ここはオトノキ地方のある和菓子屋のお店、和菓子屋の名前は『穂むら』だ。
その店にジョウトリーグを優勝し、帰りの船で乗客と乗務員を助けたヒーローである高坂穂乃果はそこの娘として生活している。
「う〜〜ん…」
平日の朝6時、穂乃果はいつもその時間に起きる。学校に登校するのはいささか早い気がするが穂乃果はそのために起きたのではない。
穂乃果はひとつ伸びをしてベットから起き部屋から出た。
「さてと…」
穂乃果は階段を降りて一階にある穂むらの厨房に行くと奥の隅っこにある掃除棚を開けた、そして、掃除棚の中の壁にある小さな赤いボタンを押した。
ウィーーン… ガタン‼︎
穂乃果がボタンを押した途端、掃除棚が床に引っ込み階段がその先に現れた。
「………」
穂乃果は無言のまま階段を降りて行った。
階段の下には大きな扉の地下室があった。穂乃果は大きな扉を両手で開ける。
そこには……
『ギャーフ』 『ヨル〜』 『ふるー!』『バウ!』
たくさんのポケモンたちが笑顔で穂乃果を迎えていた。
みんな穂乃果が育てているポケモンたちだ。
ジョウトリーグでのポケモンたちだけではなく、他のポケモンたちも仲良く暮らしている。
ポケモンたちにつられて穂乃果の顔も笑顔になった。
「みんな、おはよう! 今日も元気だね!」
穂乃果は笑顔でポケモンたちに言った。
穂乃果が平日とはいえこんなに早起きしているのはポケモンたちに餌を与えるためだ。
「みんな、ご飯だよ」
穂乃果はそう言うとリーグの優勝賞金や以前、指名手配されていたポケモンハンターを捕まえた時の懸賞金で買った自動餌やり機のスイッチをONにした。
ザァァァァーーーーーッ
たくさんの餌がポケモンたちの器に入れられる。
ポケモンたちはそれぞれ自分の餌をとって美味しそうに食べ始める。
穂乃果はそれを優しい笑顔で見ていた。
ポケモンたちが餌を食べ終わった後、一部のポケモンたちをボールに戻す。
そして、今日、持って行くモンスターボールを手に取り地下室を出て行った。
地下室を出ると家族が朝食をとる準備をしていた。
「おはよう 穂乃果」
「おはよう! お姉ちゃん!」
「おはよう…」
穂乃果に両親と妹の雪穂が挨拶した。
「おはよう! みんな」
それに穂乃果も笑顔で挨拶を返す。
「お姉ちゃん! ジョウトリーグも優勝したんだね! 新聞にのっていたよ!」
「穂乃果! おめでとう!」
雪穂が興奮したように穂乃果に聞いた。
「うん…」
穂乃果が歯切れの悪そうに返すが雪穂は笑顔で穂乃果に聞き続ける。
「すごいね、お姉ちゃん! ジョウトリーグも優勝するなんて、カントーやカロス、ホウエンまで優勝したんだから!」
雪穂が興奮したまま穂乃果に言う。
「ありがとう雪穂、でも、そんなにすごい事じゃないよ」
穂乃果が言うと雪穂は興奮したまま穂乃果に言った。
「お姉ちゃんは私の自慢の姉だよ! 優しくて、頼りになって、ポケモンバトルも強くてかっこいいし!」
穂乃果は雪穂の褒め言葉に居心地の悪そうな顔になった。
「雪穂、私はそんな人じゃないよ。 私は自慢されるような人間じゃない…」
穂乃果が雪穂に言うとそんな穂乃果の様子に気づいたのか母親が雪穂をに注意する。
「雪穂… その辺にしなさい。 穂乃果は…」
いつになく真剣な母親にそういわれて雪穂もハッと黙る。
「ゴ、ゴメンお姉ちゃん…」
雪穂が穂乃果に謝ると穂乃果は雪穂に笑顔で言った。
「気にしない気にしない、ありがとう雪穂」
第三者が見ればいい笑顔に見えるだろう、しかし、家族である雪穂たちから見た今の穂乃果の笑顔は無理して笑ったような笑顔だ。
「じ、じゃあ、そろそろ私は学校に行くから…」
そんな雪穂たちに気づいたのか穂乃果はその笑顔のままカバンを持ち食器を流し台に置いて「いってきまーす!」と明るい声で言い部屋を出ていった。
「お姉ちゃん…」
穂乃果が出た後雪穂が呟いた。
「雪穂、あんまり傷を抉ったらダメよ。穂乃果は今でも苦しんでいるんだから」
「で、でも、リーグで優勝するなんてすごい事だよ⁉︎ それにあのことはお姉ちゃんは悪くないのに… あれからお姉ちゃんは、私たちの前では明るく振舞っているけど見てない所ではいつも悲しげな顔をしているよ!」
母親が言うと雪穂も言い返す。
「そうだけど… これは穂乃果自身の問題よ、私たちは見守りましょう」
母親が雪穂にキッパリと言った。
「お姉ちゃん…」
雪穂はご飯を食べる箸を無意識に見ながら呟いた。
その様子をドアの隙間から見ていた穂乃果は申し訳ない気持ちになった。
(はぁ… 家族にも心配かけるなんて… やっぱり私はダメな人間だよ…)
穂乃果は雪穂が言っていたあのことを思い出した。
(そう… 私は最低の人間だ… それこそ殺されても仕方ないくらい…)
穂乃果は1人そう思っていると、
『穂乃果ー!』
『穂乃果ちゃーん!』
外から聞き覚えのある2人の女の子の声が聞こえた、おそらく自分を迎えに来てくれたのだろう。穂乃果は慌てて今の表情からいつも人前でしている笑顔になり2人の待つ場所へ玄関を開けて向かった。
ご指摘、感想よろしくお願いします。