コンティニューマギライフ   作:myo-n

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遅くなりました。すみません。
最近、この作品のお気に入り件数の伸びが高くて驚いている作者です。
お気に入り登録してくださりありがとうございます。


アリババが見つからない?いや見つけたよ!!

「始めからこうすれば良かったんだよな…」

 

アモンの迷宮の前に着いたレイは額の汗を拭った。

昼下がりとはいえ今の時間帯で走れば誰だって汗をかくだろう。

それにしても何故彼女はアモンの迷宮の前に行ったのか?

それは至極単純な話で、見つからないならアモンの迷宮の前で待てばいいという方法を思いついたからである。

入り口は一つしかないのでこうすればすれ違う事もない。それにアリババが来るのは夜なので、夜までの時間に金属器の練習もできる。まさに一石二鳥の作戦なのだ。

 

「中々良い景色だな」

 

アモンの迷宮のある場所はチーシャンの町でもっとも高い所に位置するので町全体を一望できる。その光景は中々に良い物だ。

しかしここでレイは今ここにきたことを後悔する事になる。

 

「…腹減った」

 

レイのお腹が可愛らしい音を出す。

レイは今日何も食べていなかった事を思い出した。

昨晩からマゴイ切れで倒れていたので朝食も昼食も食べられなかったのである。

 

「でもこの道を往復はめんどくさいな…」

 

ため息をつくレイ。それもそのはず、アモンの迷宮に至るまでには長い階段を登らなければならないのだ。それを往復するには中々の体力が必要となる。

 

「うーん…仕方ない一度降りるか。腹が減ってはなんとやらっていうし」

 

愚痴を零しつつも、レイは下の屋台がある通りまで降りる。

屋台の並んでいるこの通りはまるでお祭りみたいな状況になっている。

レイは少し通りを歩いて屋台を見て回る。

 

「安いよ安いよ!」

「今ならこの商品が半額です!」

「冒険に必要な装備を整えるなら是非当店をご利用くださーい!」

 

通りには大勢の人が歩いている。観光、仕入れ、販売、一人一人の目的は違うがとても賑やかな様子だ。

レイは当たりそうになる大人を避けつつ歩いて行く。

 

「毎日がお祭りみたいな状況だな」

「あらあら可愛らしいお嬢ちゃんね。焼き鳥串一本買って行かない?」

 

屋台で焼き鳥串を売っている女性がレイに声をかける。

レイは財布から少量の銅貨を渡し焼き鳥串を買う。

何故なら女性が作っている焼き鳥串のいい匂いが屋台から出て、通る者の鼻孔をくすぐったからである。

この香ばしく美味しそうな匂いには誰も抗えないだろう。

 

「うんっ、ひとつちょうだい!」

 

レイはここぞとばかりに120%サービススマイルを女性に見せつけながらお金を手渡しで支払う。その笑顔は前世にいた某天才子役にも負けず劣らずの可愛さだ。

女性はレイの純粋(内心は邪推)な笑顔に胸を貫かれ顔をにやけさせる。

 

「可愛らしいわ……。お姉さんサービスしちゃうぞ!」

 

そう言うと女性は焼き鳥串を一本多くしてレイに渡す。

 

「いいのっ!?おねえちゃん?」

「可愛いは正義なのよ!…特別だから内緒にしてね?」

「はーい!」

 

焼き鳥串を持った手を上げて子供口調で返事をする。

その姿に女性はまたもや心を打たれ内心で悶絶した。

 

「ばいばいっ!おねえちゃん!」

「また買ってねー!」

 

手を振りながら女性に別れを告げ背中を向けるとレイは素に戻る。

 

「ちょろいちょろい」

 

そう呟いてレイは焼き鳥串を食べていく。

その顔は子供らしくなく、片方の口角を釣り上げてにたりと笑っている。恐らく先ほどの女性がレイの素を見た瞬間、その場で倒れるだろう。

それほどまでにレイの演技力は高かったという事である。

 

「よし…もうちょっと見て回るか。少しくらいこの町のこと知っておかないとな」

 

焼き鳥串二本を食べきり、お腹が満たされたレイ。

大人にらこれだけで腹が満たされることはないが、今のレイは子供でありこれくらいの量でも食事は事足りるのだ。

しかしもう食べることが出来ない状態ではないので、レイは途中で買ったリンゴを食べてながら屋台が並んでいる通りを抜けた所を歩いていた。

周りには荷物を運んだりしている人達がいる。恐らくレイ以外の全員が何かしらの仕事をしているのだろう。

 

そして少し歩いていると、ふとレイの耳にある会話が入ってきた。

 

「精がでるな、アリババ。何かあったのか?」

「今日はブーデル様に卸すんですよ」

「あー…あのごうつくな」

 

(んん!?これはまさか!!?)

