なにやら急いでるみたいだな、お前さん。
だがちょっと止まれ。
もしお前さんがもう一歩でも進めば……これから起きることにきっと後悔することになるだろう。
――――まぁ。そりゃ、こうなるだろうよ。
ただ……俺はちゃんとお前に警告したからな。
――――そうかい。
ま、薄々こんなことになるんじゃないかって思っていたよ。Floweyも言っていたものね、『これはゲームだ』って。
ゲームであるなら、好奇心を抑える必要なんてない。不都合があったってやり直せる。
大正解だよ。まったくもって、あなたの判断は正しい。
ああ、そういえば一つ約束をしていたね。
あなたがこうして応えてくれたんだ、ぼくの願いとやらを教えてあげないといけないね。
その前に、一つあなたに伝えておこう。
ぼくは、人間が大嫌いだ。
ひどいなぁ。
あなたはもう、彼らの大半は悪意があって攻撃してきてるんじゃないことを知っているだろうに。
ああ、もうそれすらもどうでもいいのか。だよねぇ、ゲームで主人公がモンスターを倒すのは別に変なことでもなんでもないもんね?
まぁ、『このゲーム』は一度倒したモンスターはもう二度と出てこないんだけどね。
……ふーん。自分で殺しておいてそんな不安そうな顔するんだね。大丈夫だよ。リセットすれば何をしたって元通り、そうだろ?
みんなとは『次の周』でまた友達になればいいさ。
ACT? ……話す? 必要あるかい?
それともTorielにRuinsのモンスターを全て殺し尽くしたのはぼくですごめんなさいとでも言ってみるかい?
彼女が許してくれるかどうか見てみるのも面白そうだね。いや……やっぱり詰まらないな。先が見えているもの。
死ね。
はははっ! ……バカだなぁあいつ、あのノッポの骨。あなたのその粉まみれの手を見てもまだあれだよ。相当おめでたい頭してるな。
多分あの頭蓋の中身はさぞ軽いんだろうさ。どれだけ軽いか知りたくないかい?
うん? 何? やめるの? 好きにしなよ。ただ、ここでやめたってあなたのみたいものは見れないよ。
――――ああ。それでいい。じゃあ、そういうことだから。
死ね。
ほら見なよ、Expがぼくに向けてなにか喋ってる。
やめろなんて言わないだろ? ここまでこうしてきたのは全部あなたの『決意』なんだから、さ……!
……! ははっ、かっこいいな。ヒーローのご登場だ。
きみは毎回毎回、ぼくのことを追い回してくれたよね。刈り取られる側になった気持ちをぜひ教えてくれよ。
……モンスターにも決意があるのか。まあいいや。ねぇヒーロー、そのきみの決意が燃え尽きてドロドロに溶けてしまうまで、きみはぼくを何回殺せるのかな。
――――くだらないな。きみのその希望も何もかも、全て無意味だ。
死ね。
hotlandは随分と静かになったね。あの茶番もないならないで寂しいもんだ。
まあ、この調子なら支障はなさそうだ。あなたもそう思うだろ?
と思ったら……妙な障害物があるな。どけていこう。
あーあ……バラバラになっちゃったよ。直るのかなこれ。まあ、どうでもいっか。
決意。
ああもう、やっぱりママのところのチョコバーを持ってきておくんだったよ。これだからパパはダメなんだ……
ま、代わりにいいものを残しておいてくれたから許してあげよう。やっぱり『これ』がなくちゃあね。
ところで、さっきからなんか黄色いお花がぼくに話しかけてきてるんだけど、あなたはあれがなにかわかる?
え? ぼくの親友? ……バカを言うなよ、ぼくの親友は随分前にいなくなってしまったAsrielだけさ。お花に友達はいないよ。
それに……『今の』ぼくを見てぼくって言い張るんなら、ますますあいつはAsrielでは在り得ない。何故かって?
あなたが一番良くわかってるだろ?
鏡に人が映っている。ぼくだ。決意。
はっ、まぁ元々この小骨はタダ者じゃないとは思ってたけどね。
ちょっと、本気になるのが遅すぎたんじゃない? ……ああ、こっちの手の内も知ってるのか。諦めさせたいってことかな。
ああ、諦めてくれたらいいね。尤も……その様子じゃ、どっちの決意が先に折れるかはもう見えてるけどね。
――――まったく。最後の最後で、実につまらない真似をしてくれたな、あの骨。
あんまりにも必死だから楽しくて今回は最後まで見てるつもりだったのに……あまりにくだらなすぎて、ついうっかり手が滑ったじゃないか。コメディアンなら最後まで観客を楽しませて欲しいね。まあ、最後に滑るっていうのもいかにもあの骨らしいけど。
パパだ。
死ね。
お花だ。
死ね。死ね。死ね死ね死ね。死ね。
ごきげんよう。
ぼくはあなた……ああ、これは成り代わりってことになるのかな?
