数えるのも馬鹿らしくなるほど武器を交えることによってお互い、通常の攻撃ではなかなか傷を負わなくなってきていた。カインは常に槍の間合いに陣取るようにアーチャーに近づき猛攻。アーチャーはそれを防ぎながら後退しつつ空中で弓を投影して容易に接近させないように矢を放っている。どの矢も狙いはよく仕方なくカインは槍によって迎撃するしかない。
カインもアーチャーもこのままでは三日、四日は戦っていられるということに気づいてはいたが、アーチャーは敢えて何もせず時間が経つのを待ち、カインは状況を打開するための策を考えていた。
昨日の昼から戦い始めていたが未だ勝負はつかず、時刻はジャンヌ処刑の朝になっていた。
ここまでやって隙らしい隙を見せないアーチャーのことを倒すのにカインは一つの決心をした。
今までと同じように槍によって剣を弾き飛ばす。弾き飛ばした剣の数はもう千を超えていた。飛ばした後さっきまでなら追撃をしていたがここで一旦カインはアーチャーと距離を取った。距離をとればとるほどアーチャーの矢の本数が増してくる。二度と近づかせはしないとばかりに撃ってきているがそれでもカインは下がり続けた。アーチャーとの距離が一キロ程空いたところでカインはようやく止まった。カインは止まったがアーチャーの矢は止まることはなくカインに迫ってきている。
その矢を撃ち落としながら貯蓄していた魔力の全てを槍に込めた。あまりの魔力に槍が悲鳴をあげていた。その魔力を込めた槍を持ち、カインは低い体勢をとった。直後、カインは消えた。
否、消えたのではなく常人には見ることさえかなわない速さで一直線に走っていた。アーチャーは遠く離れていたのでなんとか目で捉えることができていたが、あの速度で走っているのをアーチャーは接近戦で対処できることはできないと即座に判断して一手うつ。
「I am the bone of my sword」
「
一直線に来ると分かっているのならばその射線上に自らが持つ渾身の一撃を放てばいい。そんな考えのもとこの宝具は放たれた。この矢はアーチャーが名剣カラドボルグを矢として使うために改造してあり威力はAランク宝具にも負けていない。
当たればタダでは済まないのは誰がみても明らかな攻撃である。
カインはそれを見ても
その代わりと言わんばかりに持っていた槍をアーチャーに向けて全力で投擲した。今までの速力に加えて走りながら全力で投擲した槍は宝具ではないとはとても信じられない威力を内包したまま真っ直ぐに飛んでいった。宝具のランクでいうと対軍、下手したら対城宝具はあるだろう。
槍と螺旋剣はお互いに当たることはなかったがどちらも威力が凄まじくどちらも少しだけ軌道が変わった。
けれど元々の威力が果てしなかったためにどちらも当たらないという程軌道はずれてはいなかった。
アーチャーは槍が放たれた瞬間にカインがしたい事を理解した。
ーー相打ち。
どうしてこういう発想に至ったかは定かではないがそうとしか考えられなかった。距離が離れて見えない速度で迫ったらアーチャーが強力な宝具を撃つことにかけたのだろう。そしてその宝具を撃ち終わった後に隙ができることを願って。アーチャーにとっては不幸なことにかけは当たった。
咄嗟にアーチャーは自らが最も信頼している守りを展開させる。
「
アーチャーの前方に光でできた七つの花弁が展開される。
はずだった。
突然、槍を投げるといったカインの奇行に反応したアーチャーは流石といえるが、それでも遅かった。
槍の速度は時速二千キロメートルを超えていた。
一つ、二つ、三つ目の花弁が出来たと同時に槍は盾に衝突していた。
不完全な盾では勢いを殺すことは出来ず、すぐに花弁は全て割れる。
アーチャーは槍が突き刺さる直前、敵がどうなったかに目をやった。
ーー自らは標的を殺すことができたのか。
ーー自分の正義を貫けたのか。
カインは投げ終わった後即座に致命傷を避けようとしたのだろうが、あの速さで動いていて急に方向転換できなかったのだろう。
左半身がねじ切れていた。
それを見てアーチャーはふっと笑みを浮かべて槍に吹き飛ばされた。