ブラック鎮守府と折木   作:素人

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ブラック鎮守府に一風を
「金剛型」


「ここは...」

 

「目が覚めましたカ?」

 

目が覚めるとどうやら医務室のベットの上で寝かされていたようだ側には榛名さんが寝息を立てて寝ている。

 

体がやたらと重い。俺は何を....っ!

 

「その顔ではようやく思い出せたようですネ」

 

「何故俺を撃たなかったんだ金剛さん」

 

あの時の最後の記憶は、金剛さんが俺に対して撃つ直前だった。死ぬことも覚悟していたほど、あの状況から生きていられるのは思ってもみなかった。

 

「撃たなかったんじゃないデスヨ。撃てなかったんデス」

 

「撃てなかった?」

 

「YES。提督の側にいる私の可愛い妹に阻まれてしまいましたからネ」

 

そうか...あの時感じた暖かい温もりは榛名さんだったのか....。

 

「ありがとう、榛名さん」

 

「起きたあとに言った方が良いと思いますヨ?」

 

「それもそうですね....金剛さん、お願いがあります」

 

「嫌デース。提督からのお願いを聞くくらいなら深海凄艦とパーティーした方がマシデース」

 

そりはそうだよな...俺のお願いなんて聞けるはずがないか。

 

「だからお願いは聞きませんが命令なら従うしかありませんネ」

 

「っ!それって」

 

「ああ、勘違いはしないでくださいネ?お風呂を直してくれたお礼とでも思ってくだサーイ」

 

「分かった....金剛型一番艦金剛に命令する。金剛型二番艦比叡に何があったのか教えてくれ」

 

「.....分かりました」

 

 

それから金剛から比叡に何が起こったのか、教えてもらった俺は、話の中にある違和感に気付いていた。

 

「これで以上デース。満足しましたカ?」

 

「」

 

なんだ..何かが引っ掛かる。提督の部屋に呼ばれて二人とも消えた?大本営では行方不明となっていると聞いたから、提督だけ逃げたのは考えにくい...。

 

「Hey、聞いてますカ?」

 

放送で呼び出して提督室に連れてきて消えた...外に出ていないことは艦娘が確認していたから間違いない。

 

「提督!!」

 

「っ!あ、ああ。なんだ金剛さん」

 

「さっきから話しかけていたのに無視するからデスヨ。それにもう、さんは付けなくて構いませんヨ」

 

「なあ金剛」

 

「なんデスカ?」

 

「少し気になることが出来た。霧島を提督室に連れてきてくれないか?放送だと鎮守府内が騒ぎになりそうでな」

 

「分かりました、榛名はどうしますカ?」

 

「俺が起こして連れていきます」

 

「分かりました、それではよろしくお願いしマース」

 

金剛が医務室から出ていったのを確認して俺は榛名さんの肩を揺する。

 

「榛名さん、起きてください」

 

「...ここは、はっ!お姉様!」

 

「落ち着いて下さい、金剛には霧島さんを提督室に連れてきてもらうように言ってあります。なので榛名さんも提督室に来てください。気になることがあるので」

 

提督室に入ると、というか扉は壊れているのだが既に金剛と霧島さんは来ていた。俺を見るなり霧島さんは、俺を睨むが気にせず入っていく。

 

「集まってもらったのはお願い....いや三人にやってほしい事があるからだ」

 

「何を言って!「霧島大丈夫です」お姉様...」

 

「霧島気負わなくてもノープログレムネ!いざとなったら私がいますからネ」

 

「金剛お姉様!分かりました...それで私達にやってもらいたい事とはなんでしょうか?」

 

榛名さんと金剛のおかげで話に入れそうだ、後でお礼を改めて言わないとな。

 

「先ずは霧島さん、これを間宮さんの所に持っていって下さい。それと大本営に連絡を入れてシュークリームを1000個ほど届けさせるようにお願いします。何か言ってきたら俺の名前を使ってください。それといざとなったら大和さんに変わってもらって下さい。このお金は間宮さんに、材料費と言ってもらえれば分かると思います」

 

俺は膨らみのある茶封筒を霧島さんの前に置く。榛名さんと金剛からは驚かれてはいるが特に言ってくるきは無さそうだが霧島さんは違っていた。

 

「っ!どうゆうつもりですか?」

 

「食堂は食事をするところです。ですから食事を作るためには材料が必要なので、そのお金を渡しただけですが」

 

「何を考えているんですか...」

 

「今は急を急ぎます。後程説明しますのでお願いします」

 

頭を下げる俺に霧島さんは何も言わずに茶封筒を握りしめて提督室から出ていった。

 

「次は榛名さんだけど...大本営に高速修復材を1つ持ってきて貰うように言ってください。これは元帥に直接言った方が良いかもしれませんが、恐らく繋いでくれないと思うので大和さんに繋いで貰ってください」

 

「高速修復材...ですか?それも1つ?」

 

「はい、必ず必要になるかは分かりませんが。俺の仮説が正しければ必要になります」

 

「分かりました」

 

榛名さんは俺の意図が分かっていない筈だが二つ返事で行ってくれた、榛名さんには感謝が尽きないな。

 

