ごきげんよう。
あなたも『落ちて』きたのかな? それとも――――いや、いいや。そんなこと、この際どうだっていいよね。
おうちに帰りたいみたいだね? それなら一つ、ぼくから伝えておきたいことがある。
『決意』だ。
あなたがそれを胸に抱き続ける限り、ぼくは何度でも、何があってもあなたを『ここ』に戻してきてあげる。
――――そう、何度でも、何があっても、だ。忘れるなよ。それさえ忘れなきゃ、きっといつかは帰れるよ。
じゃ、そういうことだから頑張ってくれ。ぼくはずっと見ているからさ。
……ああ、彼女に会ったんだっけ。
いや、あなたの口をかりてつい変なことを口走ってしまったのは許して欲しいな。でも、ぼくの気持ちはあなたにだってわかるだろ? ママって呼びたくなるじゃないか、彼女を見てたら、誰でも。
なんでだろうね。ぼくはあなたが落ちてくる前のことなんてなんにも憶えちゃいないのに、ここは不思議と懐かしい気がするんだ。
さっきのお花のことだってそうだ……ああ、心配しなくてもいいよ。ぼくはあなたの味方さ。さっきあのカエルのモンスターがじゃれかかってきたとき、ぼくが最初に言ったことの意味は『もうわかったろ』?
でもあのお花のことは気をつけておいたほうがいいね。なんとなくだけど、また会うことになるような気がするんだ。
鏡に人が映っている。あなただ。あなたは決意で満たされた。
え?
あなたが決意を抱いたとき、聞こえる男の人の声は誰か、だって?
……さぁね。言ったはずだよ、ぼくにもあのあなたの『スタート地点』より前の記憶はないってね。
あの優しいTorielママの言うとおり、Asgoreとかいうモンスターに会いに行けば何かわかるかもね。そのために、彼女と戦ってまであの暖かい場所から出てきたんでしょ?
ううん、にしても、やっぱり寒いな。Ruinsから一歩を踏み出したあなたを待ち受けている現実は早くも厳しい。
それに、Torielの忠告を忘れてないよね? ここから先、あなたが気をつけなきゃいけないことは他にもいっぱいある。
現にほら――――今、後ろから何か聞こえてきただろ?
また変な骨たちと友達になったね。
しかし、snowdinには動物ばかりで……ほら、犬にばっかり構ってないで先に進もうよ。その犬がそんな愉快なことになってるのは、あなたにも問題があるってわからないかな。
ぼく? ……なんでかな、今は、あのRuinsで感じた懐かしさはもう感じないんだ。
仮にぼくにあなたに会う前があったとしたなら、この場所にはさして思い出がなかったか、もう知っているような顔がいないってことだろうね。
――――そうさ、今となってはきっと、ずっと昔々のお話さ。やり直しすぎたせいか、もうどれだけ前のことかすら、もうわからないんだ。ああ、でも……
ここは、やっぱり寒いから。彼と違ってぼくは寒がりだから、きっと足早に通り過ぎたのかもね……『彼』? 誰、だろう。一緒にいて……思い出せないや。
温かい雰囲気がするこの街の光景を見てあなたは決意で満たされた。
あーあーあー……槍が降ったり生えたり大変だ。
で、どうするのさ? あの鎧のモンスターはTorielやPapyrusとは違うよ。このままだとあいつはあなたからソウルを取り出すためにあなたを殺すだろうね。
いや、そんなことにはぼくがさせないけどさ。このままwaterfall中を逃げ回りながら先に進むつもりかい? 今までは運よく逃れてきたけど、そろそろかつてとは違う意味での『決意』を固めなくちゃいけない頃じゃないかな。
……それにしても、楽しそうに逃げるんだね。命を狙われているってわかっているかい? あなたがそんなだから、さっきいたトカゲの子もあなたが遊んでいるんだと勘違いしているようだよ。ううん、あなたをこうしてしまったのはぼくにも責任があるのかな。
まあ、あなたの『決意』はあなたのものだ。あなたがどんな選択をしても、ぼくはあなたを見ているよ。
人間……モンスター……ソウル……『決意』。
どこかで見た……気がする。頭が痛い……黄色いお花? いや、違う。あいつは違う……!
……ごめん。ちょっと今、余裕、ない……
イテテテ……まったく。あのsushi臭い鎧め、次にあったら覚えて……
……ああ、またこの花なんだ。最初に落ちてきたときといいあなたは本当に運がいいね。いや、仮にあなたが無事じゃなかったらロードするだけなんだけどさ、いい加減それも面倒になってきたからね。あの鎧もいないみたいだし、今のうちに先に進んでしまおうじゃないか。
しかし……ゴミだらけだね。それも、あなたにも見覚えのあるものが多いんじゃない? ふん、『上』の奴等が見向きもせずに打ち捨てたもの、ね。あいつらにとってぼくはここにあるものと大して価値は変わらないんだろうな。あなたは……ああ、『帰りたい』んだっけか。だったらまあ、ぼくよりはマシなんじゃないかな。
え? 宇宙食を見つけた? 凄いな。チョコレートはなかった? ないんだ……
――――過ぎ去った日の声が聞こえる。
ぼくの声だ。それと……誰、だっけ。
ぼくはどうしてここにいたのかな……はは、ごめん。あなたに聞いたってわかるわけないか。
……ちょっとだけ、昔のことを思い出したよ。でもさっさと進もう。ぼくが何者かなんてたいしたことじゃないし、どうだっていいことさ。
――――今は。
……あなたには頭が下がるよ。まさかあの鎧半魚人とも友達になっちゃうなんてね。これも一つの『決意』なのかな……
さて、ここからは一転して暑いhotland。ここを抜ければ……なんだっけ。いやごめん、ここから先は本当に僕もよく知らなくてさ。
まあ、丁度いいじゃないか。あのぽっちゃりモンスターはあなたを手伝ってくれるって言ってるんだ。お言葉に甘えちゃいなよ。
……ちょっと胡散臭いけどね。なんだよ、あのロボットは。あんな見え見えの演技をして、『誰に』気づいて貰いたいっていうんだ?
