ブラック鎮守府と折木   作:素人

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「ブラック鎮守府3」

俺の懸念それは、この鎮守府に来て艦娘に挨拶をした場所である食堂だ。食堂とはご飯を食べる場所。人によっては安らぎの場と言う人もいるだろう大切な場所だ。

 

だがそんな食堂には何もなかったのだ。机や椅子は勿論だが食器類も見当たらなかった。提督の話を聞くために一時的に片付けたならば良い。だが単純に無いなら、と当たってほしくない予想を立てながら食堂に向かっていた。

 

そして往往にして当たってほしくない予想ほど当たってしまう。

 

 

食堂に着き中に入ると先程と同じく何もない。艦娘もいないので殺風景の部屋だ。こんな場所が食堂?冗談も大概にしてくれと俺は拳を握る力を強める。

 

ガタンっと何かが倒れる音が食堂の奥、厨房から聞こえ慌てて厨房に入ると割烹着姿の女性が倒れていた。駆け寄り声をかけると倒れていた女性は目を覚まして俺と目が合う。

 

「大丈夫です「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!許してください許してください、少しフラついてしまって提督のお手を煩わせてしまい本当に申し訳ありません」」

 

俺は何も言えないまま異常ともとれる状況を理解しようとした。だが何故割烹着姿の女性がこんなにも必死に謝ってきたのか次の言葉で伝わった。

 

「だからもう....殴らないで下さい」

 

この言葉で割烹着姿の女性が艦娘であることが分かった。そしてどんな目にあっていたのかも。

 

「あの「HEY提督間宮に何してるデスカ?」」

 

俺が声をかけようとすると後ろから聞き覚えのある声がした。

 

「お姉様やはりこいつも提督です。前提督と何一つ変わらない」

 

「榛名もそう思います」

 

声のした方を見ると金剛さんと同じ巫女服姿の女性が二人いた。一人は腰まで伸びる灰色がかった黒髪ロングで唯一ミニスカートの色が赤で本当の巫女さんにも見える。二人目は緑色のボブカットヘアーをしており眼鏡をかけている。

 

「二人とも少し落ち着くですネ。とくに霧島はクールダウンネ。本人が目の前にいるのデスカラ、直接聞けばノープログレムネ」

 

三人の顔を見るとそれぞれの感情が伝わってくる。金剛さんからは怒り。眼鏡かけてるのが霧島さんだよな...霧島さんは殺意を。榛名さんは嫌悪感を。三人が三人とも違う感情だがどの感情も俺に対しての拒絶の感情だった。間宮さんというらしい女性は未だに俺に謝り続けている。この状況で俺が何を言っても信じるとは思えない。

 

「俺は何もしていない。ただ食堂に来て何かが倒れた音がしたから音の方に来たら倒れていた。だから心配になって手をかそうとしただけだ」

 

だが信じて貰えないと分かっていても言わなくてはならない。彼女達三人の目が俺の沈黙を許してはくれないのだから。

 

「ぬけぬけと....お姉様絶対に嘘ですよ。私達兵器の事を心配する筈がありませんから」

 

「榛名はどう思いますカ?」

 

「榛名は....分かりません。さっき食堂で言っていた言葉。私達は兵器じゃないとお姉様に啖呵を切っていた提督です。信じてるわけじゃありません。私達は所詮兵器ですから。でも兵器じゃないと勘違いしているのなら今の説明も納得いくかもしれません」

 

「っ!榛名貴女は今まで提督に何をされたのか忘れたんですか!?」

 

叫ぶ霧島さんの言葉に榛名さんは俯いてしまう。

 

「霧島 クワイエットプリーズ。少し落ち着くですネ。それに今私が聞いたのは霧島ではなく榛名ですネ。榛名本当にそう思ったんデスネ?」

 

金剛さんの言葉に無言で頷く榛名さん。

 

「では榛名を信じましょう。それと霧島は間宮を私達の部屋まで運んでください」

 

震えている間宮さんに肩を貸して食堂を後にする霧島さんと間宮さん。

 

