「ルーマニアは行かない、これだけは必ず守ってくれないか」
キッドは手頃なホテルを玲霞にとってもらい、そこの部屋で一息ついている時に突然告げた。
「聖杯戦争があるからかしら?」
「いや、聖杯大戦。通常の聖杯戦争とは呼ばれてるサーヴァントの数が違うからこう呼ばれている」
「でも、キッドは聖杯に望みがあったからここに現界しているんじゃないの?」
呼ばれる英霊にはそれぞれの望みがある。望みを持たないのはルーラーくらいのものだ。しかし、キッドはアサシン。何かしらの望みがあると玲霞は瞬時に判断し、尋ねてみる。
「俺の望みにも聖杯は必要ないんだ。とある女性に逢いたい。俺の望みはそれだけだ。けど、会える可能性はかなり低いだろうな」
キッドはなにかを思い出すかのように少し上を見ながら玲霞に告げた。
「そう。なら、ルーマニアには行かないって約束するわ。わざわざ危ないところに行くなんてしたくないもの」
聖杯戦争はサーヴァントだけが戦うというわけではない。マスターを殺せば、サーヴァントも現界し続けるとこができず消滅するという理由からマスターを狙う作戦もある。玲霞は常人とは思えない程、思考速度などがずば抜けているが戦闘力自体は持っていない。
自分がいるものの、万が一がないとは言いきれなかった、キッドは聖杯戦争に参加しないときっぱり言ってくれた玲霞に人知れず安堵した。
「じゃあ、これから私達はどうするの?」
「さぁ?」
キッドは心底分からないようにそう言った。玲霞は驚きの表情を見せるが直に納得する。キッドはいろいろ助言などをくれるが、所詮はサーヴァント。玲霞の指示に従うということなのだろうと考え、先ほどの答えに理解したのは良いがこれからどうしようか玲霞は頭を抱えた。
玲霞の願いは死にたくないということ。しかし、それはあの時だものであってずっとというわけではない。長期的にしたいことが玲霞にはなかった。
そんな玲霞の様子を見てキッドも理解したのだろう。一つの提案を玲霞にした。
「旅をしないか?」
「旅?」
「ああ、人は一人では生きていけない。必ず誰かしらと関わりを持つ事で生きている。それは、昔の俺も同じだ。とある人と会えた事で人生が豊かになった。だから玲霞にも出会いをするべきだと俺は思う。人と出会ったら何かやりたい事も見つかるんじゃないかな?」
玲霞はこれまで流されて生きてきた。流されるしかなかった状態にいたから仕方ない事だったがそこから、這い出てやろうという気概が玲霞にはなかった。
だが、今回たまたま自分で道を選ぶ機会に恵まれた。
玲霞はしっかり考えた上で、決断した。
「それも悪くないかもね」
感想でも色々訂正文がされていたのですが、初期の設定の仕方が甘く変なところが多いのでこれから、ブラッシュアップをしていこうと思っています。
また、今魔法科の方の連載を重点的に書いているので、次の話は遅くなります。