車に飛び乗ると、既に分隊全員が待機していた。
俺の様子を見て、異常を感じ取ったのか全員が戦闘態勢を取る。
「で?何があったんです? 」
車を急発進させながら副隊長が疑問を口にする。
「銃声に一般人の悲鳴。おまけに爆発音までさせて緊急招集をかけ、戻ってきたら顔は真っ青とか。化け物でもいたんですか?」
からかうような口調で俺に問いかける副隊長。後部座席の連中も非常事態だからか、珍しく静かにこちらの話を聞いている。
「何と言ったらイイのかね、あれは。」
手元のリボルバーに弾を込めながら言葉を濁す。
「金髪金眼のスタイルのイイ美女に迫られてな。思わずぶっ放した」
「ハァ?頭沸いてるんですか」
「それがな、緒川さん以上にヤバい感じでなぁ。おまけに手からバリアを張って銃撃を防ぐときたもんだ。とっさにスタングレネード投げつけて逃げてきた」
「……隊長クスリやってましたっけ?」
「残念ながら事実だ。まぁ、ウチにも人外はいくらかいるだろう?緒川さんとか」
「調査部長とか?」
「そうそんな感じ。アメリカにもそんな人外連中がいたんだろ。とにかく、正面から向かってもあれは勝てん。逃げるぞ」
了解――と告げると、副隊長は車のスピードを上げる。
「で?その美女、他に何か特徴とかないんですか。金髪のバリア出す美女とか聞いたことありませんよ」
そうは言われてもな。美人で巨乳、威圧感がヤバい。手からバリアを……
「そいつ、武装していなかった」
「そりゃぁ武装はしてないでしょう。パーキングエリアですよ?民間人もいるのに」
「いや、サイドアームもおそらく持っていなかった。少なくとも作戦行動中は拳銃はどんな時でも持ち歩くだろう?俺たちなら」
だがアイツは俺が背を向けて逃げているときに発砲すらしなかった。つまりアイツは――
「銃器以外の何らかの武装を携帯しているか、そもそも戦闘するタイプではない、ということですか」
「正解だ副隊長。山寺、とりあえず襲撃されたことと、その女の予測を機関に送ろう。機関なら該当するデータがあるかもしれない」
了解です、と告げて後部座席に座り込んでいた寺田が動き出す。しかし、追撃がない。打ち込んだ銃弾は有効ではなかったし、投げつけた手榴弾も周囲に民間人が多数いたため、非致死性のモノを使うしかなかった。どちらも大した時間稼ぎにはならないはずなのだが、どういうことなのか……?
「……隊長、不味いです」
低い声で後ろから寺田が声を掛けてくる。
「おう、連絡は取れたか?本部はなんて言ってた」
「電波が遮断されてます。敵の工作かと思われます」
野郎、追撃が遅いと思ったら先に電波をどうにかして遮断しやがった……!
流石にマズイ、本部と連絡が取れなくなれば増援は望めない、定時連絡まで40分以上もある。
そもそもあの女が単独かどうかもわからん。一応敵は米国の勢力だと聞いてはいるが、正直アメリカ人の顔ではないような……
スタイルはまぁバインバインのハリウッド級ではあったが。
いや、待て。金の眼……虹彩異常か何かか、そもそもあの目自体が遺失技術によるものか。手からバリア出せるような女だ、そもそも生体兵器の一種かもしれん。
いや、今はあの女のことを考えてもしょうがない。
「寺田は引き続き本部に連絡を試みてくれ。副隊長、できるだけスピードを上げてくれ、速度違反なんて気にするな。オービスに引っかかれば、自動的に機関本部にも連絡が行くはずだ。残りの隊員は全周警戒せよ。空もだ。前回みたく、ヘリで来るかもしれんからな」
そう指示を飛ばすと、了解、と小気味よい返事が返ってきた。
どうにかして本部と連絡を取って、生きのびねば……
緒川さんは分身に瞬間移動じみた攻撃とかしてるし、バリアを張れる女がいてもおかしくはないよね、って主人公は素で思ってます。