今回はネタを少しいただいていますが許可は取ってありますのでご安心ください。
ハガネールが戦闘不能になり穂乃果の勝利が確定した、
審判の近衛が勝利の判定を言った。
「バ、バカな… こんなことが…」
小宮は呆然としながら呟いた。
自分は公安委員会のNo.3になってからは負けたことなどほとんどなかった。
負けたとしても公安委員会のメンバーくらいだった。
それなのに、今、自分は目の前にいるただの一生徒に負けたのだ。
バトル前もバトルの最中も油断していた。
5体倒されても、最後のハガネールが残りの5体を倒してくれると思っていた。
今までもどんなピンチでも自分のハガネールに【いのちのたま】を持たせ、技の威力を上げてねじ伏せることができた。
だから今回もハガネールがねじ伏せてくれるとばかり思っていた。
小宮の脳内をいろいろな考えが渦巻いていると、
「小宮さん、確かに貴方のポケモンはすごく強かったです。 しかし、貴方はポケモンへの愛情や思いやりの気持ちが欠けていました… だからこそポケモンたちは貴方の期待に応えてくれなかったんです」
穂乃果が小宮に声を投げかけた。
小宮はキッと視線を強くして穂乃果を睨みつけて言い返した。
「愛情や思いやり⁉︎ はっ! そんなもので勝利を得ることなどできるわけがない! 綺麗事を言うな!」
「けど、貴方は穂乃果先輩に勝てなかったじゃない、それに、勝てなかったのは、バトル中の会話から察するに相手を舐めてたからなんじゃないの?」
「くっ……!」
小宮の反論に真姫が口を挟み小宮の反論を論破した。
小宮は今度は真姫を睨みつけたが気の強い性格の真姫は小宮を睨み返す。
そこに、さらに海未がたたみかける。
「さらに、貴方ははもちものを持たせた状態でハガネールにバトルさせたでしょう? 【いのちのたま】はダメージの反動があるとはいえ、攻撃力が上がる効果があります… 対する穂乃果のヨノワールはもちものは持っていませんでした。 状況は貴方が有利だったはずです。 そんなバトル条件で負けた貴方に反論できる要素がどこにあるんですか?」
その言葉に小宮は何も言えなくなった。
意地もプライドもズタズタにされたことを表すように拳を握りしめ唇を噛み締めて穂乃果を恨みのこもった目で睨みつけている。
「チッ… 愛情や思いやりで勝てただと…⁉︎ くだらねぇ…」
小宮は悔しさに地団駄を踏むのを表すように穂乃果の言葉に悪態をついた。
そんな小宮を見かねたのか希が言った。
「負け惜しみを言ってないで早くハガネールをモンスターボールにもどしたらどうや?」
希の言葉に小宮は舌打ちをしてハガネールに悪態をつきながらモンスターボールに戻そうとする。
しかし…
「…ん?」
何度もハガネールをモンスターボールに戻そうとするが何回やってもハガネールはボールに戻らなかった。
『ボールが故障したのか?』と小宮がモンスターボールを調べようとすると…
「⁉︎」
かばっ!
「え?」
ハガネールをじっと見ていた真姫が何かに気づいたらしく慌てて小宮を押しのけてハガネールに駆け寄った。
真姫は未だに身動き一つしないハガネールに近づいて身体を調べた。
そして、真っ青な顔で言った。
「まずいわ! ハガネールの生命力が尽きかけてるわ!」
「「「「「え⁉︎」」」」」
真姫の言葉に穂乃果たちも近衛たちも小宮までもその場にいた全員が驚いた顔をする。
真姫はハガネールを調べながら続けた。
「相当衰弱しているわ… このままだとあと数時間と持たないうちにハガネールが死んでしまうわ‼︎」
「そんな!」
「ハガネール可哀想……!」
「ま、まじかよ……!」
真姫の言葉に全員が真っ青な顔になる。
自宅が人間もポケモンも診る大きな総合病院である、真姫は両親の影響もあり医学の知識はあると言っていた。
だからこそ真姫の言葉には説得力があり、誰もそれを疑ったり鼻で笑ったりしなかった。
近衛たちも真姫が医者の娘だということは知っていたらしく何も言わなかった。
そんな慌てる近衛たちを無視して、真姫はポケットからモンスターボールを取り出してポケモンをだした。
「ハピナス! 出てきて!」
『ピナ〜』
真姫のモンスターボールから出てきたのはたまごの袋をお腹のあたりに抱えて優しそうな顔のポケモンであるハピナスだ。
「たまごうみ!」
『ピ〜ナ〜』
ハピナスはお腹の袋から優しいピンク色の光をだしハガネールに向けてたまごを発射した。
たまごうみは本来なら体力の半分を回復させる技だが、ハガネールの意識は戻らなかった。
