それでは、第5話です。
16:30 海鳴国立大学〇号館大教室
「・・・・・でなので、こうなります・・・・・。繰り返しますが、Aの事例は例外となりますので注意してください。それでは、今日はここまで。課題のレポートは来週までなので忘れないように。」
教授の講義が終わると教室にチャイムが鳴り響く。
授業が終わり、学生達はそれぞれバラバラに動き出す。
教授に質問しにいく者、友人と話をする者、パンを取出し口に含む者、プリントにメモを書き込む者。
教室はざわざわとし出している。
そんな中、祐樹は勉強道具を片付けながら隣の和也と話をしていた。
「なあ、和也。お前どれくらいレポート進んだ?」
「俺?いや、先週はゼミの課題が重くて後回しにしてたからあまり。お前は?」
「俺は半分ぐらい・・・。でも、途中うまくまとまらなくなってきて書き直すかもしれん。」
「そっか。」
祐樹は、今大学に通っている。
高校を卒業後、とある伝手で紹介された人の元で数年働いた後、この海鳴国立大学に入学したのだ。
今は貯めた貯金で学費と生活費をまかなっている。
和也は同じ学科だ。
入学当初から気が合い、仲よくしている。
というのも、和也も祐樹と同じ社会人経験があり、話も合うからだ。
「この後、自習室で一緒にやらん?」
「うーんと、19:00までなら。」
「いいよ、それで。」
二人は、バックを提げ教室から出ていく。
そのまま、喫煙所にむかった。
◇◇◇
「・・・・それにしても、最近物騒だよな。」
紫煙を吐きながら、和也はそうこぼす。
「ああ・・・・、誰がやったのか知らないが、海鳴市内でいろんなものが壊されてるよな。」
「それだけじゃない。山の中でズタズタのクマの死骸が見つかったり、コブラが見つかったり。知ってるか?この大学の近くの豪邸の庭に、大きな動物がいたのが見えたなんて噂もある。それに・・・・、この間のジャングル事件。」
「ああ、それな。その時ゼミの実習で海鳴から離れてたから後で知ったんだけどかなりニュースになってるよな。(大体ジュエルシードのせいなんだろうけど・・・・。)」
ここ1、2か月の間で、海鳴市内ではかなり多くの事件が起こっている。
数週間前には、なんと街中で巨大な木が生えて多くの建物が壊されてしまうという事件が起こったのだ。
奇跡的に死者はなく、不思議なことにすぐにその木は消えてしまったという。
祐樹には心当たりがあった。
そう、ジュエルシードだ。
祐樹が何回か対処してきたときのように、ジュエルシードが暴走し、これらの事件が起こっているのだと考える。
祐樹やフェイト達が集めていなかったら、もっと多くの事件が起きていただろう。
この間の巨大コブラなんかが街中に出現なんてしたら、本当に地獄だ。
祐樹はできるだけそのようなことが起こらないようにできれば、と考え集めているのである。
しかしながら、実のところ祐樹はそこまで積極的に集めているわけではなかった。
そのジャングル事件の時が良い例だ。
本気で事件の対応にあたるのであれば、いくらゼミとはいえ市街での実習を休んで待機しているべきだ。
それを祐樹はせず、自分が暇なときに回収するスタンスである。
「まあ、お互い気をつけようや。」
「せやな。」
和也の言葉に祐樹も同意する。
(被害を受けてる人は確かにかわいそうだが、俺にも生活がある。それに_________)
タバコの火を消しながら、祐樹は考える。
(『アイツ等』が俺を急かしてこない。それはつまり、極端に考えればこの事件は元々俺がでしゃばる必要がない、ということだ・・・・。)
祐樹が考える『アイツ等』とは一体・・・・。
◇◇◇
19:50 海鳴市内
「あー、結局書き直しかよ・・・。」
大学を出た祐樹は、そのまま真っ直ぐアパートに向かって歩いていた。
肩が凝ったのか、首や肩を回しながら歩いている。
「そういやあんま材料残ってなかったな。スーパーよって行くか。」
夕飯の献立を思い描きながら歩を進める。
