怪盗と聖女   作:ノット

17 / 32
第16話

 ジャンヌとカインは拘束されたまま最寄りの街であるルーアンへと連れていかれた。移動中はお互い話すことも出来ず、ただ黙って歩くことしかしなかった。

 兵士たちは始めはどこか呆けているような顔ぶりだったが街に近づくにつれてジャンヌ・ダルクを捕らえたという事実を知り驚愕したような顔を浮かべていた。これは恐らくだが、カインの家を包囲した時は彼等の意思が無かった事をカインに教えてくれた。

 

 ジャンヌはジル・ド・レェ卿を筆頭とした兵に連れていかれた。ジャンヌはカインと別れる際何かを伝えたそうな顔をしていたがそれを言える状況でもなく、カインは自分は大丈夫だからという意味を込めた微笑みしか出来なかった。

 ジャンヌはそれを見て泣き出しそうな顔をしたのだった。

 

 

 カインは兵たちに連れられて駐屯地の地下にある牢屋に入れられた。入り口は鉄のドアで出来ており、他に脱出が出来そうな場所はなかった。

 カインはまず腕に嵌められていた手錠を魔術で身体を強化して無理に壊した。その時かなり大きな音が出たが幸いなことに外にいるであろう兵士に気づかれることはなかった。カインは次にジャンヌやカイン自身のこれからについての情報を集め始めた。聴力を強化した耳をドアにつけて何か聞き取れないか試してみる。かなりドアが分厚いらしく魔術で強化してもなおカインはあまり話し声が聞き取れなかった。しかし、一番大事なことは聞き取ることが出来た。

 

 ーー明日の十二時にジャンヌが処刑される。

 

 異端審問はどうしたのかと突っ込みたくなったが上層部は、いや世界は早くジャンヌを殺したいらしい。なりふり構わなくなってきたな。カインはそんな事を考えながら悪態を吐く。処刑はおそらく火刑で、場所はルーアンにあるヴィエ・マルシェ広場で行われるだろう。現在は太陽がほぼ真上にあったのをカインは確認していたのであと一日、時間があった。ジャンヌの死亡を誤魔化す為にも一刻も早くここからカインは出たかった。そんな彼がドアを吹き飛ばすのに時間はかからなかった。出口ができた瞬間、風のような速さでカインはすでに駆け出していた。兵士達のどよめきが上がる前にカインは既に駐屯地を脱出していた。

 

 カインはここでジャンヌのことを一回思い浮かべ、無事を確かめに行こうかと迷ったが彼女と親交があったジル・ド・レェ卿が近くにいることを思い出し彼ならば彼女に手を出させるような状況にしないだろうと判断して一旦家へと準備をしに戻る事にした。

 時間はいくらあっても足りないので行きは三時間かけて歩いた道も帰りは走って二十分で帰ってきた。

 

 家にあった魔力をこめてあった物品を片っ端から袋に入れて、いつも着けている目だけ隠れる仮面を着けて再びルーアンに戻ろうと駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 直後、彼は召喚された。

 

「今回の標的は君かね」

 

 抑止の守護者が。

 

 

 





まさかのこの人が登場です。カインはどんだけアラヤに嫌われてるんだ‼︎
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。