「サーナイト! 私たちもいやしのはどう!」
『サーナ!』
真姫のハピナスに続き、穂乃果もサーナイトを繰り出していやしのはどうを指示する。
サーナイトの全身から優しいピンク色の光がハガネールを包んだ。
しかし、ハガネールの意識はまだ戻らなかった。
「誰か他に回復できるポケモンを持ってる人は⁉︎」
真姫が荒々しく全員に聞いた。
恐らく回復できるポケモンを増やしてハガネールの生命力を回復させるためだ。
しかし、海未たちも近衛たちも回復技の使えるポケモンは持っていなかった。
「そのハガネール… 私のガブリアスにポケモンセンターまで運ばせようか?」
「ダメよ! 今のハガネールは生命力が尽きかけている状態よ! 意識もはっきりとしていないから動かしたりすると人間と同じでかえって不味いことになるかもしれないわ!」
こんな空き地で何とかするよりポケモンの力を借りて治療のできる施設に運ぼうと提案するが真姫によると少し動かしただけで危険な状態だそうだ。
だからといってこんな空き地では適切な治療はできない。
治療のできる人間を呼びにいっても、ハガネールの状態から察するに、呼びにいって戻ってくる間にハガネールが力つきる可能性が極めて高いだろう。
どうすればいいのか分からずみんなが悲しそうに俯く。
その間にもハガネールの生命力はどんどん尽きかけていった。
小さくなっていく呼吸、動かなくなっていく身体、それはハガネールの死がもう目前だということを表していた。
ハガネールが助からないと海未たちが思ったその時、
「諦めたらダメ! サーナイト! フルパワーでいやしのはどう!」
『サーナー‼︎』
「⁉︎」
突然、空き地に大きな声が響いた。
その声に全員が驚き声の主を見る。
その声の主は、サーナイトに指示を出している穂乃果だった。
穂乃果は今度は別のモンスターボールをポケットから取り出しポケモンを繰り出した。
「オニドリル! 出てきて!」
『クワァーーー!』
穂乃果がモンスターボールからだしたのはオニドリルだ。
小宮とのバトルの傷が目立つが力強く鳴き声をあげる。
そして、穂乃果はカバンからノートを取り出して1ページ破りとり何かを書いてオニドリルに渡した。
「オニドリル! これをポケモンセンターに持っていって!」
『クワァッ!』
渡した紙を受け取ったオニドリルは『了解!』というように威勢良く一鳴きして飛び立っていった。
オニドリルを見届けると穂乃果はさらにポケットから別の2つのモンスターボールを取り出し、2体のポケモンを繰り出した。
「出てきて! ヨノワール! ゲッコウガ!」
『ヨルーー…」
『コウガ!』
穂乃果が繰り出したのはヨノワールとゲッコウガだ。
穂乃果は今度はヨノワールとゲッコウガに指示を飛ばす。
「ゲッコウガ! 上に向けて軽めにハイドロポンプ!」
『コウガ!』
ゲッコウガが上に向けて軽めにハイドロポンプを打った。
ハイドロポンプの水が重力に従ってまとまって落ちてくる。
「ヨノワール! 炎のパンチで水を打ち消して!」
『ヨールッ!」
落ちてきたハイドロポンプの水をヨノワールがほのおのパンチで打ち消した。
炎のパンチで水が蒸発し、水蒸気がハガネールの上空に立ちこめた。
「これで、呼吸はしやすくなった… あとはオニドリルが戻ってきてくれるのを待てば…」
そう、穂乃果がゲッコウガに上に向けてハイドロポンプを軽めに打つように指示を出したのは水が重力に従って落ちてきたときにヨノワールは炎のパンチで蒸発させて水蒸気を発生させてハガネールの呼吸を楽にするためだったのだ。
穂乃果はそう言うと倒れているハガネールの身体を優しく撫でた。
「大丈夫… 絶対にあなたは私が助けてみせる! 死なせたりなんかしないよ!」
ハガネールに笑顔を向けなから優しくて、それでいて力強い声で言った。
これを見ていたみんなはさっきより驚いていた、こんな緊急事態にポケモンたちにあんなに指示を出せることにだ。
みんなが驚いたのはそれだけではなかった。
もっとみんなを驚かせたのは彼女の瞳が諦めの色になってなかったからだ。
こんな状況ではハガネールの命を救うことは絶望的なため、普通なら諦めるだろう。
しかし、彼女の瞳には諦めるどころか『絶対に救ってみせる!』という意思が灯っていた。
どうしたらいいのか分からなくても彼女は最後まで諦めない。
「「「「「「………」」」」」」
みんなはその様子を何も言えずに呆然と見ていると、
『クワァーーー!』
とりポケモンの鳴き声が空き地に響いた。
みんなが一斉に鳴き声がした方向を見る。