しかし、ここで邪魔が入る。
「・・・・・お、なんか発動したな。」
祐樹は少し離れた場所でジュエルシードが発動したのを感知する。
「ここは人がいるな・・・・・、どこかいい場所は・・・。」
人気がいない場所を探しながら小走りで移動する。
数分後、祐樹はいい場所を見つけた。
人気がなく、真っ暗な路地裏だった。
「いい場所みっけ。」
祐樹はそこに入り込み、一番奥に行く。
人はおらず、監視カメラ等の記録媒体もない。
「変身。」
体を魔力が包み、赤の鎧が体を覆う。
そして、祐樹は発動場所へと向かった。
◇◇◇
海鳴市内公園前
「・・・・・・・なんぞ?」
_____________目の前に、壁があった。
正確には結界だ。
先に回収にきたものたちが貼ったのだろう。
しかし、これでは中に入れない。
一応ここは林の茂みの中。
周りから自分が見られることはない。
ここで様子を見るのもアリだが・・・。
「ここからだど、中が見れないな。」
外側からでは中の様子が見れなかった。
どうやら術者によりシャットアウトされているようだ。
(もう中の人に任せて帰ろうかな。・・・・・・いや、まだわからないことも多い。もう少し情報収集しよう。)
祐樹は中に侵入することに決めた。
そして、カードを一枚ドロー。
引いたカードには、黒の髑髏を模したエンブレムが描かれている。
『Morph:Cursed Skull』
祐樹の体を再び青白い炎が包む。
中から現れた祐樹は、まったく別の姿をしていた。
体を覆うは漆黒の髑髏。
先ほどまでの赤い竜人のような姿ではなく、禍々しい雰囲気を発している。
祐樹、いや、スカルと呼ぼう。
スカルは結界に手を当てる。
するとそこに等身大の黒い穴が開き、スカルそこに入った。
◇◇◇
スカルが身を隠しながらいくとそこでは戦闘が行われていた。
どうやら2対2の構図になっているらしい。
一方は先日接触したフェイトとアルフ。
もう一方は、
「話を・・・・、聞いてってば!!」
「なのは!!」
白のコスチュームに身を包んだ、茶髪の女の子と・・・・・オコジョ?みたいな動物。
{キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!初めて見たな。喋る動物。てか、なんだ。また子供。大人はいないのか大人は!!・・・・それに、もう一つ勢力があったのか。てっきりフェイトちゃん達だけかと思ってた。)
フェイト達。
白い少女達。
そして、祐樹。
どうやら、ジュエルシードを巡って三つ巴になっているようだ。
祐樹はジュエルシードなんていらないのだが。
空を見上げると、少女たちが空中戦を繰り広げてる。
黄色とピンク。
鮮やかな色の魔力光が空を彩る。
(見るにフェイトちゃんは高速近距離型。反対の・・・・、なのはちゃん?とやらは遠距離型か。うお!?なにあれ、めっちゃ太い砲撃繰り出したぞ。あれ直撃したら洒落にならん。どっちも幼いのに大した腕だ。)
スカルは少女たちの戦闘を観察する。
そんな中で、一つスカルは気づいた。
(・・・・あれ?あのジュエルシード、暴走しかけてない?)
ジュエルシードの方を見ると、魔力を放出させながら点滅している。
「なのは!!まずい、先にジュエルシードを封印して。」
「させないよ!!フェイト!!」
アルフとオコジョも気づいたのか、それぞれの少女に呼びかける。
フェイトとなのはは、その言葉に応じ、ジュエルシードを挟むようにして接近する。
(おいおいおい、対処が乱暴すぎる。これじゃ暴走するぞ、・・・・・・・しょうがない。)
そう考え、スカルはカードを一枚引いた。
二人とジュエルシードの距離がほぼなくなったとき、ジュエルシードから大量の魔力が放出される。
それは、結界を大きく揺らし、大気を震わすほどの圧倒的な力の塊。
視界が閃光に包まれた。
『Morph:Holy Aqua』
読んでくださりありがとうございました。
それでは、また次回で。