怪盗と聖女   作:ノット

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第6話

 街まではかなりの距離があるのでジャンヌをおんぶしながら移動しているのだが、カインは走りづらくてしょうがなかった。

 

 なぜかというと……。

 

 

 

 

 

 

 

 ジャンヌの胸のせいである。

 

 一般的なサイズよりかなり大きい彼女の物は背中に心地よい感触を与えてくれるのだが、それにより前かがみになりそうになるカインなのである。別にこれはジャンヌをそういう目で見ているとかではなく男の生理現象なのであるが、ここでジャンヌに向かって「あたってるから胸を浮かして」なんて恥ずかしくて言えるわけもない。

 そんな悶々としているカインであるが、一方でジャンヌはカインの体にしがみついて落ちないようにギュッとしている。

 

 

 

 

 

 

 

 ……ように見せかけてカインの匂いを嗅いでいた。

 

 その時のジャンヌの顔はとてもではないが他人には見せられない顔であった。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、やっとついたね」

 色々な緊張状態から解き放たれたカインはとても嬉しそうである。

 

「はい」

 もう少し匂いを嗅いでいたかったジャンヌは少し名残惜しそうにカインの首筋を見ていたが。

「さて、まずは服から買おうか。そこに女性服を売っている店があるから、僕は店の前で待ってるね」

 

「え? カインも一緒に入るんですよ。2人で選びましょうよ」

 

「え? いやいや、女性しかいないから僕には……」

 言い終わる前に、ジャンヌはカインの手をつかんで無理やり店の中へと連れ込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

「こっちもいいなぁ、あっちも無難だしなー、カインはどっちがいいですか?」

 

「そっちかな?」

 こんなやり取りをすでに一時間以上繰り返していた。

 カインは十五分くらいだろうと思っていたがそんな短時間で終わるわけもなく、街に来て早々疲れ切っていた。

 

 女の子の買い物は長いものである。

 

 そんなカインを見たからなのか、ジャンヌはとりあえず決めたものを持って試着室に入って行っていった。

 

 

 ジャンヌが試着室に入っている間、カインはそこらにある女性服を軽く見ている。

 ーーこれジャンヌに似合いそうだな。

 

 そんなことを思っていると試着室のカーテンが開いた。

 

「カイン、どうでしょうか?」

 下はショートパンツにニーソックスをはいていて、上は肩が丸見えのシャツに上着をきているジャンヌが現れた。

 

「えっと、綺麗です」

 カインは少し照れ臭そうに答えた。

 

「そうですか。よかった」

 ジャンヌはなぜか安心したように笑ってから、カーテンを閉めようとしたので、

 

「ジャンヌ、これなんてどうかな?」

 自分が選んだ服を手渡す。

 

「これは? もしかしてカインが選んでくれたんですか?」

 

「ジャンヌの綺麗な長髪に合うかなって思って選んで見たんだけど。あ、でも今は短髪だしやっぱやめておこっか」

 

「いえいえ、ぜひ着させてください」

 言うやいなやすぐにカインの手から服を奪い取り、カーテンを閉めてしまった。

 

 

 

「ど、どうでしょうか? 少し可愛すぎませんかね?」

 出てきたジャンヌはフリルが少しついた白いワンピースを着ていた。

 

「そんなことないよ。さっきの服みたいな綺麗系もよく似合ってるけど、可愛いのもジャンヌによく似合ってるよ。どこかのお嬢様みたいだ」

 

「あ、ありがとうございます。じゃあこれも一緒に買います」

 試着を終えたジャンヌはさきほどの服2着を買って、先に着替えた方をその場で着替えて買い物を続けることにした。

 

 

「さて、次はどうしよっか?」

 

「その、下着を買いたいんですが……」

 

「うぇっ、下着か……。下着店にはさすがに入りたくないかな」

 

「あ、じゃあ店の前で待っていてください」

 といって店の前で待とうと思っていたら中から店員さんがでてきて、

 

 

「あら? 彼氏さんと下着選びにきたの? ささ、入って入って!」

 無理やりジャンヌと一緒に店に入れられてしまった。

 

 

 その時ジャンヌは「まだ彼氏とかじゃないです。うんうん」なんてことを呟いていた。

 

 

 

 

 

 ーーうわっ、どこも見れない。

 

 周りは下着、下着、下着。下着の店だから当たり前である。

 

 幸いにも他のお客さんには彼女の付き添いのように思われているらしく冷たい目は向けられていない。

 

 でも、居心地が良いものではない。

 

「ジャンヌ、やっぱり僕は外に出ているよ」

 

「え⁉︎ どうせなら、先ほどみたいに選んでください」

 

 とんでもない答えが返ってきた。

 

「えぇー、いやいや服はともかく下着なんて……」

 

「私とは違った観点からのものも欲しいので、選んでください‼︎」

 

 ジャンヌは力説してきたので、ついついカインは「うん」と返事をしてしまいジャンヌは嬉しそうに下着を選びに行ってしまった。

 

 

 ーーどうしよう。

 

 カインは生まれてから一度も女性の下着なんて選んだことがない。

 むしろ、選んだことがある人なんているのだろうか。いや、いない。

 

 こうして悩んでいてもしょうがないので、とりあえず置いてある下着をみてみることにした。

 

 いろんなタイプの物がある。

 スタンダードのものから、これ下着じゃなくねというものまで。

 具体的にいうと紐だ‼︎

 

 

 

 

 

 紐だ‼︎

 

 

 

 

 

 何着か見ていき、黒色の良い感じの下着を発見したのでそれをジャンヌに渡しに行こうと思ったのだが、周りにはジャンヌがいなかった。

 

「あれ? ジャンヌどこだろ?」

 歩いていると、試着室の前にジャンヌが履いていた靴を見つけた。

 

「ジャンヌ、この中にいる?」

 

「はい、いますよ。どうしました?」

 中から声だけが返ってきた。

 

「下着選んだんだけど、どうすればいいかな?」

 

 そしたら中から手だけがでてきて

 

「着てみるので渡してください」

 

 と言ってきたので手に下着を渡す。

 

 

「これは……」

 なんて声が聞こえてくるが、何もこっちに言ってこないので大丈夫だろうと思いジャンヌが出てくるのを待っていた。

 

 

 

 

 

 待ってから数分後、中から急にバチンという音がして「痛っ」というジャンヌの声が聞こえた。

 

「ジャンヌ、どうかした?大丈夫?」

 

 

 中から返事が聞こえず、何かあったのかと思いカーテンを開けた。

 

 

 

 

 

 

 上半身裸のジャンヌがいた。

 

 

 

 

「え?」

 

「え?」

 

 

 固まる2人。

 

 とまる時間。

 

 

 

 事態を把握していったジャンヌはどんどん顔を赤くしていき、完全に再起動を果たしたジャンヌは胸を隠しながら、カインに向かって強烈なビンタをおみまいした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ジャンヌの1着目の服はアポクリファでのジャンヌの服をイメージしてください‼︎

時代的に考えるとこんなものまだ売ってなさそうですが、作者に服を考えるセンスがないので勘弁してください。
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