ブラック鎮守府と折木   作:素人

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ようやく1章に入りました。


1章 ブラック鎮守府の艦娘
「ブラック鎮守府1」


翌日、朝5時に大和さんに起こされて起床。

何でも横須賀鎮守府到着予定時刻は7時らしい。

昨日のうちに教えて欲しかったと言ったら本の中に書いてあったと言われ何も言えなくなり急いで朝御飯を食べて軍服に着替える。普段着ていないというのもあり着なれないが馴れるまでは仕方がないだろう。

 

「折木提督。よくお似合いですよ」

 

軍服に着替えると大和さんが誉めてくれるが軍服に着られているみたいで正直全く似合っていない。

 

宿舎から出ると夏ということもあり長袖長ズボンである軍服は熱が籠りとても暑かった。額に汗を浮かべながら宿舎の前に停めてある黒塗りのベンツに乗り込む。運転は黒渕のサングラスをかけた俺を拉致した人だ。大和さんとは向かい合って座っている。車内はエアコンが適温に設定されており汗が引いていく。

 

「はぁ....」

 

あまりの暑さに軍服のズボンを折ろうとすると大和さんに怒られた。なんでもシワが出来るだとか身だしなみはしっかりらしい。俺の母親かっと突っ込みたくなったがギリギリで我慢する。

 

車を走らせること1時間現在時刻6時30分。(マルロクサンマルと言うらしい)横須賀鎮守府に到着したようだ。大きい塀があり中の様子は伺えないが何処か異質な塀だった。

 

大和さんは塀に取り付けられた電話を取ると何処かに電話をして戻ってきた。

 

すると塀がゆっくりと開いていく。此方に対して御辞儀ををしている女の子が二人。一人は黒の長髪に青いヘアバンド、目は海色で眼鏡をかけておりスタイルはスラっとしたスレンダーでセーラー服を改造したような服装をしている。もう一人は腰まであるロングストレートの黒髪と真紅の瞳で頭にはヘッドギアが付いており、首には首輪のようなものが付いている。両腕には長手袋、腰周りはミニスカートにベルト。

 

小声で大和さんから右側にいる娘が長門さんで左側にいる娘が大淀さんです。と名前を教えてくれた。

 

「提督お待ちしておりました」

 

「長旅お疲れさまです。皆が待っておりますので急ではありますが紹介をお願いしてもよろしいでしょうか?」

 

言われた言葉は思っていたよりも普通だった。だが抑揚の無い言葉。俺を見ているのに見ていない、興味が無いと言ってもいいか。まるで関心を示さない瞳。二人揃って同じだ。そして最も異常なのは二人とも身体中が傷だらけであることだった。だが隠すこともせずその傷が当たり前のように立っている。大和さんは見ていられないのか目線を反らしている。

 

「分かった....」

 

俺は頷く事しか出来なかった。

 

二人に着いていくと食堂と書かれている場所に通されて中に入ると50人はいるだろうか皆から精気を感じられない。目が死んでいる。こんな奴を見たのは初めてだった。誰しもが身体中に傷を負っている、ふらふらと立っているのがやっとの娘もいる。目の下には隈が出来ており倒れそうな娘もいる。しかも見た目が小学生のような幼い娘までいる。

 

大和さんには言われていたが想像以上に異常だった。一体どこまで追い詰めればここまですさんでしまうのか....考えるだけでも嫌悪感に襲われる。目の前に拡がる艦娘達を見て言葉が出てこない。

 

「司令官?....」

 

そんななか俺が黙っていたからか一番先頭にいた、黒髪のセミショートにセーラー服という姿の中学生くらいの娘が聞いてきた。

 

「ああ、すまない。俺の...いや私の名前は折木奉太郎と言う。色々と不勉強だがよろしく頼む」

 

俺がそう言うと長門さんから敬礼!と言う言葉がかかり全員が一斉に敬礼をする。

 

「それでは皆かいさ「ちょっと待ってくれるか?」何でしょうか...」

 

俺が止めると明らかに不機嫌になる長門さんに一瞬怯んでしまうが大和さんが近くにいるからか俺の言葉を待っている。

 

