とある海鳴市在住男性の話   作:ばんちよ

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お気に入り、評価、感想をつけてくれた方、ありがとうございます。
勢いのまま書けたので投稿です。




第二話

 

 海鳴市北部山中  00:05

 

 

 

 深夜。

 人気は全くなく、真っ暗な山の中。

 いつもであれば、夜行性の虫や動物たちの鳴き声がよく聞こえてくるこの場所は、今不気味な程に静まり返っていた。

 

 

 

 

  グギャアアアアアアアアアアアアアア!!!

 

 

 

 

 そんな静寂の中、突如獣の叫び声が上がる。

 

 

 

 熊だ。

 

 

 体調は一メートルを優に越えている。

 成体のその熊の爪はとても鋭く、手足もとても太い。

 人間が襲われたらひとたまりもない。

 ものの数分であの世行きだ。

 

 

 恐らくこの山の中で今までこの存在を脅かすような生き物はいなかったのではないだろうか。

 そのあまりにも雄々しい体躯は山の主の称号がふさわしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな立派な熊が、______________喰われていた。

 

 

 悲鳴をあげながら、懸命にもがいている。

 しかし、体は巨大な何かに巻き付かれ逃げることはかなわなかった。

 

 そのまま、頭の上から噛みつかれ、熊は絶命した。

 

 

 熊をいとも簡単に殺した生き物は、そのまま食事にありつく。

 

 

 

 

 

その頭部には、青い菱形の宝石が光っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 森の中で、青白い光が発生する。

 中から出てきたのは、竜人こと高橋だった。 

 何かの異常を察知した高橋は、山の中に移動してきた。

 

 

 

 (さてと、ここら辺だと思う。人はないけど一応。)

 

 

 

 高橋はケースからカードを一枚引いた。

 そのカードの裏面は黒地で、ケースにあるのと同じ竜のエンブレムが描かれている。

 そして、表にはSanctuaryと描かれている。

 意味は神域。

 

 すると、今度は手甲部分が盛り上がり、何かの装置のようなものに変形する。

 高橋はその装置に触れようとして、前方に勢いよく振り向いた。

 

 

 

 「なんだ・・・・・?」

 

 

 

 ガサガサガサガサガサガサ。

 

 

 

 急に木々がざわめきだしたのだ。

 空を見ればたくさんの鳥たちが鳴き声を上げながら高橋の後方へと飛んでいく。

 地上ではイノシシやタヌキ、キツネなどの大きな生き物からリスや虫などの小動物もすべてが、我先にと一目散にかけていた。

 まるで何かに怯えているかのようだ。

 一分と経たずに何もいなくなる。

 

 

 

 「へぇ、フィクションの演出だと思ってたけどこんなこともあるんだねぇ。」

 

 

 

 どこか、他人事のような気楽な声でつぶやく。

 しかし、仮面に覆われた高橋の表情は依然引き締まったままであった。

 

 

 

 「急ぐか。」

 

 

 

 そういうと、高橋は先ほど引いたカードを腕の装置に差し込んだ。

 

 

 

 『Sanctuary』

 

 

 

 機械から、渋い男の声が発せられた。

 それとほぼ同時に辺りの風景が少し変わる。

 これまで深夜だったが、中は昼間のように明るくなった。

 高橋を中心に半径1キロ程の、ドーム状の結界のようなものが展開される。

 

 

 カードの発動を確認すると、高橋は結界の中に異物の存在を確認した。

 その存在は、ゆっくりと高橋の方へと向かってきているようだった。

 

 

  

 「見つけた。・・・・いや、見つかったのは俺、か?」

 

 

 

 どうやら高橋のお目当てはこの異物のことらしい。

 相手は前方から少しずつ近くなってくる。

 高橋は、腰を沈ませいつでも反応できるように身構える。

 

 

 

 目標との接触まであと10メートル。

 木々の奥に何やら巨大な影が見えた、と次の瞬間。

 

 

 

 シャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!