「オニドリル! よかった!」
それは、さっき紙を持たせて飛ばした穂乃果のオニドリルだった。
穂乃果のオニドリルが戻ってきたのだ。
くちばしには何か袋を咥えている。
穂乃果はその袋から何かを取り出すと今度は真姫の方向を見た。
「真姫ちゃん! これを早くハガネールに!」
「え⁉︎」
真姫が突然の声に驚き素っ頓狂な声をあげる。
穂乃果の手には力尽きたポケモンを完全に回復させる道具である【ふっかつそう】が握られていた。
真姫も穂乃果が何をして欲しいのか理解し、ハガネールの口元にふっかつそうを細かくして持っていきゆっくりと飲ました。
『ハガ⁉︎ ハガーーー‼︎』
するとどうだろう、あれだけ弱っていたハガネールが元気に起き上がった。
「よかった! 元気になったのね!」
真姫が安心したように言った。
ハガネールは真姫に感謝の気持ちを表すように真姫に笑顔で身体を寄せた。
「いいわよ…! それにお礼なら穂乃果先輩の方にいいなさい」
真姫が言うとハガネールは穂乃果に笑顔で寄りそった。
命を助けてもらったのでかなり穂乃果に好感をもっているらしく、気を許しているようだ。
元気になったハガネールを見て海未たちも喜びの声をあげている。
「ば… バカな……! こんなことが…!」
そんな中、小宮が呆然としながら声をあげた。
何故、ハガネールが死にかけたのか未だに分かっていないようだ。
小宮の声に気づいた真姫が小宮に怒鳴った。
「アンタ! ハガネールにどれだけ無茶をさせていたのよ! 下手をすれば死んでいたのよ!」
「うっ!」
視線を強くして睨みつけながら声を荒げる真姫にさすがの小宮もたじろいだ。
真姫はさらに続ける。
「【いのちのたま】は反動で寿命を削る危険な道具なのよ! 普通は特性がマジックガードなどの特性を持つ反動がこないポケモンに持たせるのが普通なのよ! いったいどれだけ【いのちのたま】を持たせた状態でハガネールにバトルさせたのよ!」
真姫の怒りの声に小宮はたじろきながら返答した。
「数百… いや、千を越える…」
小宮が言うにはハガネールをバトルさせる度に【いのちのたま】を持たせた状態でバトルさせていたそうだ。
それに、真姫はさらに目を怒らせた。
「それだけ無茶させてればこうなって当然よ! 何回も寿命が削られたら限界がくるわ! そんなことにも気づかなかったの⁉︎」
「ぐぐっ!」
真姫の言葉に小宮は俯いた。
寿命が削られていたことは分かっていた。
しかし、寿命が削られるのもほんの少しだけだと思っていて、実際にはここまで限界だとは思わなかったのだ。
しかし、懲りずに小宮も言い返す。
「それがなんだ! 俺は技の威力を上げるために【いのちのたま】を使っただけだ! ハガネールが勝手に死にかけたんだ! 俺は悪くない!」
その言葉に公安委員会を除く全員がさらに怒りのこもった目で小宮を睨みつけた。
その時、
『ネーーーーーーーーーーーール!!!!』
突然、ハガネールが立ち上がり小宮に向けて、大声をあげた。
小宮はいきなり大声をあげたハガネールに怒鳴る。
「なんだ‼︎ いきなりデカイ声で叫んでんじゃねぇよ‼︎ このクズ!」
その言葉にハガネールは怒りの表情になった。
さらに、
「うわっ! なんだ⁉︎」
突然、小宮のポケットからモンスターボールが飛び出して青い光とともにボールに戻したポケモンたちが飛び出したのだ。
『ビアール!!!!』
『フィアー!!!!』
『ルーシェーーン!』
『テーラー!!!!』
ワルビアル、エーフィ、パルシェン、プテラの4体はボールから出てくるなり小宮を射殺すように睨みつけた。
それに気づかないのか小宮はポケモンたちに怒鳴った。
「なんだ! お前たちまで! 勝手にボールからでてくんじゃねぇよ!」
しかし、それを無視して、エーフィがサイコキネシスで小宮を浮かび上がらせて動けなくした。
そして、ポケットからでた5つのモンスターボールをサイコキネシスで自分たちの方に引き寄せた。
『ビアール!!!!』
そして、エーフィがサイコキネシスで引き寄せたモンスターボールにワルビアルの破壊光線を放った。
激しい轟音が空き地に響き、煙が晴れるとモンスターボールは跡形もなくなくなっていた。
「そ、そんな……」
小宮はポケモンたちの思わぬ反逆に呆然としながら呟いた。
穂乃果たちもポカンとしながらそれを見たいことしかできなかった。
今回はここまでです。
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皆さん、メリークリスマスです