「これからの方針を決めたいと思う」

 

「この場でですか?」

 

「そうだ。明日の出撃及び訓練は全て休みとし充分に休息を取るように」

 

「提督仰っている意味が分かりません。何故?急に休めと言うのですか?」

 

ここに来る前に大和さんから聞いた話は3つ。ここにいる艦娘は皆自分の事を“兵器“だと思っていること。2つ目は傷を治すことの出来るお風呂が壊れており入渠 が出来ないこと。そして3つ目は前提督がいなくなった現在でもその多忙な出撃を繰り返しているということだ。休みも寝る時間も最低限にしかなく休息を取れていないと言うことらしい。

 

「疲労や怪我をしていれば勝てる勝負も勝てなくなる。そんなことは当たり前だ。だから休みもしっかりと取ってもらう」

 

「HYE提督~。貴方が前任の提督と違うと言うのは何となく分かりマース。提督の周りには妖精が沢山見えますからネ。でもそれとこれとは話は別デスネ。兵器である私達が相手を倒すのは当たり前デース。ですから邪魔をしないでくれマスカ?」

 

ヘアスタイルは両サイドにお団子を結ったブラウン色のロングヘア。アホ毛が目立つ巫女さんのような衣装を着ている。少し怒気をはらんでおりかなり怖い。かなり整った顔をしているからなのか余計に怖く感じる。大和さんが我慢出来ないといった感じで先程から睨んでいるがそれもまた怖い...。

 

「金剛さん貴女誰にそんな口を聞いているんですか?」 

 

「大和は分かりませんか?今日私達の提督になった人にデスヨ」

 

二人が険悪なムードになったからか小学生くらいの娘は怯えている。

 

正直俺も怖いし怯えていないといえば嘘になる。

 

「二人とも落ち着いてくれ。金剛さん俺は提督だ。命令には従ってもらう」

 

「命令の内容にもよると思いマース」

 

「なあ金剛さん。俺はお前達は兵器じゃないと思っている」

 

「なんの冗談デスカ?私達は兵器デスヨ?そう言われてきましたし私達には人間には無いものがありマース」

 

そう言うと金剛さんは擬装を展開させて砲身を俺に向けた。大和さんは急いで俺の前に立ち擬装を展開させる。

 

「これが私達“兵器“と提督。貴方との違いデスヨ」

 

分かりましたか?と言わんばかりに擬装を解く金剛さん。

 

「なら質問させてもらう。俺の命令に聞けるものと聞けないものがあると言ったな?それは兵器にはない感情だ。感情は鉄や鉛なんかには存在しない物だ」

 

「それを引き合いに出すのはズルいデスネ。なら貴方が言ったことには全て従うということになってしまいマース。そんなの御免デスネ」

 

「ならお前達は“兵器“じゃない。艦娘だ。俺の命令に意見があるなら言えばいい。出来る限り譲歩する。だが明日は休め以上だ。それと明日までに風呂を直しておく。ゆっくりと休んでくれ」

 

俺の言葉に何か返してくる者はいなかった。俺は食堂から出ていき大和さんの案内で提督室と書かれた部屋に入った。食堂とはうってかわり豪華なタンスや椅子、机などが設備されており。クーラーも設置されている。俺は無言のまま提督用の椅子に座ると大和さんに言った。

 

「前提督が何をしたのかは分かりません。ですが殴りたいという感情だけは湧きました。確か俺に給料が振り込まれるんですよね?」

 

「え?はい。もう振り込まれていると思います。何に使うのですか?」

 

「風呂の修理代と艦娘に給料として....少ない額しか払えないと思いますが....」

 

「本当に優しいのですね....あんなことを言われてもあの子達の為に何かをする気になるなんて」

 

「正直キツかったです。ですがこれからだと思いますし....まずは信頼よりも信用を築きたいと思います」

 

大和さんは笑顔で俺にお礼を言うと護衛の任務を終えたので帰ってもらった。さて....妖精さんに相談するか。

 

横須賀鎮守府に来て2時間ほどしか経っていないがこれからのことを考えることすら出来ず今はただ風呂を治そうとポケットからビスケットを取り出した。

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