怪盗と聖女   作:ノット

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第10話

「これしかないんですか……」

 

「とりあえずもらったのはこれだけだよ」

 ジャンヌはひものような服を持ちながら言葉を発した。

 

「これだけは無理です。丸見えじゃないですか‼︎ 破廉恥です‼︎」

 

「んじゃあ残りのどっちか?」

 

「そうですね。着ないという選択もありですが、海に潜っても平気な服というのも着て見たいですし……」

 

 ジャンヌは残り2つを見ながら考える。

 ーー布面積という面から考えると紺色の方が着やすそうですが…

 

 

 

 

「こっちの紺色の方は何故だか胸の小さい人が着るイメージがあるので、黒い方を着て見たいと思います」

 

 

 ーージャンヌが着ても似合いそうだけどな。うんうん

 

 そんなことを思いながら着た姿をカインは妄想する。

 

 

 ジャンヌはそんなカインを首を傾げながら見た後、岩場の陰に隠れるように着替えに行った。

 

 カインはささっとその場でパンツだけを履く。

 

 

 

 

 

 

「えっと、どうでしょうか?」

 ジャンヌは少し恥ずかしそうにしながらカインに訊ねてきた。

 

「な、なんていうか、ジャンヌの金髪に黒いのがよく映えてるっていうか、とにかくよく似合ってるよ」

 

「そうですか‼︎」

 それを聞いてジャンヌは嬉しそうに頰に紅をさした。

 

「さて、じゃあ遊ぼっか!」

 カインはまだ上に着ていたシャツを脱いで上半身を露わにする。

 

「っっ‼︎ 意外とすごい身体をしているんですね」

 

 カインはゴツいというよりしなやかな筋肉をしており、服を着ているとあまり筋肉があるように見えず、所謂細マッチョというやつだった。

 

 突然、そんな物を見た彼女は反射的に触ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 触ってしまった。

 

「ジャンヌ? 身体になんかついてた?」

 ようやくジャンヌは自分がとんでもないことをしていることに気付き、お腹の辺りを触っていた手を引いた。

 

「む、虫がついていたので……」

 

 苦しい言い訳だったが、

 

 

「そっか。ありがと」

 彼は気付きもしない。

 そのことに色々ジャンヌは思うところがあったが、今は初めての海を楽しむことにした。

 

 

 

 

「わぁホントに濡れても平気なんですね‼︎ なんか不思議です」

 

「確かにね。ホントに師匠はすごいな!」

 

 ジャンヌはふと疑問に思ったこと口に出した。

「カインの師匠ってどんな方なんですか?」

 

「どんなって言われてもな〜、すごいスパルタな人でね何回死にかけたことやら。魔術もすごいんだけどそれ以外も恐ろしいレベルのひとだったよ。魔術の他にも槍術とか建築とか教えてもらったよ。懐かしいな」

 

「今はどこにいるんですか?」

 

「ちょっとすぐには行けないところかな? そんなことより……」

 

 カインは海水を手で掬いながら両手を合わせて水鉄砲のように勢いよくジャンヌにかけた。

 

「今を楽しもっ‼︎」

 

「はい‼︎」

 

 ジャンヌもお返しにと、カインの手を掴み勢いよく沖に向かって投げ飛ばした。

 

 

「や〜り〜す〜ぎ〜!」

 

 

 

「死〜〜〜〜ぬ〜〜〜〜」

 

 

 という言葉を発しながらとんでいき、海に吸い込まれるかのように着水した。

 

 

 

 それを見てジャンヌはちょっとやりすぎたかなと少し反省しながら笑った。

 

 

 

 

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