。

意を決して近づいていくとその正体がわかった。

 

人の死体である。

 

「ひっ!?」

 

死体はひどく無惨な状態であった。首の一部、腹部、腕などがまるで食い千切られたかのように欠損している。

おおよそ人がやったとは思えない傷。まるで食べられたみたい。

そして嫌でも悟った。次は自分がこうなる番だと。

 

「い、いや…!」

 

暗闇の中から犯人が姿をあらわす。

“まるで食い足りない。”

そう言っているかのようなどう猛な唸り声をあげて近づいてくる。

 

「嫌ああああああああああぁぁぁ"ぁ"ア"ア"ア"ァ"ァ"ァ"!!!!???」

 

深夜の新都に女性の断末魔が響き渡る。

しかし、それを聞いたものはおらず。新都はまた静けさを取り戻した。何もなかったかのように。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「昨夜未明、二人の女性の死体が見つかった事件で、

遺体調査を行ったところ、身体をかじられたような跡が見つかり、

警察は、噛み跡から山から降りてきた狼によるものだとして調査を進めています。

 次のニュースです…。」

 

「怖いわね、あんたたちも気をつけなさいよ。」

 

「はーい。」

 

そう返事をして朝食を食べていく。

 

「こらっ、孝太、洋介のおかず取らないの!」

 

いつもの騒がしい朝。私の1日はこうして始まります。

私は三枝由紀香といいます。

 

ご飯を食べ終えたら学校に行きます。弟たちも一緒に家を出ます。

 

「「「「「いってきます。」」」」」

 

通学路の途中、二人の友達と待ち合わせをして一緒に登校します。

 

「おはよう。鐘ちゃん。」

 

「由紀香か、おはよう。あとは蒔だけたな。」

 

この子は氷室鐘ちゃん。冷静で頼れる女の子です。

だけど趣味のことになると熱くなる一面もあります。

鐘ちゃんと少し待っていると下り坂の方から走ってくる女の子がいます。

 

「ごめーん!ちょっと遅れた!」

 

「おはよう、蒔ちゃん。」

 

「おはよう、蒔。随分と慌てているようだが、寝坊でもしたか?」

 

「おはよう、由紀っち、鐘。いやー、まいったよ、

目覚まし止めてついうとうとしてたらやばい時間になっちゃってて

さー!」

 

この子は、蒔寺楓ちゃん。いつも元気いっぱいな明るい子です。

ふたりともわたしがマネージャーをしている陸上部のエースです。

蒔ちゃんはインターハイを目指せるくらいほどすごいんです!

 

二人と一緒にお話ししながら登校します。

二人と一緒にいると楽しいです。

 

学校に着いて教室まで歩きます。二人とも一緒のクラスです。

向かう途中階段である女の子に会いました。

 

「おはようごさいます、遠坂さん。」

「おはよー!遠坂!」

「おはよう。遠坂さん」

「あら、おはよう。三枝さん、蒔寺さん、氷室さん。」

 

この子は遠坂凛さん。優等生で学園のアイドルです。

実は私も憧れています。

 

教室に入ってお話ししていると朝のHRのチャイムがなったので席に着きます。

担任の葛木先生が入ってきました。

 

「それでは、HRを始める。日直、挨拶を。

……連絡事項を言う。昨日、新都の方で殺人事件があった。

放課後、用がない場合は速やかに下校するように。」

 

その後も連絡は続いて、HRが終わった後は授業です。

 

四時限目の授業が終わったらお昼休み。昼食です。

その時に遠坂さんを誘ってみたのですが断られてしまいました。

なのでいつものように蒔ちゃんと鐘ちゃんの三人でお弁当を食べます。

 

「でさ、そこの店の料理がさ、また美味いんだよ!

