俺はあるとき森の中で目覚めた。理由はいまだに不明だ。なぜそんなところで寝ていたのか。いつから寝ていたのか。そこに至るまでに何をしていたのか。記憶がおぼろげでありわからない。だけど、俺がどんな世界にいるのかはなんとなく理解することになった。
理由としてはまず一つ目として手元にある野球ボールほどの大きさのある赤と白の玉。それは俺にとっては馴染みのある形だ。『モンスターボール』だとすぐに分かった。初めはキーホルダーかなんかかと思っていたのだが大きすぎる。それに真ん中のボタンを触れてみたらポケットに入るサイズに変わった。もう信じるしかないだろう。
二つ目としてもう一度大きくしたときにモンスターボールが振動し勝手に開いたのだ。中から出てきたのは俺がポケモンの中で一番気に入っていたブラッキー。呆然とする前に反射的に抱き着いてしまった。もうこれでもかというぐらいにモフリまくりましたとも。気づいたときには若干ブラッキーがぐったりしていて現状の不可思議な状態よりも焦ってしまった。
まぁ、話を戻すと俺は目覚めてからそこまで時間のかからないうちにここがポケモンのいる世界なのだと理解したということだ。
ブラッキーが復活してその前足でペシぺシと癒されることで落ち着いた俺は身の回りの把握をすることにした。服装は普段着の格好であり特に変わったところはない。持ち物はブラッキーの入ったモンスターボール以外は何も持っていない。他に何かないのかと探したがポケットの中にも特になく。腰に空っぽの小物を入れるポーチがあるだけだ。
またしばらく混乱する羽目になったがブラッキーをモフルことで正気に戻る。いつまでもここにいても仕方ないと思いとりあえず森を彷徨うこととなった。
それからしばらくサバイバル紛いな生活を送ることになる。紛いというのはそこまで苦労しなかったからだ。
食べ物はその辺にある木の実や川辺に着いたときは魚を取ったりと食事には困らなかった。モモンのみなんかは甘くておいしかったしオレンのみやオボンのみなんかもいくつかもストックができるぐらい集めることができた。魚はブラッキーのサイコキネシスで楽々取ることができるし同じサイコキネシスで小さな発火もでき困らなかった。
身体の汚れなんかもブラッキーのいやしのすずで綺麗にしてくれる。
そのほかにもブラッキーの技で特に苦労することなく生きていくことができた。
この世界とゲームのポケモンの世界との違いもこのとき徐々にわかってきた。まず、ゲームであったようなステータスの表記がない。当たり前だがゲームではないのだからないということだろう。そのため、何ができるのか、どのぐらい強いのかといったことは手探りで探るしかない。
技に関しても違いがある。ゲームでは四つまでしか覚えることができなかったがここではその制限がない。覚えたことのある技は使うことができるようだ。中にはゲームとは違った使い方をすることもできた。先に話したようなサイコキネシスしかり、いやしのすずしかり。
戦闘に関してもゲームのようにターン制ではない。アニメのようなバトルをすることができる。例えば、『かわしながらシャドーボール』のようなことができる。初めはこの戦闘に慣れなかったが回数を重ねるごとに徐々に慣れていった。俺が戦い方を理解するだけでなくブラッキーも戦いに慣れていく様子だった。
あるとき不思議に思い質問することでわかったこともある。疑問に思ったのは俺だけでなくブラッキーも戦いに慣れていない様子だったことだ。普通であればまだ経験が浅いのだろうと思うところなのだがブラッキーは他の野生のポケモンと比べると段違いに強い。だけど戦闘は不慣れな様子。俺はある一つの仮説を立てた。もしかしてブラッキーもこの世界の者ではないのではないのかと。
ゲーム時代、俺は廃人というほどにポケモンをプレーしていたわけではない。本編のストーリーをクリアーした後は好みのポケモンを何匹かぞだてる程度だ。6V厳選はしたが性格厳選まではしていない。技に関してもこのポケモンならこれ!みたいな感じで気分で決めている面が大きい。バトルタワーは遊んだがレート対戦はあんまりしていない。そんな緩い感じでポケモンを楽しんでいたプレイヤーだ。
そんなプレーの中でもブラッキーは育てていた。性格までは厳選しなかったが6Vにしたしレベルも100まで上げていた。努力値は防御と特防に全振り余ったのはHPに振っている。そんなブラッキーには安直だが名前も付けていたのだ。
「ブラッキー 君はクロなのか?」
ブラッキー、改めクロはやっと気づいてくれたと言わんばかりに前足でペシぺシ叩きながらも笑顔で頷いてくれた。
このことからクロは最低でもレベル100の実力があるポケモンであり特性はシンクロということが分かった。ここからさらに成長するのかどうかは分からないがクロの大まかな実力を把握することができた。何よりうれしいのはゲームで愛用していたポケモンが目の前に実在することだ。そのときはもう嬉しくて嬉しくてクロがまたぐったりするまで抱き着いてしまいそのあとペシぺシと癒されました。
サバイバル生活以降はダイジェストでお送りする。
やっとのことで人のいる街に到着。
ポケモンセンター発見。無料サービスあり。回復してもらう。
ここがどこなのかの確認。ゲーム時代には聞いたこともない街。
一文無し。どうにか働き口を探すことに。因みに年は18です。
ポケモン研究所なるところからの募集チラシを見つける。訪ねることに。
ポケモンの調査依頼を受けることに。即答。給料として月に10万ほど支給してくれるみたいだ。
万能ツールポケモン図鑑を受け取る。今月の前金として1万ゲット。身支度を整える。
準備が整ったので冒険に出発! ⇦ イマココ
ホームセンターのような大きな店で購入したリュックを背負いブラッキーとともにその街を後にした。
ポケモンの情報はポケモン図鑑に撮影、記録することで送信されるらしく毎回連絡を取る必要はない。俺は依頼されたとうりに様々な土地を巡りながらポケモンを撮影、記録する旅に出ることとなった。この仕事は未踏の土地に訪れるなど危険も多いらしく人材不足であったらしい。本来であれば実績のある者、例えば様々な地方のジムバッチを獲得している者やポケモンバトルチャンピオンなどに依頼するそうだ。俺は例外中の例外。実際に研究職員の人とバトルをしその実力を認めてもらうことが出来た。
このポケモン図鑑はそれだけの機能ではない。同じ依頼を受けている仕事仲間同士の連絡のやり取りも可能。他の人のポケモン図鑑ともリンクしているらしくすでに相当数が埋まっている。それでもまだ知られていないポケモンは多いいらしい。他の機能としてはマップやカレンダー、メモ帳などもうこれはスマホと言っていいだろう。
今は舗装のされた道を歩いている。今までサバイバル生活を送っていたのでしばらくは人のいる土地を巡ろうと考えている。それに今の俺の手持ちは隣を歩いているクロのみ。モンスターボールも5つほど購入したし仲間を増やしたいと思っている。野生のポケモンを無理やり捕まえるのはなんだか嫌なので出会いがあれば仲間にしていきたいと考えている。
青い空を見上げ雲が流れていくのを眺めながら一歩一歩歩いていく。片足にモフモフを感じ下を向くと前見て歩けとでも言いたげな表情のクロがいる。かわいいやつめと思いながらクロの頭を撫でてやりまた歩き始めた。