 

微かではあるが聞こえた声の方向にレイは走り出した。

そして声のした所にレイは着く…がそこにアリババの姿は無かった。

レイは仕事をしていたおじさんに尋ねる。

 

「ねぇおじちゃん!」

「ん…?何だい、お嬢ちゃん?」

「さっきアリババってひととしゃべってた?」

「あぁそうだよ」

「どこにいったの!?」

「ブーデルの所だよ」

 

そこが分かれば苦労しないんだよぉぉ!とレイは内心叫びながら子供モードで話を続ける。

 

「おじちゃん!アリババお兄ちゃんのばしょおしえて!」

 

女将から貰った地図を差し出すレイ。

おじさんさその地図のある場所に赤い目印をつける。

 

「ここに行けば会えるだろう」

「ありがとう!おじちゃん!!」

「礼には及ばないよ」

 

じゃあねっ!と子供らしく別れを告げるとレイは猛ダッシュで赤い目印の所まで移動する。

一方おじさんはというと…、

 

「いやぁさっきの子可愛かったなぁ…」

「そうだな、見た所アリババの妹だなあれは」

「あいつ妹いたのかよ」

「さぁ、もしかしたらって話だからあんまり気にするなよ」

「それもそうだな」

 

ボーイズトーク(中年)をしていた。

 

---

 

「はぁ…はぁ……」

 

目的地に着いたレイは息切れを起こしつつアリババを探す。

すると奥の荷車の方から男の怒鳴り声が聞こえた。

 

「アリババ!どういうことだ!」

 

荷車に隠れながら奥の方に行くレイ。

そしてそこにいたのは、レイが会いたかった金髪の青年アリババと頭にターバンを巻いた少年アラジンがブーデルに怒られていた。

いや…怒られているというよりはアリババがブーデルに一方的に蹴られているという言い方の方が正しいだろう。

 

「あれがブーデル…あんなにデブなのにどうして動けるんだろう……」

 

ブーデルを見つめながらレイはそう呟いた。

そして視線をアリババの方に戻すとアリババの表情が硬くなっている。原因は至極単純、

 

「どうして男の人なのにおっぱいが付いているんだい!?僕はおっぱいが大好きなのさ!」

「なっ……!?」

「………!」

 

笑いを堪えながらレイはブーデルを見る。

ブーデルの額には青筋が数え切れないほど浮かび上がっていた。

もう少し頑張れば髪が金色に染まるのではないかというぐらいには。

 

「ふざけるな!貴様が弁償しろ!弁償するまでタダ働きしろ!逃がさないからな!!」

 

ブーデルはキレながらもアリババの頭を踏みにじる。

アリババは顔を俯かせて何も言わなかった。いや、言えなかったのだ。相手は自分よりも高い地位にいる商人、下手すれば自分が奴隷にされかねないとアリババは思ったからである。

 

「………」

 

それを見ていたレイは苦虫を噛み潰したような顔をしながらも何もしない。ブーデルの借金があったからアリババとアラジンはアモンに挑む事になるのだから。

 

「さぁ、今からでも働け!」

「……はい!分かりました!」

 

アリババは笑顔で答える。しかし彼の手を見ると血が出そうなほどに固く握り締められていた。

 

レイは何もする事が出来ずにただただ見ているしかなかった。

 

---

 

時は流れて夜になり、アリババは自分の家でブーデルの愚痴を呟いていた。

 

「くっそー…ブーデルの野郎。あのガキもバックレやがるし…最悪だぜ」

 

