水着ジャンヌは何故来ないんだーー‼︎
「もう、お嫁に行けない」
下着を買ったジャンヌはそそくさと店を出て街を歩きながら呟いた。
カインはジャンヌの後ろを申し訳なさそうに、俯いている。
ーーまさか下着が弾け飛ぶなんて……予想以上に大きかったのが僕の誤算だった。
カインが持ってきたものをジャンヌが無理矢理つけようとしたので耐えられずに壊れてしまったのだ。そのときに下着についていた金具がジャンヌの体にあたり突然の痛みに声をあげたのでカインはカーテンを開けてしまったというわけだ。
ーーこれは全面的に僕が悪いな。
「ジャンヌ、本当にごめん。その突然のことだったからあまり見えなかったし……えっと、ごめんなさい」
カインが何を言おうともこの場面では言い訳にしか聞こえないが、とりあえず素直に謝る。
「いえ、私も突然叩いてしまってすいませんでした。ビックリしたのでつい手が出てしまいました」
「こっちが全面的にわるいから謝らないで」
そう言った後しばらくの間2人には会話がなく、街をブラブラと歩いた。
突然、ジャンヌが後ろにいるカインに振り返り頰を染めながら尋ねた。
「カインは本当に見てないんですよね」
「うん、見てないよ」
嘘である。
結構ハッキリと大きなもの2つを見てしまったが、ジャンヌに精神的ダメージを与えたくないので嘘をついた、というのもそうだが、彼女に嫌われたくないという気持ちもカインにはあった。
「そうですか。分かりました。この件はあそこで売ってあるアイスを買ってくれたら水に流します」
ジャンヌは笑いながら指で店を指し示す。
カインは一安心して、答えた。
「ありがとう。じゃ買ってくるよ」
歩いていくカインにジャンヌは後ろから声をかけた。
「あと、もしわたしがお嫁にいけなかったらカインがもらって下さいね」
カインはビックリして後ろを振り返るが、小悪魔のように笑っているだけでジャンヌは何も言わなかった。
アイスを買って戻ったときには、いつも通りのジャンヌに戻っており先ほどのセリフは空耳だったのかとカインは決めつけ、テキパキとジャンヌに必要なものを買っていった。
帰り際に自分たちのことがどれだけ知られているかを知るために、カインがいつも情報を集めている場所に向かった。
やはりというべきなのか、そこには怪盗キッドの手配書が今までより多く貼られていた。そのことにカインは少しうんざりしたが今までも手配はされていたので多いか少ないかの違いかと思いながら割り切った。
隣に貼ってあった紙にはあることないこと書かれていた。
怪盗キッドは国に喧嘩を売る気だとか、イギリス兵を逃走中に皆殺しにした、キッドはフランスを滅ぼそうとしている、ジャンヌ・ダルクに恨みがあったのではないかなどである。
「ただ単に助けたかっただけなんだけどな」
さんざんな書かれようにそんな言葉をもらす。
「ひどいです。カインはただ私のために」
目に涙を溜めているジャンヌの肩に手を置く。
「本当のことを分かってる人がちゃんといるから僕はこんなの気にしてないよ。それに、君が笑って生きてくれているのが僕にとってなによりも嬉しいことなんだ。だから、気にしないで」
そんなことを言いながらジャンヌの涙を拭う。
ジャンヌはくすぐったそうに笑い、それを見てカインも笑ったのだった。