ニードレス・オーダー 【ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか】   作:概念

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残念ながら、
このページは、
ダンまち要素皆無だ!(バァーン)


〜特異点EX〜
01.


「…フォウッ!」

 

てしてしと顔を柔らかい肉球が押し付けられる。

 

目を開けると白くてモフモフっとしたよく見知った物体Xが俺を起こそうと奮戦しているところだった。

 

その物体Xを持ち上げて上体を起こし時計を見ると時間は約束の1時間前。

 

「おはよう、フォウ君。」

 

フォウ君をひと撫でして起こしてくれた事を労うと顔を洗って服を着替えた。

 

今日は朝からダヴィンチちゃんに呼び出されている。

 

このタイミングでの用事なら特異点絡みだとは予想できるものの、珍しく危急ではないとの事なので呼び出しは余裕を持って翌朝となった。

 

あの人曰く、「ちょーっと特殊な事態でね、こっちも情報の解析やら準備やら色々あるからミーティングは明日の朝にしよう、うんそれがいい」と珍しく困惑した様子を見せていたが…

 

なにやら職員の人も慌ただしくしているようでカルデア内部は騒然としていた。

 

この雰囲気にはもう慣れてしまったな。

 

過去に幾度となく経験したことがある雰囲気。

 

その度に帰ってこれた事が奇跡としか思えないような体験をして来たのだが…

 

「やぁやぁ、お早いお着きだねぇ。」

 

ブリーフィングルームに着くと絶世の美人がにこやかに挨拶してくれた。

 

「ダヴィンチちゃん、おはよう。今日も呆れるほど美人ですね。」

 

俺の軽口にダヴィンチと呼ばれた絶世の美人はまるで絵画のように口角を持ち上げる。

 

「ありがとう、でも『美女』って言ってくれないんだね。」

 

「それはデリケートな問題ですので。」

 

「ははっ、私は気にしていないよ?どちらでもね。」

 

軽口を済ませて席に着く。

 

するとダヴィンチちゃんが背に負ったモニターが起動した。

 

「キミはもう分かっているだろうけど推察通り、特異点だ。」

 

あぁ、やっぱり

 

「まぁ、予想はしてましたけどね…あれ、そう言えばマシュは?」

 

「今回は先に説明してサポートの準備をして貰っているよ、なんせ状況が状況だからね。」

 

「状況?」

 

ダヴィンチちゃんは覚悟を決めるようにコーヒーを一口飲むとまっすぐこちらを見つけて言う。

 

「今回の特異点、正確な測定もできなければ人類史において一体いつの話かも分からない。人理定礎値EXの特異点だ。」

 

EX、評価不可能!?

 

「正確な測定ができないって…そんな場所にレイシフトが出来るんですか?」

 

「結果だけ言えば『出来る』…とカルデアの全測定機が結論づけている。とは言っても正直何が起こるかは分からない、おそらく通信すら出来ないだろう。」

 

「…」

 

サポートすら受けられない状態で特異点に…

 

だけどそれが世界を救うためであるならば

 

「加えて言うと今回に限ってはキミには『レイシフトをしない』という選択もできる」

 

「なん…て…?」

 

「今までとは違う、この特異点の反応は非常に弱い、介入するまでもなく消えてしまう、本来ならレイシフトするまでも無い、世界の修正力でなんとかなってしまうようなものだからね。」

 

「…は?」

 

レイシフトしなくてもいい特異点

 

そんな物が存在するなんて初耳だ。

 

今までは世界を守る為、人理を修復する為にレイシフトを重ねてきた。

 

それが人理継続機関、カルデアの使命であり、カルデアの唯一のマスターである俺の使命。

 

別に俺は英雄願望があるわけでは無い。

 

ただただ守りたいものを守ってきただけに過ぎない。

 

加えて言うならなるべく自分の命を危険に晒したいとも思わない。

 

いままで何度も命の危険はあったがそれは俺の使命、俺がやらなければいけない事であり、やりたい事だったからだ。

 

しなくてもいいレイシフトなら別にしなくてもいいのでは、と心のどこかの自分が囁く

でも…

 

だとしたらダヴィンチちゃんは何故レイシフトを提案した?

