ブラック鎮守府と折木 作:素人
見えますと言った俺に先程怒鳴っていたおじさんが睨みを効かせながら俺は虚偽を付いていると言ってくる。それに対して一番偉そうな人が落ち着くようにと促している。
何なんだこの状況は。姉貴は一体俺に何をさせようとしているのか分からない。
そして先程から俺の目の前で踊り出している妖精と言っていたが。数が増えていっている気がする。最初は大和さんの肩に一人乗っていただけだが今では5人くらいいる。
「では見えている証拠を見せてもらおう」
「はあ...証拠と言われましても」
証拠を見せろと言われるがどうすれば良いのだろうか。特徴でも言えば良いのか?
「えーと...小さいですね」
「ふんっそんなの当たり前ではないか!妖精は皆小さいのだ!」
何をそんなに怒っているのだろうか?燃費の悪い生き方だ。俺は妖精の特徴を探すべく見ることにした。
「ナニカゴヨウデ?」
突然話しかけられて俺は焦るが妖精の特徴を本人に聞くことに。
「あーそうだな。妖精の特徴を教えてほしい」
「ボクタチのトクチョウデスカ?」「ナニユエ?」「ナニシリタイノ?」「チナミニアナタハ?」「ハジメテミマスネ」
俺の質問に5人いた妖精は全員聞いてきた。俺は取り合えず名前を言うことに。
「俺の名前は折木奉太郎。特徴を聞いてるのは妖精を初めて見るからだ」
「ボクタチハジメテミルデスカ?」「メズラシイデスカ?」「コマリマシタトクチョウナンテアリマセン」「ヨウセイデスカラ」
「そ、そうなのか」
片言の日本語で話す妖精は正座で座っているのもいればその場でくるくる回っているのもいれば様々だ。
「ボクノナマエハヒロシデスノデ」「ボクハタナカデス」「ボクハタイチョウデスノデ」「ボクハエートワスレマシタ」「ボクハアソデス」
見た目が同じなのでとてもじゃないが覚えられん....。特徴でも言わなければ納得しないだろうし...そう思い怒鳴っていた人物を見ると口を開けてこちらを指差している。どうやら納得していないようだ。
「妖精はどんな事が出来るんだ?」
「ケンゾウデス?」「カイハツモトクイデスノデ」「アマイモノガコウブツデスノデ」
既に10人くらいにはなっている妖精の言葉をなんとか聞き取る。どうやら甘いものが好きなようだ。
「甘いものが好きだと言ってますが...」
俺が答えると部屋にいた人達は全員驚愕に目を見開いて俺を見ていた。
「俺何かおかしなこと言いましたか?」
隣にいた大和さんに聞くと「いいえ」と笑顔で言って入り口まで戻っていった。
「これで決まりのようだね」
「で、ですが元帥殿!」
一番偉そうな人は元帥というらしい。
「彼は私達が求めているものを見せてくれた。それで充分ではないか。必要な知識は追々と身に付けてくれればそれで構わん。それに彼が嫌だと言うのなら君に横須賀鎮守府を任せることにするが良いかね?」
「っ!そ、それは!」
「無理なのであろう。なら頼むしかあるまい」
俺の理解出来ないところで話し合いが始まるなか俺は妖精と話していた。
「アナタハテイトクサンナノデスカ?」
「そうらしい」
「デハドコノチンジュフヲタントウスルデスカ?」
「それはまだ分からないが」
「ハナシヲキイテキマシタ。ドウヤラヨコスカチンジュフラシイデス」
「横須賀鎮守府?」
「ナント!ソレハオキノドクニ」
「モウアエナイカモネ」
何やら不吉なことを言い始める妖精に理由を聞こうとしたが元帥という人に呼ばれたので椅子から立ち上がり返事をする。
「君には明日から横須賀鎮守府の提督に着任してもらう。今日はゆっくりと休むがいいだろう。大和に案内と明日までの横須賀鎮守府までの護衛をさせる。良いな大和」
「はっ!その任務戦艦大和の名にかけて必ずややり遂げてみせます」
俺は現在大和さんの後ろを着いていき今日泊まる部屋まで案内されている。
だがかれこれ30分ほど歩いているのだがどうやら同じ道をグルグル歩いているようだった。
「あのーあれから同じ道をグルグルしているような気がするんですが....」
「い、嫌ですね....大和が道を間違えているとでも思っているのですか?大和型一番艦大和の名にかけて道を間違えるなんてミスをするはずがないじゃないですか!」
拳を握りサムズアップのポーズをとる大和さんは俺の方を一切見ずに海の方を見ながら歩くのを止めようとはしない。このまま歩いていても宿泊施設まで着く気がしない。だが元帥という人にああ言った以上大和さんも信頼されているのだろう。その信頼を俺のせいでなくさせるわけにもいかんだろう。仕方がないやらなければいけないことは手短に、だ。
「大和さん」
「は、はい!大和は大丈夫ですっ!」
何が?と言いたいがその言葉を必死に抑える。
「えーと。泊まる場所の名前とか気になって出来れば教えてくれないかなと」
「そ、そうですよね!えーと...確か騒乱壮と元帥が言っていました」
ふむ...なんとも泊まりたくなくなる名前だ。
だが宿泊施設の名前は分かった。それなら....と俺が考えていると道が別れている所で妖精が大和さんの耳元で「ソコハヒダリデハナイデス!!」と叫んでいた。大和さんは何も聞こえていないのか妖精を見て笑顔を浮かべて右に曲がろうとしていた。
「あ、あの。大和さん」
「何でしょうか?」
いや何でしょうか?って...もしかして妖精の言葉が聞こえてないのか?
「大和さんは妖精の言葉が聞こえてますか?」
俺がそう言うと大和さんは少し寂しそうな顔をして。
「それが...すいません。私達艦娘は妖精さんの姿は見えるのですが声までは聞こえないんです」
聞こえないということで先程の光景に納得がいったが艦娘という言葉に違和感をもった俺は大和さんに聞いてみた。
「私が人間ではない。と車の中でお話したのを覚えていますか?」
俺は首を縦にふると大和さんが話始めた。
「そうですね...どこから話しましょうか。人間の方達は三年前の夏以降から海を奪われました。それは深海淒艦という敵が攻めてきたからです。海軍は戦いました。ですがこの時代の武器という武器が何一つ深海淒艦に効くことはありませんでした。ですが深海淒艦が現れたと同時に海から現れた者もいました。それが艦娘です。艦娘は擬装と呼ばれる兵器を装備していて深海淒艦に唯一対抗できます」
「大和さんは自分の事を艦娘と言っている気がするのですが」
「はい、その通りですよ。私は艦娘です」
「それなら兵器も装備しているんですか?」
大和さんは静かに頷くと大和さんの後ろに大砲が現れた。その姿は人間ではなく何処か異質の何かに感じられる。歴戦の威圧を目の当たりにしているようで体が震え上がり動けなくなる。
「そんなに怖がらないでください。馴れていると言っても傷付きます」
「すいません...」
「冗談ですよ。気にしてませんから」
後ろを向いてしまった大和さんがどんな顔をしているのか俺には確かめる術はなかった。