まったく、あなたってやつは……どうしてこう、命を狙ってくる奴等とそう楽しそうに話しては友達になれるんだい?
あのぽっちゃりモンスターとヘンテコなロボットの茶番についてだってそうさ、あんなことに最後まで付き合わされて、よくもまあ最後までヘラヘラできているものだよ。
そりゃあ、あなたの『決意』が途切れない限りぼくはあなたを呼び戻してあげるって言ったけどね。それにしたってあまりに危機感がないんじゃないの? もしぼくがあなたを見放したら、って心配にならない?
でも、楽しんでくれてるならいいか。『飽きられて』しまうよりは余程いい。
決意を抱き続けるんだ。ゴールはもう、そこまで来てるよ。
――――イライラする。
なんなんだよお前たちは。ぼくのことなんて、見たこともないくせに。
ぼくと『彼』のことを、さも知ってるかのように語るなよ。あの時何が起きたのかも知らないくせに、わかった気になって話すなよ。
ああ、お前たちの未来は明るいだろうさ。でもそのお前たちの未来のために犠牲になるのは誰なのか、わからないとは言わせないぞ。
……それでも、あなたは笑うんだね。ちょっと、ぼくにもあなたがわからなくなってきたな。
安心しなよ。いつもと同じさ。ぼく達には『勝ち』以外はない。あなたに、『決意』がある限りはね。
鏡に人が映っている。なにがあろうと、それでもあなたのままだ。あなたは決意で満たされた。
――――悲しい顔、してるな。バカだなぁ、そんなに嫌ならさっさとやめてしまえばよかったのに。まあ『彼』のお父さんだもの、仕方なかったのかな。
おっと……今までみたいにいくと思うなよ。あなたにだってわかるだろう、決意もなにもあったもんじゃないけど、少なくても彼は本気だよ。
いくら負けないといったって中途半端な決意じゃいつまで経っても彼は越えられないし、なにより……彼の『決意』にいい加減な覚悟で相対しようというのなら、ぼくだって流石に許さないよ。
まあ……最後はあなたに任せるけどね。でも、モンスターのソウルはぼくたちと違ってとても儚い事はあなたもwaterfallで知っただろう? 折角彼が自分が死んでも間に合うようにワザワザ結界の前まで連れてきてくれたんだ。
帰りたいんだろう? 彼の好意を、無駄にすることはないんじゃないかな。
――――やられた。
ああ、たしかにぼくはきみをすこし舐めてたみたいだ。なにせきみはずっと違うって思っていたからね。今回は素直に負けを認めるよ。
……『ぼく』は、ね。
ああ、おかえり。最後の最後で手を貸せなかったのは悪かったね。でもまあ、結果オーライってことで。ちょっとあのお花は調子に乗りすぎたね、一々自分であなたの死を巻き戻すんだから……あの子、実は寂しかったのかもしれないね。
とはいえ……まんまと最後は勝ち逃げされたかな。あなたもわかってるよね?
結界を抜けて地上に帰還するには人間とモンスターのソウルの両方が必要だ。けれど頼みの綱のAsgoreのソウルはあのお花に壊されてしまったし……気づいてるだろ? あいつ、きっちり帰り道を塞いでいった。つまりぼくとあなたはここで行き止まりってわけさ。
そんな途方にくれた顔をするなよ……大丈夫、まだ手はある。最初にぼくがあなたに言ったことは憶えてる? あれには実は『二つ』意味があってね……ここから先は一度試してもらった方が早いだろう。つまりそういうことさ。
それとも、ここで終わってみるかい? いいや、それはそれでぼくはあなたの意思を尊重するよ。というか、ぼくに決定権はないしね。ただ……『戻る』気なら、二度目はもう少し立ち回りを変えてみたほうがいいとだけ言っておこうかな。あ、別にあなたが今回間違った行動をしたってことではないんだ。でもあのお花、あれだけやられても全く懲りてないみたいだからね、今までと同じやり方じゃきっと何度でも水を差しにくるよ。
どうすればいいかって? それをぼくに聞かれてもな……あのお花の話、ちゃんと聞いていたかい?
おっと……そういえば、携帯電話に留守電が入っていたっけ。
今あなたの決意がどういう形で固まったにせよ、もうちょっとくらい時間、あるよね。
あなたが『今回』積み上げてきたものだ。最後に聞いていきなよ。
ぼくは、見ていてあげるからさ。