なんとなく続きを書いてしまった。ジャンヌとの話は次書きます!
「さてとここにいてもしょうがないから移動しようか」
キッドは座り込んでいる美遊を見ながら提案した。
「っと、その前にその格好をどうにかしないとな」
キッドはどこからともなく毛布を取り出した。それを美遊に掛けてから彼女をおぶった。当然、美遊は慌てる。
「な、何するんですか‼︎」
「流石に靴は持ってなかったから…美遊を裸足で歩かせるわけにもいかないし、ならおんぶしてあげよっかなみたいな」
「下ろしてください。自分で歩けます」
美遊は即座に異議を唱えたが
「却下」
取り付く暇もなく断られた。その後も美遊は下ろすように頼むがキッドは断固拒否をして結局そのまま美遊は背負われるままとなった。
キッドは道が分かっているかのようにスイスイと洞窟の出口まで進んで行き、そこからまた下山を始める。
美遊はキッドの背におぶさっていてふと思った。
ーーあったかい。
体の体温がというわけではない。
キッドが醸し出している雰囲気というものがだ。この人なら大丈夫と思わせてくれる安心感がキッドにはあった。それは似たような事を経験しているからなのか、それとも奥方と暮らす事で作られたのかは定かではないが。
ーーお父さんがいたらこんな感じなのかな。
美遊はそんな事を思いながら、キッドへの信頼を少し上昇させた。
そんな美遊の様子を分かっていたかのようなタイミングでキッドは美遊に話しかけた。
「なぁ、美遊」
「な、なに?」
美遊は少し動揺する。
「今すれ違った親子が俺の事を不審者を見るかのような目で見てたんだけど。どうしたらいい」
美遊はキッドへの信頼を元に戻した。
しかし、これは美遊のせいでもある。ドレスの様な服に毛布をかけている少女が妙齢の男性に背負われているのだ。最早事件の匂いしかしない。お巡りさんにお世話になる前になんとか状況を打破しなければとキッドは思って美遊にこんな事を聞いた。
美遊もその事を聞き、自分の格好を思い出し顔を赤らめた。
二人は誰にも見つからないようにコソコソと移動を始める。下山し終わり、住宅街に入った。少し歩くとゴミ置場にまだ着れそうな服と靴があったのでそれを美遊が身につけた。
背負われる事から解放され嬉しいような寂しいような気持ちに美遊はなりながら公園まで歩き、そこにあったベンチに座ってこれからの事を相談し始めた。
「とりあえず、美遊のお兄さんの願いを叶えるにしても何にしても寝床と戸籍は必要になってくるが、俺は既に死んでいるし美遊はこの世界の人間じゃないときた。さて、どうしようかね」
戸籍くらいなら魔術を使えば何とかなるっちゃなるのだが、お金の持ち合わせがないので家は流石にどうにもできない。誰かさんの様な一般人を騙す様な事をキッドはいや、カインはしたくなかった。
また、外に出た事が少なかった美遊にこれを打破することができる意見など持っているわけもなく、というかキッドはこういう事で美遊にはなから期待はしていない。
「とりあえずハローワークに行くか」とキッドが言おうとした時魔力を帯びた気配を察知した。と同時に霊体化する。
「え?キッド、何処に行ったの」
周りをオロオロし始めた美遊に念話を繋げる。
『何か魔力を帯びたものが近づいてくるから霊体化した。ちゃんと近くにいるから心配しなくても大丈夫』
人差し指だけ実体化して美遊の頰をぷにぷに押す。
「良かった。というか、何で霊体化するの?」
『俺というか、サーヴァントは現代の人間とは格が違うからそれなりに魔術に心得があるものからしたら俺はかなり警戒されるからかな。どうやって召喚されたのかとか色々面倒な事がおきる予感しかしないから俺は基本的に美遊が一人の時しか実体化しない事にするよ』
美遊には言っていないが、通常、霊体化しても存在感は薄っすらと残ってしまう。だが、そこは師匠と並び立つ程の才を持っているキッド。ルーン魔術で気配を悟らせることをさせていない。
『もし、何とかなりそうな相手なら交渉を任せる』
「交渉って。私、そんな事したことない」
『あぁ、そんな難しく考えなくていいよ。自分が心から思っている事を言えばいいだけだよ。人を動かすものはいつだってその人の心からの言葉って相場は決まってるよ』
そんな風におちゃらけた言葉を最後にキッドとの念話は切れた。
と、同時に美遊は自らの相棒になるステッキと出会った。
その後、なんやかんやあり美遊は金髪ドリルと暮らす事になった。美遊・エーデルフェルトとして。
基本的に美遊とキッドは話す事は無い。というか出来ない。美遊の傍らには常に魔術礼装であるカレイドサファイアがいる。だから美遊とキッドが話すのは美遊が一人になる寝る時だけと決めた。殆どは寝る前に念話で話す事になった。キッドは気配は感じられないが、着替えやお風呂など以外は常に美遊と共にいる。二人はその日の出来事を思い返しながら念話をする。
『メイド服か…彼女に着させてみたいな』
『彼女って誰?』
『あぁ、俺の奥さん』
『え⁉︎結婚してるの!相手はどんな人?』
『そうだなー、強くて優しくて真っ直ぐで、でもちょっとだけ脳筋だったり不器用だったり可愛い一面もあるそんな人かな』
『どっちから告白したの?』
『それは秘密。二人だけの思い出だからね』
美遊はちょっと残念がりながらもキッドの惚気話を夜遅くまで聞いた。
そんな事をしながら日にちは過ぎていき、キャスター討伐の日がやってきた。