俺たちの冒険の書No.002〜ローレシアの王子〜   作:アドライデ

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Lv.17:竜王の城に潜った。

 

「今度こそ、竜王の城だな!」

 ラダトームの場内のとある一角で一行は次の目的地を決めた。

「今は船でいけるみたいだしねー」

 とある一角とは老人が鎮座している聖なる場所である。老人の聖なる光はとても凄く、魔力が想定外に枯渇したときによく利用する。自身には魔力のかけらもないので、試しにやって貰っても何も感じず、感動する二人との差は埋めることができないのだけれども…。

「でも、一泊しなくていいの?」

 ムーンが心配そうに覗くも、まだ陽が高く、ここで何もしないでのんびりするのが少し勿体無いと思った。

 なぜ心配されたかと言うと、今朝、ラダトーム城から出て直ぐそばにいた【しにがみ】…三匹ぐらいだったか…に痛恨の一撃を食らってしまって、後戻りしたというわけだ。

「大丈夫だぞ!」

 誰かが棺桶に入ったら一泊が決まりごとだったけど、元々体力はある方だし、ちゃんと回復もして貰ったので、問題ない。

「おお、古き言い伝えの子孫達に光あれ!」

「ありがとうございました」

 二人は老人に礼を言ってラダトーム城を出発する。

 

「流石、竜王城これだけの年月が経っても複雑で手入れが行き届いているねー」

 魔物がいるので観光名所というわけにはいかないが、かつて暗かった洞窟には等間隔に明かりが付けられている。

「ここの魔物は強過ぎるわ!」

 ムーンのバギが炸裂する。

一体一体ではそこまで強くないのだが集団で来られると厄介である。

【ミイラおとこ】(その名の通り全身に包帯を巻いた人型のモンスター)や【サーベルウルフ】(狼のような虎のような獣型の凶暴なモンスター)は攻撃力が高いので、まごまごしているとあっという間にやられる。

毎回死闘である。戦闘終了後に回復して貰い進む。

「あ、サマル、ムーン! 宝箱があるぞ」

 ややこしい迷路を降りたり登ったりしたとき、突き当たりにそれを見つけて駆け寄る。

「ローレ!」

 別のものに完全に気を取られていて、サーベルウルフが背後から襲い来るのを感知できなかった。咄嗟に盾を構えたが間に合わない。

「バギ!」

 ムーンの呪文を唱える声が最後に聞こえた。

 

「今日は休みましょう」

 いつものごとく二人に運ばれて、教会で目覚める。前方不注意の面目なさで謝罪したがムーンは小さく首を振り、そう言った。

「大丈夫なんだぞ!」

 ムーンのベホイミですっかり戻ったから、日暮れにはまだ早いし、問題ないと思ったけれど、ムーンにとってはそうじゃなかったようだ。

「体力は回復しても、疲労が回復するわけじゃないわ」

「そうそう、これ使って明日頑張ろー!」

 サマルが一振りの剣を取り出して、はいと渡してくれた。

「これ…」

「そう、噂のロトの剣だよー。ローレが見つけた宝箱にあったんだ」

 鋭利な両刃の剣。ロトの紋様と成っている鳥を基調とした柄が鮮やかである。なぜか受け取ったとき、凄く手に馴染んだ感覚が蘇る。

 

 絶大なる主人へ、この刃朽ちるその時までお側にいる。

かの意思を継ぎし勇者よ。我が剣を手に再び取るのならば力を貸そう…ただし、役目を終えしとき、我再びここに眠る。

 

「おう、ちょっとの間よろしくだぞ」

 剣の平らな部分をポンと叩き、何事もなかったように鞘に収めた。

 

「でもさー。何であんなところにあったのかなー?」

 翌朝一行は再び竜王の城へと潜る。一度来た場所は最短距離を探して進む。

「そうね。特に書物には何も書かれてなかったわ」

 書かれていたら今頃は貴重品として、どこかに王家で丁重に扱われていただろうなと思う。

「……よくわからないけど、ここが好きなんだと思うぞ」

「……え?」

 サマルとムーンは言っている意味がわからないと言うように聞き返された。

「だからこの剣が…」

「そう言えば、竜殺しの勇者もここでロトの剣を見つけたと言っていたわね」

「そういうもんなのかなー」

 通じたようなのでこれ以上は言葉にしなかったが、そのあと二人はずっと何かを考えていた。

 

 最下層にはモンスターが出なかった。歩くとラダトーム城が見える断崖絶壁くり抜いたような日の光る場所に出て来た。

「ここは…」

「良く来たな! わしが王の中の王、竜王の曾孫じゃ」

 伝説の書物に記入された魔王と酷似した人物が目の前にいた。

思わず剣を手にかけたが向こうは、のほほんとしており、特に危害を加える気がないようだ。少し毒気を抜かれつつ、招かれて城内に腰を下ろす。

物凄く生活感がある玉座というものは、何とも言えない気持ちにさせられた。人が尋ねて来るのはいつ振りかと凄く歓迎ムードである。

いや、モンスターが蔓延ってたら、誰も来れないよな。

 

「最近ハーゴンとかいう者が偉そうな顔をしていると聞く。実に不愉快じゃ。もし私に代わってハーゴンを倒してくれるなら良いことを教えるがどうじゃ? 」

 なぜだろう見た目は、竜王とそう変わらなさそうなのに、凄く幼さを感じる。

「討伐に関しましては我々の最終目標ですので、絶対のお約束はできませんが、最大の努力を致します」

 ムーンが何かを心に秘めて努めて冷静に返事をする。

「では、五つの紋章を集めよ。さすれば精霊の守りが得られると聞く。嘗てメルキドと呼ばれた町の南の海に小さな島があるはず。まずそこに行け!」

 承諾を見て、嬉しそうに情報を教えてくれた。紋章か、精霊とは人々の生活を見守る信仰の一つ。目下教会はその中心である。

「曾孫は助けてくれないのか?」

「私が手を下すまでもないだろう!」

 単純に湧いた疑問に少し、ギクッとしていたような気がしたが、その答えにそりゃそうかと納得する。

一緒に戦ってくれたら心強かったのにな。

「曾孫ってことは竜族って、人間とそう寿命が変わらないんだねー」

「いや長いぞ。ただ死ぬと代は変わるのじゃ」

 サマルの疑問にそうではないと否定する。えっと、それはどういう意味だろう。

「あなたの親は?」

 一瞬ぽかんとして、ムーンが何とか質問する。

「良く知らんが、悪さを企てようとして事前に、討伐されたって聞いたぞ!」

 そんな歴史知らないと心の中で思う。サマルもムーンも目を白黒させていたから、 別に勉強不足で知らなかったわけじゃないようだ。

「その親は?」

「全く知らん。だが、一番竜王の成り代わりになると言っていたらしいぞ。だから一番派手にやっとったと思ったが違うのか?」

「その親は?」

「竜王の元祖じゃ、早々に倒されたんじゃ無いのか?」

 有名じゃぞと、あっけらかんと答えるので何と言っていいのやらである。

「因みに私はそんなチンケなこと考えとらんが、ハーゴンのやつにその座を譲るのも面白くない。じゃから、きっちりと倒すのじゃぞ!」

「えっと、産まれたのはいつ?」

「つい最近じゃ! だから今はこうやって力を…じゃなくて、英気を養っているんじゃ」

 竜王の曾孫が喋れば喋るほど良くわからなくなって頭が混乱した。

 

 ロレンLv.17、敵ではないことだけを心に刻む。

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