 

「実はね…この特異点からある英霊の反応が計測された。」

 

ある…英霊?

 

「この特異点から…魔術王の反応が計測されたんだ。」

 

「ソロモンの!?」

 

「そうだ、だからこの件はキミに判断を委ねたいと思っている。」

 

「俺の判断でレイシフトを実行してもいいんですか?」

 

「レイシフトは人理を継続するためにしか使えない…と、いってもこの反応は紛れもなく特異点だ。人理定礎値EXならどうとでも説明はつくだろう。」

 

もし、もう一度あの人に…

 

最後まで勝手な自爆で俺たちを救ったあの男に会えるのなら…

 

「行きたい、と思います」

 

その言葉を受け止めるとダヴィンチちゃんはコクリと頷いた。

 

「了承した、ではそんなキミに一つ頼みがある。」

 

「なんですか?」

 

「もし『アイツ』を見かけたら横っ面張り倒してでも連れて来てくれ。」

 

いい笑顔でそんな事を言うダヴィンチちゃんまじ美人!

 

「…了解!」

 

ブリーフィングルームを出ると声をかけられる。

 

「先輩っ」

 

走って来たのであろう、ズレたメガネと少し赤みがかった頬をして我らが頼れる後輩がやって来たのだ。

 

「マシュ」

 

「先輩、決めたんですね。」

 

神妙な面持ちでそう語りかけるマシュの瞳は心配と悔恨が混じり合っている。

 

「はは、マシュには敵わないな」

 

「私は先輩の事ならなんでもわかるんです」

 

胸を張ってそう言って見せるマシュ。

 

やっぱりマシュとのやりとりは心が和むなぁ。

 

「そうかそうか、はっはっはー」

 

愛い後輩の頭を撫でてやると少し恥ずかしそうにしながらもその手を受け入れてくれた。

 

「先輩、今回も私は…」

 

同伴できない悔しさ、更にソロモンの反応。

 

俺よりあの人と付き合いの長いマシュは行きたかっただろう。

 

「気にしないで…って言ってもマシュには難しいか、じゃぁサポートは任せるからね?」

 

「はいっ、任せてください!」

 

うん、いい笑顔だ。

 

この笑顔があるから、俺はあの出来事も乗り越えられたし、これからもここに帰ってこれる。

 

「頼んだよ」

 

「たとえ離れていたとしても私は先輩の盾ですから!」

 

「ん、ありがとな」

 

少しはマシュの気も晴れたかな?

 

マシュのためにも早く帰ってこないと。

 

それから2時間後、遂にレイシフトの時が来た。

 

「準備はいいかな?」

 

ダヴィンチちゃんはいつも通り、いつも通りにしてくれる。

 

「問題ありません、慣れたものですから。」

 

「先輩、ご武運を…」

 

マシュはやっぱり心配そうだな。

 

「うん、行ってくる。」

 

「じゃあ始めよう、藤丸立香。頑張ってね。」

 

---アンサモンプログラム スタート。量子変換を開始 します。---

 

---レイシフト開始まで あと3、2、1、……---

 

---全行程 完了。レイシフト開始します---

 

時間の円筒の中に意識が吸い込まれていく。

 

いつもの感覚、いつものレイシフト。

 

その中でいつも違う、今では懐かしい声がした。

 

 

『これは君の世界では無い、だけどこれは君の物語だ。』

 

『そうだね、名付けるとしたらこれは…』

 

『世界を救うためではない、意味のないレイシフト、不必要な物語』

 

『ニードレス・オーダーでどうかな?』

 




次回、藤丸立香、ダンジョンに立つ!
見切り発進だけど実はもう次の話は完成しているんだぜ(ドヤ顔)
完結目指して頑張るぞい
※時事ネタだけどFGO2周年おめでとう!
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