 

 

 

 敵が鳴き声を上げながら、恐るべき速度で襲いかかってきた。

 その移動速度はまるで新幹線のようだ。

 瞬きする暇も与えない。

 

 

 高橋はなんと、その襲撃を瞬時に横に転がり受け身をとることで避ける。

 とても人間技ではない。

 

 受け身をとった勢いでそのまま立ち上がり、襲撃者に相対する。

 そこにいたのはなんと・・・・・。

 

 

 

 「・・・・・・コブラじゃねーか!」

 

 

 

 そう、コブラだ。

 改造人間ではなく、蛇の方の。

 見える限りで全長10メートル以上、太さは水道管程の太さだ。

 

 

 

 (海鳴に・・・・、てか日本の本州に野生のコブラなんていないだろうに。)

 

 

 

 予想外の敵に高橋は内心毒づく。

 だが、待ってほしい。

 気にするところはそこではない。

 そもそも野生云々を気にする前に、サイズだろうサイズ。

 あまりにもでかすぎる。

 こんなのが野生でいたらどれだけの人間が今頃殺されているだろうか。

 つまり、何らかの異常が発生していることは明らかである。

 

 その証拠にコブラの頭部。

 そこに、青い宝石が付いていた。

 

 

 

 「あれが原因だよな。なんか魔力がほとばしっているし。」

 

 

 

 どうやらその宝石から魔力と呼ばれるエネルギーが流れていて、それが原因で巨大化しているらしい。

 そう、高橋が考察していると、すぐにコブラが追撃してくる。

 その大きな尻尾を鞭のようにしならせ、周りの木ごとなぎ倒すように横に振ってきた。

 

 それを高橋は大きく跳躍し回避。

 

 

 

 「ヒュ~。やるじゃねぇか。それじゃこっちも!」

 

 

 

 そう言うと、一枚カードを引きすぐに読み込む。

 

 

 

 『Blade』

 

 

 

 音声と共に高橋の両手には、二つの片手剣が握られていた。

 

 デザインは、どちらかといえば日本刀に似ている。

 赤みがかった刀身と、竜を模した唾。

 片方を上段に、もう片方を正眼に構える。

 二刀流である。

 

 

 構えたままコブラへと直進。

 途中尻尾を利用した薙ぎ払いや、蛇独特の動きである噛みつきのヒットアンドアウェイに襲われるが、それをすべて二刀でいなし、避け、相手の懐に踏み込んだ。

 

 

 そして、一閃。

 

 

 一斬りで胴体に大きな切れ込みを入れ、振りぬく。

 長さが足りなかったせいか、まだかろうじてつながっているそれを下段から斬り上げる二振り目で完全に断ち切る。

 

 

 キシャアアアア!!

 

 

 断末魔と共に蛇の血が大量に吹き出る。

 それを高橋はもろに浴びることとなった。

 

 コブラはまだ、うめいていた。

 高橋は、その東部にとどめとばかりに一突。

 

 しばらく悶えていたが、力尽きる。

 すると、コブラの全体を大きな光が包む。

 

 光が収まると、そこには息絶えた、小さなコブラの死骸と、宝石が転がっていた。

 

 高橋は宝石を手に取ると、再びカード引き、装置に読み込ませる。

 

 

 

 『Sealed』

 

 

 

 すると、宝石を覆うように青白いナニカ________魔力が広がる。

 そして、宝石の封印処置が施された。

 

 

 血だらけの竜人が立つその風景は、戦いが終わったことを示している。

 

 

 

 「よし、お仕事終了。」

 

 

 

 宝石を回収した全身を魔力が包み、高橋はその場からいなくなった。

 周りに展開されていた結界も消え去る。

 

 

 すると、どうしたことか。

 先ほどの戦いで倒された木々は元に戻り、コブラの死骸があった場所には気絶したコブラが倒れている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、辺りは再び静まり返り、いつもの山へと戻っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 





 読んでくださりありがとうございました。
 それでは、また次話で。
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