怪盗と聖女   作:ノット

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第8話

「ジャンヌ、起きて起きて」

 ジャンヌは肩を揺すられてだんだんと頭が覚醒していく。

 

「カイン? どうしたんですか。こんな朝早くに」

 

 昨日は買い物と言う名のデートをして、その後は一緒に帰ってきた。寝る場所でとある騒動があったが結局ベッドで二人一緒に寝ることになった。

 

 ーー今日は何も予定がなかったはずなんですが。

 

 

 

 

 

「忘れちゃったの? 前を見てごらん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なん、ですか、これは」

 

 

 たくさんの衛兵がジャンヌのことを取り囲んでいた。

 

「ジャンヌを迎えにきてくれたんだよ。さぁ帰れ」

 

 カインは悪どい笑みを浮かべながらそう告げた。

 

 

「そんな、そんなことって……貴方は私を助けてくれたんじゃ」

 

 目から涙が止まらない。

「そんなわけないだろ。お前みたいな魔女誰が助けてやるかよ」

 

 ーー苦しい苦しい生活がやっと終わったと思った。

 ーー私はもう自由なんだって思ったのに……

 カインはジャンヌに背を向けて歩き出す。

 

「待って、待ってよ。私をおいていかないで」

 

 必死にカインへと手を伸ばすがついぞ手は届かなかった。

 

 

 

 

 

「カイン‼︎」

 

「どうしたの? ジャンヌ起きるの早すぎだよ」

 ジャンヌはようやくさっきまでのことは夢だったと理解した。

 

「はぁ。いえ、何でもありません。カインはこんな時間から何をやっているんですか?」

 

 自分の目の前で荷物を整理しているカインを見ながら尋ねた。

 

 ーーまさか、あの夢の通りに。

 

 

「何って準備だよ。忘れちゃったの?」

 ジャンヌには身に覚えがない。一瞬、本気で逃げ出そうと思い臨戦態勢に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一緒に海に行くってジャンヌが言ったんじゃないか」

 

 

 ーーえ?

 

 

「昨日、ごはん食べてる時に海に行きたいって子供みたいにゴネてきたから気分転換にいいかなって思ったから行くことにしたんじゃないか」

 

 昨夜あったことを思いだしてみようとするが、

 

 

「昨日はお酒を飲んでそれから……記憶がないです」

 

 

 久しぶりに飲んでみたから、記憶がないほどベロベロに酔っていたらしい。

  そして、ようやくジャンヌは自分の思い過ごしだと気付いたと同時に情けなくなった。

 

 自分を助けてくれた、何のメリットもないのに。そんなカインの事を夢を見たぐらいで疑ってしまった。

 

 ジャンヌは自責の念に押しつぶされそうになり、目から涙を零す。

 

「ジャンヌ⁉︎」

 ジャンヌは泣いている自分を見てカインが慌ててあやそうとしているのが見え、更に泣くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「つまり、怖い夢を見たって事だね」

 

「全然違います! 私の話を聞いてたんですか? カインの事を疑ってしまったんですよ」

 

「んー。よくある事だよ。溺れてる夢を見てて起きたら足をバタつかせ続けていたみたいな。条件反射ってやつだよ、きっと。それに僕と君は会ってまだ三日目なんだし、完全に信用しろって言う方が無理ってものだよ」

 

「でもでも」

 

「でももヘチマもない。僕が気にしないって言ってるんだから気にしない」

 

 ジャンヌはまだ少し気にしてるっぽい顔をしていた。

 

「じゃあ、今日の朝ごはんはジャンヌが作ってくれたら許してあげようじゃないか」

 

 ニヤッとしながらジャンヌに条件を言ってみる。

 

 悲壮としていた顔から一転、やる気に満ち溢れた顔へとなっていた。

 

「が、がんばります‼︎」

 

 すぐさま台所へと行ってしまった。

 

「さて、朝食までに準備終わらせておこうっと」

 

 

 

 

 

 

 荷物の整理が終わり、リビングへと向かった。

 ジャンヌは台所で悪戦苦闘していた。

 

 ーー手が危ないよ。

 

 ーー火が天井まで届いたんだけど

 

 ーーひょ〜!

 

 

 カインもそれを見て悪戦苦闘していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出来ました」

 

「おぉー」

 とても料理初心者には見えない物が並んでいた。

 

「あれ?ジャンヌ自分の分は?」

 

「ちょっと失敗してしまってその分を食べたのでお腹いっぱいなんです」

 

 確かにこの量以上の卵の殻が捨ててあるのがみえる。

 

「うん。美味しい」

 

「味付けは大丈夫ですか?」

 

「僕はもう少し甘い方が好きかな。でも美味しいよ」

 

 黙々とカインはジャンヌが作ってくれた料理を食べる。

 ジャンヌはそれを嬉しそうに見ていた。

 

 

 

 

 

 カインは朝食を食べ終わった後、数日は帰ってこない予定なので畑に毎日水をやれるように魔術でその仕掛けを作りにいき、ジャンヌはカインが食べた皿の片付けの担当になった。

 

 

「あれ? フライパンに少し作ったものが余ってる」

 捨てるのは勿体無いのでそれを口に運ぶ。

 

 

 ーーしょっぱい。

 

 

 ただただ、しょっぱかった。

 

 なんの手違いか、塩を入れすぎてしまったらしい。

 

 ーーあれ? でも、カインは普通に食べていたような。

 

 カインに出したものは今ジャンヌが食べたものと同じはずなので、カインもしょっぱいものを食べていたはずだ。

 

 

 ーーうう〜。

 

 カインは恐らくジャンヌを気遣って何も言わなかったのだろう。

 そんなカインに申し訳なく思うのと同時に、そんな人を疑ったのが恥ずかしくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 ジャンヌは料理をうまく作れるようになることと、カインを絶対に裏切らないことをここで一人誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本当は夢の内容はイチャイチャする予定だったんですが、なぜかこんなことに…

次は水着回になる予定です。



ジャンヌさんの可愛さを頑張って表現したい‼︎
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