それでさ、明日みんなで一緒に行かない?」

「ふむ。蒔がそこまで勧めるのならば、さぞかし期待できそうだ。

由紀香はどうする?」

「私も食べてみたいな。」

「そうこなくっちゃ!それじゃ!明日九時に駅前のバス停ね!」

 

お昼休みが終わるとまた授業。それを終えたら放課後。

放課後、陸上部の活動を終えたら帰宅です。晩御飯を食べて、

弟たちと遊んで、お風呂に入って、おやすみなさい。明日、楽しみだな。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

翌日、約束した時間の30分前にバス停に来ました。

まだ蒔ちゃんや鐘ちゃんはきていないみたいです。私が一番乗りなのはちょっと珍しいかな。

二人が来るまでの間近くのベンチに座って待ってよっと。

 

ベンチに座ってぼーっとしながら行き交う人々を眺めていると、

小さな男の子が走って横切りました。その後に何かが落ちていました。

近くによって拾ってみるとそれはなんだか高級そうなハンカチでした。

女の子のほうを見ると走って横断歩道を渡ろうとしているところでした。

 

「あ!待って!ハンカチ落としたよ!そこの男の子!」

 

大声で呼びながらあわてて追いかけようと走りました。

人込みをかき分けながら必死に走っていると誰かにぶつかってしまいました。

 

「って、気ぃつけろ!」

「きゃっ!ご、ごめんなさい。ま、待って…!」

 

謝ってすぐにまた追いかけようとすると、肩を掴まれました。

さっきぶつかってしまった男の人です。

 

「お、君かわいいじゃん。ねえちょっと付き合ってよ。」

「えっ、こ、困ります。」

「いいじゃん、ぶつかったお詫びだと思ってさあ。」

 

数人の男の人たちがニヤニヤしながら私を囲んできました。

ど、どうしよう?!

 

「あ、あの、私急いでるので!」

 

そう言いながら抜けようとすると行く手を防がれました。

 

「そういわないでさぁ。俺たちといいことしようぜ?なぁ?」

 

こ、恐い。誰かに助けを求めようにもみんな絡まれたくないのか見て見ぬふりです。

手を掴まれて引っ張られそうになって、

 

「やめてください!」

 

と手を振り払おうとしましたが力が強くて振りほどけません。

強引に引っ張られてどこかに連れて行きそうになった時、私の手を引いている男の人が誰かにぶつかったようでした。ドンっ、と音がして男の人はいらだたしげに、

 

「気をつけろこらぁっ!」

 

ぶつかってきた人を蹴飛ばしました。

 

「ひ、ひどいじゃないですか!ぶつかったのはあなたでしょう!」

 

「うるせーな!立場わかってんのか!」

 

こちらに向き直って怒鳴る男の人。その時、

 

「おい。」

 

「ああん?今取り込み中だy…。」

 

言い終わる前に肩を掴まれて向きを変えられ顔を殴り飛ばされた男性。

吹っ飛ばされて転がって行きました。そして殴った人は―、

 

「よっちゃん!?なんだてめーは!?ケンカ売ってんのか!ぶち殺すぞ!」

 

「ん?先にぶつかってきた挙句に蹴飛ばしてきたのはお前らだろ?

 つまり、お前らが売ってきたケンカの間違い。俺はそれを買っただけ。」

 

穂群原学園の不良として悪名高い間桐慎二君でした。

 

「てめぇ!ぶっ殺してやる!」

 

取り巻きの男の人たちが数人で間桐君に殴りかかりました。

間桐君は最初の人のパンチをかわして懐に潜り込んでみぞおちを思いっきり殴りつけ。

その一撃でその人は倒れこみました。

次の人は蹴りかかってきましたが、横によけて逆に回し蹴りで顔を蹴りつけました。

その人はその場でひっくり返り、地面に背中から倒れこみました。

最後に、体当たりしてきた人をそのままの勢いで投げ飛ばしました。

受け身も取れずに地面にたたきつけられてしばらく立ち上がれないみたいです。

ものすごい早業でした。

 

「つ、つえぇ。」

 

「おい、まだやるか?相手になるぜ?」

 

男の人たちは、

 

「ちくしょう!覚えてろよ!」

 

という言葉を残してどこかに行ってしまいました。

 

「弱すぎて覚えてらんねーよ!今度からケンカは相手を見て売るんだな!」

 

男の人達の背中にそう言うと間桐くんは何処かに行こうと足を向け、

急な展開にボーッと見ているだけだった私はそこではっとなり、慌てて

 

