ブラック鎮守府と折木   作:素人

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「ブラック鎮守府5」艦娘視点

榛名side

 

今日は比叡お姉様がいなくなってから丁度半年になります。この鎮守府は半年前にいた提督の意向により眠ること、食べること、お風呂にはいることを奪われました。本当に地獄のような日々でした。疲れや疲労は日が経つにつれて増していき、提督がいた二年間沈んだ艦娘が一人もいなかったのは運が良かったからなのか提督の腕が良かったからなのかそれは分かりません。いえ沈んでしまえなかったのは運が悪かったと言うべきですね。ですが私達には沈むことは許されなかったのです。どんなに眠くてもどんなに疲れていてもどんなに傷だらけになっていようとも。

 

私達艦娘は本来首輪を付けられています。人が太刀打ちできない深海棲艦と渡り合える存在である私達が人に主砲(牙)を向けれないようにする安全装置みたいな物ですが。そんな首輪はこの鎮守府では付けませんでした。

 

必要ないと考えたのかもしれません。なにせ私達は提督から見えない首輪で繋がれていたのですから。

 

逆らえば逆らった艦娘の妹艦を解体する。

 

轟沈すれば轟沈した艦娘の妹、姉問わず解体する。

 

こんな事を言われれば私達は大人しく提督に従うしかありませんでした。ですがある日事件が起こりました。あまり艦娘と関わらない提督が放送で比叡お姉様を呼び出したのです。勿論私達は何もすることが出来ずただただ提督室に向かう比叡お姉様の背中を見ていました。

 

数時間経過しても提督室から比叡お姉様が戻ってこないことを不信に思った金剛お姉様が提督室に向かうと言って私と霧島も一緒に提督室に向かいました。

 

提督室に着きノックをしますが返事はなく物音一つ聞こえません。嫌な予感がしました。金剛お姉様は提督室の扉を殴り壊しました。金剛お姉様の額には一筋の汗が伝い表情は不安を隠しきれていませんでした。

 

提督室に入った私達が見たものは誰もいない提督室でした。大きめの提督専用の机と椅子。本棚。他には特になく比叡お姉様の姿もありませんでした。

 

一日中鎮守府内部を探しましたが比叡お姉様はおろか提督すら見つけられませんでした。他の艦娘は提督がいなくなったことで歓喜したり電池が切れたように眠ってしまう娘ばかりでしたが私達金剛型4姉妹だけは眠ることも涙を流すことも出来ませんでした。

 

比叡お姉様もいなくなってしまったのですから。

 

 

それから二週間が経過しました。大本営から視察官がやってきました。色々と調べているようでしたが直ぐに帰っていきそのあとに長門さんから皆に食堂に集まるように連絡が入りました。

 

「皆、提督が姿を眩ましたことは知っているな?そして同時刻。金剛型の比叡が提督に呼び出されたのは知っていると思う。おそらくだが比叡は我々皆の為に提督の呪縛から解放してくれたのだと思う。自分を犠牲にしてな...」

 

え...長門さん何を言っているのですか?比叡お姉様が提督の呪縛からの解放?自らを犠牲にして?意味が分かりません。

 

「比叡お姉様は確かに呼ばれました。ですが犠牲になったなんて今の状況ではあまりにも早計ではありませんか?」

 

「霧島。認めたくないことは分かる。だが実際に比叡は帰ってきていないんだろう?」

 

「それは...」

 

長門さんの言葉に苦虫を噛み潰したような表情をする霧島。周りの駆逐艦の艦娘達からは「比叡さんが....」と涙ながらに比叡お姉様の名前を呼んでいた。

 

「HEY~長門。貴女の言いたいことは良く分かりましたネ。でも比叡が犠牲になったなんて次言ったら長門でも許さないからネ」

 

明らかに殺意を込めた目で長門さんを睨む金剛お姉様。駆逐艦の子達は震えているけど金剛お姉様のお気持ちが分かる榛名には何も言うことは出来ません。

 

「ちょ、ちょっと金剛!貴女その態度は「良いんだ陸奥」でも!貴女殺意飛ばされたのよ!」

 

「すまなかったな金剛。そして榛名に霧島」

 

「足りませんヨ。私達は金剛型4姉妹ネ」

 

「そうだったな...すまなかった比叡」

 

長門さんはそれだけ言って陸奥さんと食堂を出ていきました。

 

 

 

陸奥side

 

食堂での話の後私と長門は自室に戻ってきていた。長門は落ち込んでいるのか顔を伏せている。私は先程の光景を思い出して限界にきていた。

 

「長門どうして貴女が謝る必要があったの?」

 

「....」

 

長門からは返事はない。ただそれだけの事が今の私にはどうしようもなく辛く耐え難かった。

 

「あの場で喧嘩をするべきではないことくらいなら私にも分かるわ。喧嘩してる場合じゃないってことも。でもねどうして長門が全部いけないような言い方をされなくちゃいけないの?」

 

「陸奥....」

 

「長門は当たり前のことを言っただけじゃない!あれじゃ金剛の八つ当たりだわ」

 

「なあ陸奥」

 

消え入りそうな弱々しい声で長門は言ってくる。

 

「何よ」

 

「私はあの場で考えてしまったんだ。もしも....もしも今回消えたのが比叡ではなく陸奥お前だったら....私は自我を失い鎮守府を沈め大本営に殴り込んで陸奥の居場所を聞いただろう。それに比べれば金剛達は自我が残っていると思うよ」

 

そんな...そんな理由を言われちゃったら何も言えなくなっちゃうじゃない....。

 

「それでこれからどうするの?」

 

「ああ。大本営から通達が来たよ。直ぐに別の提督を送るらしい。なあ陸奥、今度着任する提督がもし前任と同じなら....私はどうすべきなんだろうな」

 

「長門...」

 

私は優しく長門を後ろから抱き締める長門の体は震えていた。ビックセブンとしての頼れる背中は今はない。

 

「陸奥.....私は怖いんだ。どうなるのか考えただけでも恐ろしくて堪らない。そして何より陸奥。お前を失うのが怖いんだ」

 

「長門...」

 

「すまないな陸奥。ふっビックセブンが聞いて呆れるな」

 

「そんなことないわ」

 

もしも。

 

「私も貴女と同じ気持ちだもの」

 

もしも次の提督が私達に害を与える存在なら。

 

「だから大丈夫」

 

その時は。

 

「陸奥..... 」

 

私が---------。

 

 

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