精神統一。
カインが毎朝やっている鍛錬の一つだ。
しかし、今日は些か集中できない。その原因は、
「ん〜」
今朝ベットからこっそりと抜け出そうとしたときに、運悪く彼女が起きてしまい、なぜか一緒にやりたいと言ってきたのだ。
ーー言ってきたはずなんだけどな。
今まで熟睡はあまりできていなかったのか、そのぶんを取り返そうかと思えるほど眠っている。
もう終わりにして朝食にしたいのだが、あまりにも気持ちよさそに眠っているので、起こしづらい。
こうしててもしょうがないので頰をツンツンと叩いてみて反応を伺う。
ーー柔らかい。ジャンヌの頰超柔らかい。
あまりにも気持ちよすぎて本筋から離れていくカイン。
親指と人差し指で掴むようにのばす。
終いには両手で頰を撫でくりまわした。
そんなことをすればさすがに寝ていても…
「えーと、カインどうしたんですか」
起きてしまっていた。
「べ、別に変なことは考えてないよよよ。起きないからしょうがなく突いてただだ、だけだから」
「そうなんですか? でも「そうそう。さぁ朝ごはん作ろっか」はぁ」
カインは逃げるように家へと入ってしまった。
ジャンヌもしぶしぶついていくのだった。
その日の夜、カインが眠った後頰をツンツンと触ったのはジャンヌだけの秘密である。
「そういえばジャンヌって料理作れるの?」
「す、少しだけなら」
ものすごく動揺している。
「そっか。じゃあ、サラダを作ってもらえるかな。あとはやっておくからさ」
「わ、分かりました」
何かすごい事に挑戦するような顔をしているジャンヌ。
カインは自分のことをしながらこっそりと覗いてみる。
ーーそうそう先ずは野菜を洗って、レタスをちぎる。うん、大丈夫そうだな。
カインは自分の作業に集中しようとしたが、その時隣からすごい音が聞こえてくる。
何か食材に恨みでもあるのだろうかと思うほど、叩きつけて切っていた。
力を入れすぎてせっかく、師匠からもらったまな板という物がかわいそうな事に……。
「ジャンヌ、ナイフは人差し指をここにこうしてあと力を入れすぎかな?あまり力を入れなくてもこうスッとやれば綺麗にきれるよ」
説明しながらジャンヌの後ろからジャンヌの手に手を添えて、実践してみる。
「あのカイン。教えてくれるのはありがたいんですが………近いです」
「ご、ごめん」
カインはすぐに元の位置に戻る。
「あっ」
ジャンヌは寂しさに声を上げた。
「どうしたの?」
「いえ、教えてくれてありがとうございます。私、料理得意じゃないので今後も教えてください」
「うん。もちろんだよ」
ーージャンヌの手、小さかったな。
ーーカインの手、 大きかったな。
似たような事を思いながら2人は料理を作っていった。