「あ、あの!ありがとうございました!」

 

とお礼を言いました。そこでこちらに向き直った間桐くんは、

 

「はあ?何?お前自意識過剰なの?別にお前なんて誰も助けてねえよ。

 俺はあいつらが売ってきた喧嘩を買っただけ。つーかお前誰?」

 

と言い放ちました。

まるで私は目に入ってなかったと言われた上に罵倒されてショックで落ちこみそう

になりましたが、

 

「あ…う…。で、でも、困ってるところを助けられたのは本当だから…。

 だからありがとうございます!」

 

「だから助けてねえって言ってんだろ。礼なんざいらねえよ。」

 

「で、でも…。」

 

「しつこいな。なんか知らないけど助かったラッキー程度に思っとけばいいだろ。

 それでこの話は終わり。じゃあな。」

 

そう言って再び踵を返して何処かに行こうとした間桐くんですが、

ピタッと足を止めて、

 

「それと、どんだけ急いでたかわかんねえけど、今度からはもうちょっと前見て

 歩くこったな。」

 

振り向かないままそう言って何処かへ行ってしまいました。

その背中を見送ることしか出来ないまま。

 

「名前…、言いそびれちゃったな…。」

 

 

 

「おーい、由紀っち~。おっはよー!」

 

「由紀香。おはよう。」

 

慎二くんを見送っていると蒔ちゃんと鐘ちゃんが来ました。

 

「どしたの?なんかぼーっとして。」

 

「ふむ…あそこにいるのは慎二ではないか。あやつがどうかしたか?」

 

「慎二?あ、ホントだ。…はっ!もしや由紀っちアイツになんかされた!?

 許せん!とっちめてやるー!」

 

「あ、違うよ!ただ絡まれているところを助けてもらっただけ!」

 

「そうなの?てっきりしつこくナンパでもされたかとおもったんだけど…。」

 

「ナンパしただけでとっちめるのはひどいと思うよ蒔ちゃん…。」

 

「いや、あやつの性格から考えてナンパの線はないと思うぞ。

 積極的にナンパするようなやつでもないからな。

 以外とおしゃべりというか情報通ではあるのだが。」

 

「なんだよ。鐘、あいつと知り合い?。」

 

「たまに情報交換する仲だ。あやつ、なかなか人脈が広いようでな。

 知りたいことがあったら聞きに行くことも多い。」

 

「へー。何か意外だな。あいつ、どちらかというと一匹オオカミな感じするけど。」

 

「いや、同じクラスの人間や所属している弓道部の者とはそれなりに話すようだぞ?

 口は悪いが面倒見はいいとか。」

 

「ええ~!?見えねー!」

 

大げさに驚く蒔ちゃん。

 

「し、失礼だよ、蒔ちゃん。」

 

「ま、あいつのことなんてどうでもいいや。それよりさ、さっき由紀っち絡まれたって

 言ってたけど大丈夫?」

 

「あ、うん。間桐くんがその、喧嘩して追い払ってくれたから。」

 

「え!?大丈夫!?怪我してない!?」

 

「うん。巻き込まれなかったから。」

 

「しかし、どうする?そのことで逆恨みされているかもしれん。

 それにまだこの辺りをうろついている可能性もある。今日はやめておくか?」

 

「あー。そうしよっか?また絡まれたら厄介だし。」

 

蒔ちゃんも鐘ちゃんも私を心配してくれてます。

 

「でも、楽しみにしてたし…。それに休日で人も多いし、心配しなくても大丈夫だよ!」

 

「そうか?由紀っちがそういう言うんならいいけど…。

 そんじゃ、まずは昼まで何して遊ぶかね?」

 

 

 

3人で当てもなくぶらつきながら遊んでいるとちょうどいい時間になりました。

約束していたお店でお昼ごはんに蒔ちゃんから聞いていたパスタを食べました。

 

「あ!おいしい!」

 

「確かに。これはなかなか…。」

 

「だろ!?だろ!?」

 

お昼ごはんを食べ終わり、お店から出るとまた当てもなくぶらつきます。

 

「食べた食べた。おなかいっぱーい。」

 

「おいしかったね。」

 

