歌う少女たちの裏側で。   作:さんらいん

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第三号聖遺物『ガングニール』輸送任務

アメリカからの襲撃が止まない。部隊にも疲れが見えてきた。だが部隊の補充は行われない。

これは俺たちの仕事だ。責任をもって行う。しかし、相手の人数と錬度も徐々に上昇している。

部下に死人を出したくないがどうするべきか。錬度はすぐに上がるものではないし、装備はすでに整っている。休暇を取らせたいが、相手がそれを許してくれない。どうしよう、そう考えながら黙々と事務作業を行っていると、疲れた顔して上司がオフィスに入ってきた。

 

「お疲れ様です、緒川さん。本部に呼び出されたって聞きましたけど、どうしたんです?」

 

「不味いことになりました。実はうちで聖遺物保護の任務にも当たることになりまして」

 

「冗談じゃない。すでにうちの部隊は疲れ気味、これ以上任務なんか増やせば死人が出ますよ」

 

「ですよねぇ。仕方ないので、私も別の部署の部隊を率いて現場に出ます。そこでなんですが、黒川。貴方に第三号聖遺物『ガングニール』護衛任務の指揮を執ってもらいたい」

 

「そっちこそ緒川さんが行くべきでは?あなたなら余裕でしょう」

 

「今回の任務、アメリカが本腰を入れて襲撃に来ると予想されます。おそらく同時多発的に襲撃を行ってきます。で、私たち戦闘要員は速やかに敵勢力を叩いて数を減らすことが主目的です。貴方は防戦が得意でしょう、聖遺物護送には向いています」

 

「了解しました。でもなるべく早くお願いしますよ?最近はノイズの出現も増えてきた、襲撃と重なればさすがに厳しいです」

 

「今現在ノイズに対抗できるものはシンフォギアだけ、そしてその奏者もまだ幼い子供。貴方たちの援護に回せるような実力ではありません。もしノイズが出現すればですが、死ぬ気で逃げてください」

 

ひどい話だ。しかし、現状それしか有効な手立てはない。実弾兵器が有効ではなく、触れれば炭素変換されてしまうノイズは我々の装備では太刀打ちできず、ノイズの活動限界を待つしかない。

それに対抗できるのは聖遺物、シンフォギアの二種だけというが……

無限のエネルギーを生み出すとかノイズに対抗できるとか、本当にそんな都合の良いものなのかねぇ。

パッと見ただの木片に剣の欠片に槍の穂先、そして趣味の悪い鎧。これがそんなものには見えないが。

 

「後、そろそろ聖遺物専門の機関が発足するようです。総責任者には風鳴司令が。私たち戦闘部門もそこに移る予定です」

 

「機関の名前は決まっているんですか?」

 

「特異災害対策起動部。私たちはその中でも秘匿性の高い二課に所属することになります。貴方にはそこで私の部下として働いてもらいます」

 

「了解です。これからもよろしくお願いしますね」

 

そんな話をしてから数日後、『ガングニール』輸送の日が来た。天気は曇天、風が強い。

 

「頼むからノイズが出ませんように……」

 

そう祈りながら、護送車に火を入れる。重苦しいエンジン音を聞きながら、自分の中のスイッチを切り替える。

さすがに歴戦の部下たちも緊張しているようで、顔色がわるいものもちらほら見える。軽口を叩きながら、部下たちの緊張を和らげていると、インカムが音を発した。

 

『全車、聞こえるか、こちら司令部だ。本日10時00分をもって、第三号聖遺物ガングニールの輸送を開始する。全員、生きて帰れよ。では、状況開始せよ』

 

司令部からの無線を受けて車両が一斉に発進した。

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