怪盗と聖女   作:ノット

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今回も短いですが出来ました。
そろそろ過去編が終わりそうです。この後はapo編、fgo編と考えているのでまだまだ話は続きます。作者のやる気があればの話ですが……




第15話

 カイン・ナトリウスは生まれつき異質な目を持っていた。

 

 右目は未来を見る目。

 

 左目は未来を測定する目。

 

 どこぞの爆弾魔のような能力を持っているように聞こえる。

 しかし、それは勘違いだ。

 彼の右目は彼が意図せず発動する。食べている最中や、鍛錬をしてる最中、寝ている最中でも勝手に発動してしまう。そして彼に未来を見せるのだ。見せる内容は時々によって変わる。

 

 リンゴがカインの頭に落ちる。

 子供が井戸に落ちそうになる。

 兵士が銃で撃たれる。

 

 

 だが全てに共通することがある。

 カインが見た未来は必ず起こるということだった。

 ここで彼の左目の能力が関わってくる。

 

 未来とはたった一つの行動によって結果は変わってしまう。例えば騎士王が選定の剣を抜いた世界と抜かなかった世界。

 これは騎士王が抜いたからカインの世界の史実には騎士王や円卓の騎士の話が語り継がれている。

 しかし抜かなかったとしたら……。カインの世界には騎士王なんて言葉は知られることすらない。

 このように世界というのはたくさんの可能性を含む。

 

 だが左目の未来測定。未来を見た後これもまた勝手に発動してしまうのだが、見た未来をそのまま固定してしまうのだ。つまり見た未来以外の可能性を全て潰してしまうという事である。

 そこで思い出してもらいたい、カインがジャンヌの未来を見た事を。

 

 カインはジャンヌが火刑に処される所を見てしまった。

 

 

 

 見てしまったのだ。

 

 

 

 未来は変えられない。

 この能力の事をタイツ師匠に相談してから二人で色々実験してきたが結局、変える事はできなかった。

 それに今回は世界という力が彼女を殺そうとしている。カインの未来視と世界の強制力の二つ。各一つずつでも確実なものが二つもある。この絶対性を覆すことはできない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーー覆そうとしなければよかった話だった。

 ジャンヌ・ダルクは火刑に処される。

 これさえ守られていたらカインの未来視からも世界の強制力からも束縛を受けることなく行動することができる。

 

 カインが見た正確な火刑の場面は彼女が高い柱に括り付けられ火に覆われていくというものだった。

 最低限、ここさえ合っていればカインの目による間接的妨害は防げる。

 そして世界による強制力も周りの人々がジャンヌ・ダルクが死んだと思わせる事が出来れば働かないと見て間違いないだろう。世界はおそらく本来の史実であるジャンヌ・ダルク火刑という事実を曲げたくないのだろう。だがこれは絶対にジャンヌが死ぬということとイコールではない。

 本来の史実ではジャンヌは火刑に処されて死亡しているという事だろう。

 

 

 

 だが、史実とはどうやって紡がれているのだろうか。

 

 それは人々によってである。

 

 書物に書き残されたり、親から子へと話し聞かせるなどのやり方しかない。つまり、観衆が死んだと言ったら死んでいるということになる。これをクリアすると史実もまた変化を起こすことがないので世界からの強制力は終わりを迎える。

 

 カインがするべき事は決まった。

 

 観衆(世界)を騙せ。ジャンヌ・ダルクが火刑に処されるという事を変えてはいけない。

 

 ーー僕の、いや(キッド)はその為にいたのかも知れない。

 

 彼らのショーが今始まる。





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