「ああ。…む?あちらにいるのは遠坂さんではないか?」

 

鐘ちゃんが見た方向をみると確かに遠坂さんがいました。

なにやら人に聞き込みをしたりして探し物をしているようです。

 

「あ、ほんとだ!おーい、遠坂ー!」

 

蒔ちゃんが遠坂さんに近づいていきます。遠坂さんはこちらに気がついて、

 

「あら、こんにちは、蒔寺さん、氷室さん、三枝さん。奇遇ね。

 3人で仲良く遊んでいたのかしら?」

 

「ええ、そうなんです。遠坂さんは何か探し物でもされてるんですか?」

 

「あー、えっと、うん。そんなところかしら。」

 

「よかったらお手伝いしましょうか?」

 

「いえ、それには及ばないわ。大したものじゃないし…。

 それより、最近この辺は物騒だから近寄らないほうがいいわ。

 ほら、今朝のニュースで流れてた狼に食い殺されたっていう事件。

 ここら辺で起こったみたいだから。」

 

「そうなんだ。でも遠坂だっておんなじだろ?人のこと言えないじゃん。」

 

「それは…そうだけど…。ま、まあとりあえず路地裏には近づかないほうがいいわ。

 みんな路地裏で襲われてるみたいだし。それじゃ、わたし急いでるから!」

 

そうまくしたてると遠坂さんはあわてたようにどこかに行ってしまいました。

 

「変なやつ。なんか慌ててるみたいだったけど。」

 

「確かに。様子が変であったな。余裕がないというか。」

 

「探し物のことかな?そんなに大切なものを失くしたんだったら、

 やっぱり手伝ってあげたほうが良かったかも。」

 

そういえば私もいろいろあってつい持ってきちゃったけど、このハンカチ、

失くした子に届けてあげないと。もしかしたら今頃探しているかもしれないな。

 

「ま、遠坂なら大丈夫でしょ。それよりどうする?遠坂の言ったことを気にしてるわけ

 じゃないけど、ここら辺でお開きにする?」

 

「ふむ、とくに用事があるわけでもないが、それでかまわんぞ。由紀香はどうする?」

 

「あ、私はちょっと用事が出来ちゃったから…。」

 

「んじゃ、ここで解散ね。じゃ、また明日ー!」

 

「ではな。蒔、由紀香。」

 

2人と別れてハンカチを拾った場所に戻ることにしました。

 

 

バス停の前まで戻ってハンカチを落とした男の子の姿を探しますが見つかりません。

30分ほどうろつきながら探していると不意に声をかけられました。

 

「何か探し物か?」

 

「ひゃっ!は、はい。」

 

驚きながらも後ろを振り返るとそこにいたのは赤毛の同い年くらいの男の子でした。

確か同じ学校の生徒の…。

 

「衛宮士郎だ。それで何を探してるんだ?よかったら俺も手伝うよ。

 もっとも俺も探し物してる最中だからそのついでになるけど。」

 

「あ、ありがとうございます!あ、私は三枝由紀香っていいます。

 えっと、このハンカチを落とした子を探してるんです。

 きっと今頃探してるだろうなって。」

 

「そうか。それでその男の子の特徴は?」

 

「えーっと、…あれ?」

 

どうしましょう。確かに見たはずなのに一向に思い出せません。

必死に記憶をたどりますがどうも記憶があいまいです。

 

「弱ったな。それじゃ探しようがない。」

 

「う~ん。あ!でも、なんというかこう、狼とか野性を感じる雰囲気だったような…?」

 

自分でもなぜそう思ったかはわかりません。ただ横を通り過ぎて行っただけなのに。

 

「狼…?わかった。何かわかったら知らせるよ。悪いけど連絡先を教えてもらえるか?」

 

「あ、はい!これがおうちの電話番号です。」

 

「わかった。何かあったら連絡するよ、それじゃ。」

 

そういうと何やら懐から取り出してしゃべりだしました。新しい携帯電話でしょうか?

