これからもボチボチ進めていきます。
「………」
「………」
互いに見つめ合う2人、いやこの場合はアリババがガン見しているだけという表現が相応しいだろう。
知らない子供がいきなり現れたのだ、誰だって驚く。
アリババは一瞬外に放り出そうかと考えるがレイの嬉々とした笑み(演技)を見て落ち着いて話を切り出す。
「……えっと、君の名前は?」
「私、レイリス!レイって呼んでね!」
「お、おぅ。それで、レイちゃんは何で俺の家にいたのかな?」
「んー…分かんない!」
ガッツリ嘘である。
レイは昨晩、アリババとアラジンが部屋に入る前にアザゼルの能力を使い数秒だけボーッとさせてその隙に部屋に入って適当なところに隠れたのだ。
怠惰と生命のジンであるアザゼルの能力は命に関することだけではなく、相手の無気力にさせる事もできるからこそできた芸当だろう。
アリババはそんなかなり無理がある嘘に頭を抱えてレイに聞く。
「分かんないって……お母さんはどこかな?」
「いないよ!」
「えーっと…じゃあお父さんは?」
「お父さんもいない!」
「………」
アリババはレイの言葉を踏まえて考える。
状況から考えて突然アリババの目の前に現れたレイは非常に怪しいだろう。
では一体どこから来たのか?
扉を破ったとしたら音が出るし、痕跡も残る。しかしアリババは扉を見て、強引に開けた痕跡がないことを確認していた。
では窓から入って来たのだろうか。それもあり得ないとアリババは首を横に振った。窓は子供がどう足掻いても届かない位置にあり何かしら台みたいな物を使わないと入れない。しかし外には何もない。
「うーん…一体どこから……」
自分では見つけられない答えを探すアリババ。
しかしふとある事に彼は気づいたため慌てて支度し始める。
「って考えてる場合じゃねぇ!早く行かないと遅れちまう!!」
急いで支度し終わるとアリババはレイを抱えてアラジンを外に投げ捨てる。
アラジンは壁に頭を打ち転げ回ると涙目で講義した。
「酷いじゃないか!」
「うるせぇよ!こっちはお前より仕事の方が大事なんだよ!!お前も早く出ろっ」
アリババはレイを抱えると部屋から出て鍵をかけて路地に出る。
路地には行商人から奴隷まで、様々な人が歩いていた。
「ちょっと待っておくれよお兄さん!」
「待ってられるかよ!付いてくるんなら勝手に付いて来い!」
「じゃあ何でその子を抱えてるんだい!?」
「お前よりも子供だからだよ!!」
「えええぇぇ!?」
「(何だその訳のわからない理由は…)」
---
「ふぃー終わったー」
額の汗を拭いながら一息吐くアリババ。
あれから彼は積み荷の用意から運搬までの全ての事を午前いっぱいで終わらせたのだ。レイも、現実世界のブラック企業に勝らずとも劣らないレベルの重労働をアリババがこなしていたことにびっくりである。
ちなみにレイはその間、ずっと脇に抱えられていた。
その状態でよく仕事が出来たなと感心しつつ呆れるレイ。
彼女からすれば移動が非常に楽なのでありがたい事だが、流石にこれ以上抱え続けられるのもどうかと自身の良心に叩かれたのでアリババの仕事が終わると同時に降ろしてもらった。
「お兄ちゃんすごかった!」
「へへっ、そうか?……って違ーう!!君は誰!?それにお前は誰だよっ!?」
アリババはレイとアラジンを交互に指差しながら尋ねる。
そんな彼の照れる、驚く、ツッコミを入れるという芸人並みのノリツッコミに笑いそうになるレイだが顔に出ないように抑える。
「僕はアラジン、旅人さ」
「私はレイリス!旅人だよ!」
「………」
頭を抱えるアリババ。突如現れた子供2人、しかも両方とも得体が知れない。一見ただの子供に見えるがアリババは2人から奇妙なオーラを感じている。
そして数分程考えた末彼が導いた答えは…
「取り敢えず飯食うか」
不意に鳴った腹の音に気づき、昼食を取ることだった。
この唐突な行動にレイはアリババは馬鹿なのかと思いつつも歩いていくアリババに着いて行った。
凄い短かかったですよね…すみません。