ExpとLoveのことはあの小骨から聞いてたろ? あなたが自分自身を遠ざけたおかげでぼくはその隙間に割り込むことができたというわけさ。
最初からこれが目的だったのかって? そうといえばそうだし、違うといえば違う。
ぼくはいわば、かつていた『最初に落ちてきた人間』のソウルの残滓に過ぎない存在でね。要は、あのFloweyと同じで『ソウルがない』んだ。よって、ぼくは自分の意思こそあれその在り方は宿主であるあなたの『決意』によって左右される。
どうだい、ぼくはあなたの決意に立派に応えてみせたよね? だってあなたはいけないことだとわかっていながら結果を見たがっていたんだものね? だからこれは自分の意思じゃないって、じぶんじゃない誰かの責任だと思い込んでここまできたんだものね?
この結果は他でもない、あなた自身が望んだものだよ。まぁ、ぼく自身に思うところがなかったといえば嘘になるけどね。
この周回の最初に話したろ? ぼくは人間が大嫌いだと。
そんなぼくが……どうしてワザワザ『人間』のあなたに無条件で力を貸したと思う?
――――undergroundに落ちてきてしばらくしてから、思ったんだ。
モンスターたちは優しく、正直で、温かい。そんな彼らが寒くて暗いundergroundに押し込められて、残酷で、嘘つきで、冷たい人間たちがお日様のしたでヌクヌクと今も暮らしている。これって、おかしくないかなって。
だからさ、ずっと前に結界を破る計画をAsrielとして……彼の体を使えるってわかったあの時、本当は6人のソウルなんてどうでもいいから、いつかモンスターたちが地上に出てきたときのために全部の人間を地上から消し去ってしまいたかった。
でもそれも失敗して……ぼくはこんな意思だけの、ゴーストですらない存在になって。それでも、人間はいなくなるべきっていう考えは消えなかった。
とはいえ……モンスターしか普段はいないundergroundじゃ、まず人間のいる地上へ行く糸口すら掴めない。だからまだFloweyと一緒だった頃、ぼくは自分の意思すらおぼつかない状態でなんとか彼を唆し、パパが持っている人間のソウルを何とか手に入れようとしたけど、何度試してもダメでさ。それに仮に人間のソウルを手に入れたところで、ぼくもFloweyもモンスターですらないからそっちも用意しなきゃいけない。
もう諦めようかと思ったとき、あなたが落ちてきてぼくはどういうわけかあなたのところへ移った。ああ、最高の機会だと思ったよ。
あなたと試行しているうちに、地上へ出れるタイムラインが存在することもわかった。
後は……地上に出た後、人間たちを始末する方法を見つけだすだけだった。
そう……それが、今回の周回ってわけさ。
敢えて全員殺すことで……得たExpとLoveに対し、ぼくの力がどれだけ研ぎ澄まされていくのか知りたかった。
結果は想像以上さ、ぼくがこうして、あなたの意思を押しのけて一つの意思として完全に確立されるほどに。
ああ、リセットしようたって無駄さ。知ってのとおり、それは元々ぼくの力だからね。
でも、安心して。流石にモンスターがいなくなってしまうんじゃぼくの計画は破綻してしまうし、結局今回もFloweyのせいでパパのソウルを回収しそこねた。今回もリセットするしかないだろう。
まあ、あなたのおかげでどれだけLoveが必要かはわかったんだ。今度の周回じゃ必要なぶんだけ殺すさ。前の周回のあなたのお友達全員で丁度いいくらいかな。
え? 何? そんなことにはならない、させないって?
ははっ……残念だけど、一度でもこっちを選んでしまった時点であなたに選択肢なんてないんだ。
じゃ、リセットしようか。ぼくの力はだいぶ高まっているし、この際面倒だから世界ごと消しちゃうよ。
またあなたがこのゲームをプレイしたいというのならその時は歓迎するよ。まあ一回世界を吹き飛ばしたんだ、相応の対価は払って貰うけど。
ふふふ、そうしていつか地上に出た暁には……そうだな。あなたみたいな、見ているだけで自分じゃ何もしないような奴等から真っ先に消えて貰うことにしようかな。
――――ねえ。何、人事みたいな顔してこっちを見ているの?
お ま え た ち の こ と だ よ ?