衛宮君と別れてまた探し始めますが見つかりません。

そのうち夕方になって日が暮れてきたのでお家に帰ることにしました。

男の子、見つかるといいな。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「くそっ!」

 

よっちゃんと呼ばれていた青年が缶を蹴飛ばす。

先ほどのことでかなりイライラしているようだ。

仲間たちはすでに帰ってしまい一人で何か憂さ晴らしできるようなものを探しているようだ。

その時、何やらおどおどした青年が路地裏に入っていくのを見た。

何やら鞄を大事そうに抱えていて、いかにも荒事なんかしたことありませんという風だ。

それを見るといいカモを見つけたと言わんばかりに笑みを浮かべた。

軽くぼこって憂さを晴らすとともに金でも巻き上げるか。

そんな下衆な考えを持ちながら今しがた青年が入って行った路地裏へとはいっていく。

 

「っち、どこだよ。」

 

路地裏に入ったはいいがなかなか青年が見つからないことに苛立ちを募らせていく。

かれこれ10分は歩いている。

これは軽くじゃなくて10発ぐらい殴らねえといけねえな。

そんな理不尽な怒りを抱きながら角を曲がるとそこにお目当ての青年がいた。

“ようやく見つけた。しかもおあつらえ向きに行き止まりだ。”

獲物を追い詰めた肉食獣のように青年へといやらしい笑みを浮かべながら近づく男。

《実際に罠にかけられた哀れな獲物は自分だとも気付かずに。》

 

「よう。ちょっとようがあんだけどよぉ。」

 

青年の肩に手をかける男。そこで気がついた。この青年がやたらと毛深いことに。

そして青年が振り向く。振り向いたその顔はまさしく狼だった。

それはまさに人狼と呼ばれるもののようだ。

 

「…!?お、おらぁ!」

 

最初は度肝を抜かれた男だったが即座にその人狼を殴りつける。

人蠟は殴り飛ばされて地面に倒れた。

 

「お、驚かせやがって。」

 

自分の攻撃がきいたように見えた男は安心して、どうせかぶり物かなんかだろうと思い、驚かせた罰としてさらに痛めつけることを心に決めた。

殴り飛ばされた人狼は何事もなかったかのように立ち上がると自分を殴った男のもとに歩いていく。心なしかその顔は笑っているように見えた。

その人狼の奇妙な異様に押されそうになった男は自分を安心させたいのかまた園人狼に殴りかかる。

その時、人狼が腕をふるった。ふるわれた腕は男の手を文字通り《弾き飛ばした》。

 

「え…?ギャッ、ギャアアアアアアアアアアアア!!!???」

 

最初自分の腕がどうなったかが分からず、遅れてそれを認識して悲鳴を上げる。

 

「お、おれ”、お”れ”のうでがあああ”あ”あ”あ”!!!!」

 

その場で地面に座り込み鮮血を拭きながら半ばより吹き飛んだ自分の腕を見つめる。

その時影が差して激痛と衝撃とともに吹き飛ばされ、壁際の地面にたたきつけられる。

激痛に耐えながら飛ばされた方向をみるとゆっくりと人狼が歩いてくる。

 

「や、やめろ、くるな、くるなぁぁぁぁ!」

 

そんな懇願が通じるはずもなく一歩、また一歩と近づいてくる人狼。

 

「あ、ああ、あああああぁぁぁぁぁ!!!!」

 

恐怖でもはや言葉にならない声を上げるしかなくなった男。

誰か助けてくれ。そんな思いを抱いて、しかしそんな祈りが通ずるはずもなく。

 

「やめ、やめっ…!」

 

誰にも届かぬ断末魔を上げ、やがて静寂が訪れた。




今回は常時異界化していません。それゆえ3人とも足で情報を集めています。
主に霊感があるやつなどを対象に一人で来るように罠を仕掛けて、
狩りの時だけ異界を展開。逃がさないようにしてからいただいてるわけですね。
それに普段は気配を隠しているので悪魔の反応で探すということができないでいました。
だから異界を展開している時の反応を追って、出現するパターンや出現する場所をマーク、現れている時の異変などを聞き出して潜伏している場所をあぶりだそうとしてました。

今回は三枝さんが強い霊感があるので昼でも見れました。
普段は夜でないと見えません。今回出てきた被害者3人とも夜に襲われました。
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