怪盗と聖女   作:ノット

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第18話

 カインの槍の一撃をアーチャーが双剣を使い防ぐ。側から見たら目にも留まらぬ速さで動いている彼等のやっている事がこれだった。槍での変則的な動きに対してもギリギリのところで反応し射程圏内から離脱され、剣を弾き飛ばしてもいつの間にか手には再び同じ剣を持っているアーチャー。お世辞にもアーチャーの身体能力は高いとは言えず素のカインの身体能力の方が高く、それに加えて魔術で身体能力を強化しながら戦っているので終始押しているのはカインの方だったがあと一歩のところで毎回届かない。

 このままでは埒があかないので、一旦お互いに距離をとり仕切り直した。

 

「いやはや、その若さでその槍の腕前。良い師が居たのだろうが、それでもなお恐るべき腕だ。私はおろか、魔槍で有名なクー・フーリンにすら匹敵し得る。君は所謂天才という奴なんだろうな。どんなに鍛えても二流止まりだった私からすれば羨ましい限りだよ」

 

「それを受け流してるそちらさんに言われても嬉しくないな。それと、あんたが二流なら世界中のほとんどの戦士が三流、四流になるよ」

 話しながらもお互いに全く隙は見せない。

 

「だが、それでは私には敵わない。確かに槍捌きに関しては超一流と呼べるがそれだけだ。私が全神経を防御に集中すれば君の攻撃は防げなくもない。身体能力も敏捷さは私が見てきた中でも一、二を争うが反応できないというわけでもない」

 正にカインも同じ事を考えていた。こうも攻撃がまともに当たらないと策を練らなくてはいけない。だが奴はアーチャー、つまり弓兵と名乗っておきながら双剣で戦っており、弓を使うそぶりも見せない。遠距離で魔術を使おうとしたらおそらく弓を使ってくるだろうがそしたらまた膠着状態になる恐れがあり、相手の弓の技量が高かったらカインはいずれ魔力が足りなくなりジリ貧となる。アーチャーはアラヤと呼ばれるものからバックアップを受けているらしく魔力の消費の心配をしなくていいときた。カインも今まで溜めてきた魔力があるからそこまで心配はしなくてもいいが、無限というわけでもない。

 

 そして何よりカインには時間が無かった。アーチャーはカインを最低限足止めしておけば仕事は全うできるがカインはアーチャーを倒し、ジャンヌを助けださなければいけない。アーチャーと戦いのせいで、すでに日付は変わってしまっていた。あと十二時間。時間はあるようで無かった。相手は簡単に倒せる敵ではなくカインは徐々に精神的に追い詰められていた。

 

「付け加えて言うのならその槍、私のこの剣を平然と弾き飛ばしているのから察するにかなり頑丈に作られているが、魔槍ではない。因果逆転の呪いでも付いていたなら私は既に君に倒されていただろう」

 

 どこぞの妖精から槍をもらったりするようなイベントは千四百年代には起こるはずもない。神秘など薄くなり過ぎているのだから。

 逆にアーチャーの剣は一見分からないが神秘の宿った武器、所謂宝具と呼ばれるものだった。そこまで神秘がこもってないとはいえ宝具であることに変わりはしない。それをぽんぽんと新しいものを使っているのを見るに分裂な能力を有しているか、かなりたくさん持っているか、アーチャー自身が作っているかのいずれかの事をしているに違いなかった。アーチャー自身が作っていた場合、他の宝具端的に例えるなら盾の宝具なんか持っていたならば最悪だった。カインに頑丈であろう盾の宝具を突破できる火力が出せないのだから。

 

 カインは特異な目を持っているがそれも自身で発動できるタイプではないしもう一つ(・・・・)の力も戦闘用というわけでもなかった。カインは自身の持ち札であるこれらを使ってアーチャーを倒すのを考えているが、かなり不利と言っていい状況に追いやられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 カインは知らない事だがこの状況は偶然というわけではなかった。アーチャーは抑止力によってここに召喚されているが、抑止力とは抹消すべき対象に合わせて規模を変えて出現し、絶対に勝てる数値で現れる。

 

 

 初めからカインには勝機など存在しなかったのだ。

 

 





やめて!アラヤの特殊能力で戦い続けてもカインに勝機はないの!
お願い、死なないでカイン!あんたがここで倒れたらジャンヌはどうなっちゃうの?ここを耐えればハッピーエンドが待ってるんだから!
次回、「カイン死す」。デュエルスタンバイ!
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