「そして金剛、お前には辛いものを見せてしまうかもしれない。長女であるお前だからここに残した。正直俺の仮説は当たっていると思ってる。だからこそ金剛だけを残したんだ」

 

「...何が言いたいのか理解できませんが仮説とはなんなのデース?」

 

「約半年前だったよな、比叡さんが提督と消えたのは」

 

「....それがどうかしましたカ?」

 

「おかしいとは思わなかったのか?提督室に入ったはずなのに二人とも忽然と姿を消すなんて」

 

「.....」

 

「大本営内では、前提督は行方不明となっている事から逃亡した可能性は低い。話を戻すぞどうして提督室から出てこなかったのに、二人が突然いなくなりおかしいと思わなかったんだ?」

 

「おかしいとは思いましたヨ。でもいくら探しても見つかりませんでしたカラ...」

 

「もう諦めてしまったと...」 

 

「提督に何が分かるのですか!大切な妹を失ってしまった私の気持ちが提督に分かるのデスカ!?」

 

ここで分かるなんて簡単な事は言えない。いや言っちゃいけない。それだけ重く苦しく、辛い事を金剛は味わってきたのだから。

 

「分かる...なんて言えない。でも大切な存在がいなくなったらきっと俺も金剛のようになると思う」

 

「綺麗事デスネ」

 

「ああ、情けないがな。話が脱線してしまったが俺は最初に提督室に入ったときに違和感を覚えたんだ」

 

「違和感デスカ?」

 

「部屋の広さに対して提督用の机が大きすぎるだろ?5分の2が机で埋まってるなんておかしくないか?提督室は結構広いがそれでもこの机の大きさは不自然だ。だから金剛提督用の机を吹き飛ばせ」

 

俺の言葉に完全に目を点にしている金剛。俺が何を言っているのか分からないと言った感じだ。

 

「良いのデスカ?机はそれしかないのデスヨ?」

 

「ああ、構わない」

 

さて金剛の馬鹿力なら片手でも机を壁際まで動かせる「ファイヤー!!」.....あれ?

 

俺が見た光景は机が跡形もなく吹き飛び提督室に大きな穴が空けられたなんともカオスな光景だった。てか金剛には入口も壊されたっけな...。

 

「これで構いませんカ?」

 

「あ、ああ...完璧だ金剛」

 

俺は作り笑いを浮かべながら机の破片を退かしながらカーペットを取ると隠し扉が出てきた。恐らくこれが二人がいなくなった謎なのだろう。

 

「提督それななんデスカ?....」

 

「これがいなくなった秘密だろ....金剛この扉壊せるか?」

 

「やってみマース」

 

「ファイヤー!!」

 

ドンッ!と大きな音を立てて金剛は扉を吹き飛ばそうとするが煙が晴れた向こうで扉はびくともしていなかった。

 

「私の火力では無理みたいデスネ...」

 

だがやってもらうしかない。金剛の他に頼れる人なんていないのだから。

 

「金剛。俺はお前を信じる。お前なら絶対にこの扉を吹き飛ばすことができる」

 

「...今のを見ていなかったのデスカ?無理に決まってマース」

 

「大丈夫だ!」

 

「どうしてそこまで言えるのデスカ?」

 

「撃たれる寸前までいった俺が言うんだ間違いない。それに手を抜いてるだろ?俺に撃とうとしてた時の方がよっぽど威力高そうだったぞ」

 

「(おかしいデース...こんな気持ち今までなったこと無かったデス...信じてくれる人なんて誰もいなかったからデスカ...分かりません...でも力が湧いてきマース)」

 

「当たり前デース!これが私の全力デス!バーニング!ラーーブ!!」

 

先程までとは比べ物にならないくらいの威力と爆風により俺は吹き飛ばされそうになるが柔らかいものに包まれて止まる。後ろを見ると金剛が俺を支えてくれていた。

 

「大丈夫デスカ?」

 

「あ、ああすまない」

 

煙が晴れると扉は無くなっており下に繋がっているようだった。

 

「それじゃあ行くか」

 

「了解デス」

 

階段も無く足場が悪い坂をくだっていくと開けたスペースのような場所に着いた。広さは20坪くらいだろうか、狭くはない。薄暗いがそのスペースでハッキリと見えた。人間の骨とその側に倒れている艦娘。艦娘は海の上で何日も戦うことがある為なのか、食事をある程度なら取らなくても生きていけると提督になったときの本に書いてあったので生きているかもしれない。というカケだったが息がまだあって良かった。

 

「比叡!!」

 

「待つんだ金剛!」

 

「Why!何故邪魔するデスカ?」

 

「疲労しているし、何より何日も食べていないんだ衰弱が酷い。力一杯に抱き締めたら死んでしまうかもしれない」

 

「うう...比叡...」

 

「お、お姉....み....く.....ね」

 

「比叡!今は喋らないでくだサイ!直ぐに良くなるですからネ!」

 

比叡を抱き抱えようとしたが持ち上げる事すら出来なかった俺は金剛に持ち上げてもらって提督室に戻ることにした。恐らく隣にあった骨は前提督の者だろうが同情はしないし、なにも思わない。

 

今はただ比叡さんが回復してくれるのは祈ってお風呂に連れていった。

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