そうと決まれば早速特訓回だ。
恐らく2話目くらいにしてさっそく水増し行為を行うなど元読者としても非常に心苦しく思う。
だが、個性が強くならないとどうしようも無いからどうか我慢して欲しい。ダイジェストにするからホントマジで堪忍な。
(おっちゃん誰と話しとるの?)
(恐らく見ているだろう読者か視聴者向けの説明)
(なに言っとるのこのおっちゃん)
ヒーローは数多くいるが、俺ちゃん的なヒーローに理解の無い世界のようだ。世知辛い。
閑話休題、今必要な能力は、兎にも角にも持続性である。ロケット打ち上げの途中で効果が切れたら、その瞬間に空中分解必至だろう。最低でも30分。欲を言えば1時間は効果が持続するようにしたい。
そしてもう一つは効果範囲だ。単なるヒーローやるなら自分から離れると効果が切れる、みたいな内容でもそう不便は無いだろうが、宇宙開発するとなるとそうは言えない。最低でも500km、最終的には4万kmという距離が離れても効果が切れないようにしなければならない。
まぁどちらも劇中ではっきり効果が何分で範囲は何メートルまで、なんて言われてはいない。言及されてないなら幾らでも後付出来るのが創作の世界だ。
特に俺の意識が存在する時点で二次創作的な世界だろうし(まさかスピンオフじゃなかろう)、メアリー・スーっぽくなるのも不可能じゃないだろう。鬱展開好きの作者じゃなければの話だが。
一応第一目標として雄英高校に入る事は決めている。
色々面倒はあるだろうが、やはりJAXAやNASAに売り込み掛けるにしてもネームバリューはあった方がいいだろうし、あと単純に個性鍛える場所としても、あそこ以上の設備はそうそう無いだろうからだ。色々面倒はあるだろうけど。
という訳でカラテ……じゃない個性あるのみだ。とりあえず登校前に庭の石を浮かせ、帰宅までしっかり浮いているかを確かめてみる。
そわそわしながら授業を受け、帰ってみればそこにはしっかりと浮いている石の姿が!
(やったやんおっちゃん! この調子でパワーアップやに!)
(おおやったるでぇぇえ! おっちゃんやったるでぇぇえ!)
翌日、調子に乗った俺が工事現場の鉄筋を浮かせた所、見事にゲロインになった。H形鋼10本を浮かせるのは流石に無謀だったようである。
だがとにかく半日くらいは物を浮かせれて、さらに設定通り3tまではペナルティ無しで持ち上げられる事も分かったのだ。しかもゲロの原因は三半規管の混乱が原因の宇宙酔いっぽいもの。単なる酔いなら克服する事など幾らでも可能だ。原作でもやってたし。
という訳でミッション2である。ゲロ吐き気絶する寸前まで物を浮かせて維持するの巻。
これは正直キツかった。まずまっすぐ歩けないから色んな種類の事故に遭いそうになるし、他人の話している言葉が耳に入らない。ちょっと口を開けば即リバース出来そうなので、自然と口数が少なくなる。
吐き気だけでこれなのに、いずれ来る生理とやらはどれだけ地獄になるんだろうか。男の俺としては戦慄を禁じ得ない。
周囲に心配されながらも、俺は特訓を継続する。目論見は的中したようで、浮かせる量も少しずつだが増えていった。
代わりにちょっと毛色の違う病弱キャラ扱いになった気もするが、そこは仕方ないだろう。
もとより女子グループに入るのはおっちゃん的に難易度が高い。
ぷり○あがんばえ~! と前世でやっていたなら混ざれたんだろうが、残念ながらオタク度はにわか程度でしか無かった。
勝手に付けられたキャラに乗っかって儚げに微笑む事で、よく分からない女子社会の荒波を避けれるなら、いくらでもそのキャラを演じる気になるものだ。
(なんか私のキャラとちゃう……)
(そりゃお前と違うからそこは我慢しろ)
深層意識が五月蝿いが無視。今日も今日とてゲボ吐きながら営業スマイル振り巻きまくる。
おっちゃんは一生懸命やったるでぇぇえええ!
*
と、そんなこんな色々やってるうちに月日が経った。もうなんだかんだこっちに来てから10年だ。
勿論それだけ時間があれば、個性の強化の他にも色々出来る。雄英に入るための特訓として明野の自衛隊のお兄ちゃん達にサバゲで揉んでもらったり、グライダー部のお兄ちゃん達に混じって飛行訓練をしたりした。
こっちは趣味みたいなものだったが、おかげで持ち技をだいぶ増やす事が出来た。
そして個性の方だが、中学3年3学期までの間に、持ち上げれる重量が30tくらいにまで強化された。
H-ⅡB打ち上げ1.5回分、史上最強のロケット サターンVの25%分の貨物を支える事が出来るのだ。ちょっとどころじゃない強化だろう。
距離の方も修学旅行や卒業旅行で京都や東京まで足を伸ばし、数日間500km以上対象から離れても効果が切れない事を確認している。
これで宇宙開発第一の目標、低軌道への打ち上げ支援を開始するには何の問題もない事が分かった訳だ。
後は雄英に入り、適当に知名度を上げて就活を有利にするだけだ。宇宙機関に入れば万札風呂も夢じゃない!
そう思いながら、俺は雄英高校の受験会場へと入っていった。
特訓回超すっ飛ばすスタイル