「さてここらが本題デスネ。榛名貴女は提督の秘書官をやりなさーい、提督がどんな人なのか見極めてもらいマース」

 

「お姉様!それはいくらなんでも...」

 

「無理ですカ?無理なら無理でもオッケーネ。榛名が決めてくだサーイ」

 

金剛さんはそれ以上言わずに榛名さんの言葉を待っている。俯いていた榛名さんはゆっくりと顔をあげると拳を握りながら言った。

 

「榛名は....榛名は大丈夫です!やります!お姉様!」

 

「そうですカ。それでは後は頼みましたヨ?榛名」

 

「はい!」

 

俺の事なのに俺無しで勝手に話が進んでいく...。食堂には現在俺と榛名さんしか残っていない。金剛さんいなくなってからは榛名さん此方を見ないし何故か震えてるしで俺から話しかけることも出来ない。そんなことを考えていた時だった。俺を助けてくれたのは。

 

「テイトクサンテイトクサン。オフロデキマシタ」

 

妖精さんの救いの一言だった。

 

「そうか助かったよ。ありがとう」

 

「ハヤクミテクダサイ」

 

妖精さんは俺の肩に乗り風呂場がある方なのだろうか指差している。

 

「榛名さん」

 

「っ!!ひゃ、ひゃい!!」

 

榛名さんをこの場に置いていく訳にもいかず名前を呼ぶと肩が跳ねるほど驚き少し後退りしながら返事をしてくる。

 

「俺は妖精さんに頼んでいた物を確認に行くけど榛名さんも来ますか?」

 

出来る限り丁寧に言ったつもりだ。おかしな所は何処もなかった筈だ。だが顔を蒼白させて口をパクパクさせている榛名さんを見ると間違ったことを言ったような気がしてくる。無理に連れていく必要もないと思い歩き出すと距離をあけて榛名さんが後ろから着いてくる。後ろを振り向けば榛名さんも後ろを向き震えている。そんな奇妙なだるまさんが転んだ状態のまま赤いのれんに【ゆ】と書かれた温泉ぽい場所に着いた。

 

俺がのれんの奥に進もうとすると先程まで怯えていた人物から声がかかる。

 

「そこに何のようですか?」

 

「さっきも言ったが確かめに来ただけだ」

 

「何をですか?お風呂だって事は分かってるはずです!!もう壊れていて使えないということも提督なら知ってるんじゃないですか?」

 

艦娘にとってお風呂がどれ程重要な物なのか俺には分からない。でも女性にとってお風呂がどれ程重要な物なのかは、えるに長々と説明されたので分かっている。それにここに来て最初に思ったのは艦娘の傷だが次に臭いだった。海で洗っているのか臭くはないが海の臭いがし髪の毛が傷んでいる艦娘もいた。

 

「分かってるからここに来たんだ。妖精さん達が待ってるから続きは中で話したいんだが」

 

「分かりました...提督も見れば分かると思います」

 

のれんの先にあった光景に俺は息を呑んだ。脱衣所は綺麗に整理されておりお風呂に繋がる扉を開けるとテーマパークのプール並みに拾いお風呂があった。隣でこの光景を見ている榛名さんは驚愕しているためかキョロキョロとお風呂を見渡している。俺が中に入ると30人はいるか妖精さん達が集まってきた。

 

「ガンバリマシタ」「ジカンナカッタノデイマイチデス」「マーライオンツクルジカンナカッタ...」......色々と言っているが最後には皆で。

 

「シュークリームタベタイデス」と言っていた。俺は明日の昼までには用意すると言って一旦解散となった。妖精さんが一人肩に乗り他の妖精さんは何処かに行ってしまった。俺が肩に乗っている妖精さんに今すぐあげれなくてすまないな。と謝ると意外な言葉が返ってきた。

 

「ヒサシブリニツクレテタノシカッタノデキニシナイデホシイノ」

 

その言葉に素直に感謝してお風呂を見つめている榛名さんを呼ぶ。

 

「それじゃ榛名さん。先程の話の続きをしましょうか」

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