横になった状態で彼は今日一日の出来事を思い出していく。

用意した積荷を勝手に食い散らかしたアラジンの事、そのせいで自分に弁償しなければいけない事、ブーデルにこき使われてへとへとな事。

 

ふと、グギュルルルーと情けない音がアリババの腹から鳴った。

アリババはゆっくりと起き上がり果物が入っているかごへと手を伸ばす。

そのかごには大量のりんごが入っている…はずだった。

 

「はむっ…あむ…」

 

アリババがかごから取り出したのはりんご…を食べているアラジンだった。

アリババは驚いた顔をしてアラジンを掴んでいる手の握力を強めに投げた。

 

「……!!全部食ってやがる…!!?」

 

投げられたアラジンは不思議そうな表情でアリババに聞く。

 

「どうして…?さっきもくれたじゃないか」

「やってねぇ!」

 

大きな声を出そうとしたアリババだがその時再度彼の腹が鳴った。

空腹のせいかアラジンに対する怒りよりも空腹感の方が勝ったので溜め息をついてアリババは窓際に干してある干し肉をちぎって食べながら呟く。

 

「はぁ…こりゃマジでダンジョン落とさないと干からびちまう……」

「…?ダンジョンって何だい?」

「…んな事も知らねぇのかよ」

 

アリババは書物を手に取りアラジンに広げて見せる。

書物にはダンジョンについての説明が記されていた。

 

「ダンジョンってのは14年前世界のあちこちに現れた謎の遺跡群の事さ。そこを攻略した人間には莫大な富と権力が与えられるんだ。金銀財宝や不思議な魔法のアイテムとかがな」

「魔法……」

「まぁ…まだ本物の魔法使いもどっかにいるって噂はあるけどよ。ダンジョンにあるのはマジモンさ」

 

眠そうに喋るアリババの話を熱心に聞くアラジン。

今日の疲れが溜まっているからかはたまた今日の仕事量が異常なほどに多かったのかは定かではないがアリババは強い睡魔に襲われつつも話を続ける。

 

「空飛ぶ布、酒の湧く壷、究極なのは魔人が宿る金属の器ってやつ」

「お兄さん、そのダンジョンっていうのはどこにあるんだい?」

「………」

 

アリババは強烈な睡魔のせいでアラジンの質問に答えることが出来ずに倒れて寝てしまった。

アラジンはそれを見て自分も横になり笛を見つめながら小さく呟く。

 

「やっと君の仲間が見つかるかもしれないよ……おやすみ、ウーゴ君」

 

そう言って目を瞑り、アラジンも眠りに着いた。

 

―――

 

「んんっ…ふあぁ………」

 

アリババは朝早く目覚めた。

まだ日が昇ってから少ししか経っていないがアリババの生活スタンスは朝早くから始まるのだ。

そして寝ぼけ眼のアリババに手を差し伸べて起こそうとする人間が彼の目の前で立っていた。

 

「お兄ちゃん大丈夫?」

「あぁ…大丈……」

 

アリババは最初、声をかけているのはアラジンだと思った。

しかし喋り方と声の高さが全然違う。

まさか別の誰かが入っているのではと思うアリババだが自分に声をかけられるのはアラジンしかいない。

では誰が誰が自分に声をかけたのか?アリババは重たい目をこすって眠気を飛ばして前を見る。

するとそこには自分よりも幼い、黒髪の美少女が手を差し伸べていたのだ。

 

「……!!!」

 

二つの意味で目が点になるアリババ。そんなアリババにお構いなしのように少女はりんごを彼の口に突っ込みにこりと笑う。

 

「もがっ!!」

「おはようっ!ありばばお兄ちゃん!!」

「…あ…あぁ…おはよう」

 

どこから入って来たのだろうかと思うアリババなのだが美少女の天使のように無邪気な笑顔を見てほっこりしてしまったのだった。

 

(あー…やっぱり何回しても気持ち悪い……)

 

もっとも無邪気な美少女の内心は腹黒い。

何故ならこの美少女はレイなのだから。

 





先日、主人公がチートではないのではないか?とのご指摘をお受けしましたが、主人公はこれからチート化していきますので生暖かい目で見守りください。

いつも読んでくださりありがとうございます。
もしよろしければ感想等送ってください。
お待ちしております。
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