ポケモン世界に転生しました……え、それだけ? 作:まんまフラグ
「おい、いつまで付いて来るんだ?コラッタ」
オーキド博士の自動車に乗って移動する、博士の研究所までの道のりの最中、バトルしたコラッタは俺に付いてきていた。
オーキド博士はそれを見て朗らかに笑う。
「どうやら気に入られたようじゃの!ゲットしてやったらどうじゃ?」
「ボール持ってないんですよ。だから捕まえれませんし、俺に捕まりたい物好きなんてこのキャタピーくらいですよ」
適当に思った事を答える。それにオーキド博士は歩きながら考えるような仕草をして、ポンと手を打った。
「ボールの問題はあとで解決してやろう。まぁ兎に角、マサラタウンに戻るとしよう」
先導する博士に続き、マサラタウンの農道を歩きながら、空を見上げる。
生憎の晴れ模様。俺にとっては最悪の天気だ。ベストは雨、理由は働かなくてもいいから。
「ほれ、着いたぞ」
そんなこんなで研究所までたどり着く。
研究所は想像よりも遥かに大きかった。いや、この人はポケモン世界でも有数の研究者だ。そりゃこれくらいはあるか。
オーキド博士に連れられるがままに中へと入る。
中も広い、国の研究機関のようだ。
その奥に存在したのはオーキド博士の研究室。そこにはパジャマ姿の男の子と、髪をいじっていた女の子がいた。
その姿に俺はハッとする。
「リーフ、サトシ…?」
「……こんにちは、キド君」
「え! キド!? なんでいるんだ? もう出たんじゃ……」
動揺する俺を見たオーキド博士は咳払いをして皆の注目を集めた。
「君たちはもう十歳。旅立っても良い歳じゃ。だからこそ、君たちにポケモンを託したいと考えたからじゃ」
……え、俺も?
○○○
どうやら本当は三人だけだったらしいのだが、リーフ、そして俺は急遽旅に出ることになったらしい。
サトシはもともと旅に出る予定だったらしいが、寝坊したらしい。
「えっと、オーキド博士。さいしょのポケモンはもういないのですよね?」
「そうじゃな。だからこそ、君たちにはちょいと訳ありのポケモンを託すことになる」
訳ありってなんだ。と内心思うが、グッと我慢する。
俺とリーフの前に二つのモンスターボールが差し出される。
「選んでくれ」
「……先にいいよ」
「わかった」
リーフに先を譲ってもらい、俺は差し出された片方のボールに手を伸ばした。
そしてリーフもまた、もう一方のモンスターボールに手を伸ばす。
俺はオーキド博士から受け取ったボールからポケモンを出す。と、現れたのはなんと、こちらに見て怯えるサンド。
リーフに渡ったモンスターボールからはロコンが出てきて、こちらもまた怯えている。
怖がっている姿がとても痛々しい。
「オーキド博士……この子は?」
「トレーナーに捨てられたポケモンじゃよ……」
……いきなり重くね?
そう現実逃避してしまうほど、頭を悩ませるには十分な一撃だった。
「許せない! ポケモンを捨てるなんて……!」
「……」
だがサトシはそれに真っ向から憤りを露わにして、リーフも静かに怒りを湛えていた。
「……オーキド博士、なぜそんなポケモンを俺とリーフに?」
「わしでは、この子たちの傷を癒してやることは出来ん……だが未来の希望ある君たちならばこの子たちに寄り添ってくれるやもしれんと思ってじゃよ」
期待されているのがよくわかる。だが俺はこの世界の人間ではないのだ……いや、これは俺の問題か。サンドには関係ない。だからこそサンドに手を差し伸べるべきだ。
「サンド、お前がどんなトレーナーと出会ったのかは知らない。けど、一緒に来てはくれないか? お前の恐怖をなんとか取り除けるように努力するから」
そう言って手を差し伸べる。恐る目は変わらない。当たり前だ。この程度で救えるなんて思っちゃいない。
けど諦めるわけにはいかない。俺はこの子の役に立つべきなのだから。
「オーキド博士、一旦家に帰って、それから出ようと思います」
「そうか、ならこのモンスターボールも持って行きなさい」
オーキド博士から空のモンスターボールを受け取り、俺はサンドをボールに戻す。ポケットに入れて、俺は家へと向かう……のだが、生憎な話、家がわからない。どうすべきかと考えて、リーフがとなりにやって来たのに気がついた。
「……隣だし、一緒に帰ろ?」
「お、おう」
情けない話だが、どうやら助かったようだった。
外で待っていたコラッタと合流する。と、コラッタは俺の持っていたからのボールに気がつき、ぴょんぴょんと跳ね始めた。
「……お前も、来るか?」
そうして俺は三匹目をゲットした。
背後で電撃と叫び声がしたような気がしたが気のせいだろう。
キドのポケモン
・キャタピー『Lv.4』
《いとをはく》《たいあたり》
・コラッタ『Lv.3』
《しっぽをふる》《たいあたり》
・サンド『Lv.9』
《ひっかく》《まるくなる》《すなかけ》《どくばり》