投下だ投下だ~
俺とクロは森の中を走り続けた。何匹かのポケモンと戦闘になったが障害になることなく進み続けた。途中、休憩を挟み自身とクロの体力を回復させる。俺はオレンの実。クロにはオボンの実とヒメリの実を食べさせHPとPPを回復させる。心なしかオレンの実の回復量が上がっているように感じたのだが気のせいだろうか?
その後も何度か戦闘を繰り返したが一時間もしない内に森の切れ目へと辿り着いた。
「やっと森から抜けれ っ!?」
「ヴラッキィー」
クロもすぐさま戦闘態勢へ移行する。
「クロ、 ふるいたてる を出来るだけ積んどけ!!」
周りを確認する限り敵の姿は確認できない。が、この威圧感はついさっき感じた圧迫感のそれだ。それも敵意マシマシの明らかに敵対的な奴。
後方は今抜けてきた森。前方に広がるのは砂砂漠。潮の香りがほんの微かにすることから海まではそこまで遠くないのかもしれない。それにしても見当たらない。何度見渡しても砂、砂、砂。
「は?」
後ろの森が砂嵐で確認できなくなった。俺たちはそこまで移動してないはずなのに見ることかできない。尚も砂嵐の勢いは強まり極近くの状況しか確認できないようになる。
今、何かが動いた。
「左後方、イカサマ!」
「ルゥラッ!」
クロの攻撃は見事命中する。一瞬見えたのは一言でいえば黒いキツネ。黒い体毛に金糸の混ざったジャッカルという表現が一番近いかもしれない。
イカサマで投げ飛ばした後の身軽さからしてあまりダメージは入っていないように見える。
クロは隙さえあれば ふるいたてる を積んでくれている。
「クロ、油断するなよ」
「ヴラッキッ」
戦闘の速度は上がっていく。砂嵐の中から奇襲をするように攻撃が繰り返される。俺は直観に従い、クロに指示を出し続けた。上から、後ろから、範囲攻撃、下からの攻撃も発生しそのたびにギリギリで対応していく。
近接攻撃に対しては イカサマ で受け流し、俺を巻き込む範囲攻撃には まもる で対処する。下からの奇襲は あなをほる か?クロと同じ方向に飛び下がり バークアウト を命中させた。
どの攻撃も後手の咄嗟に出した技であるため、あまりダメージは期待できない。イカサマ も相手をよく確認でき、周りの状況が認識できる状況下でなければ最大ダメージは至難の業だ。
そして砂嵐が晴れる。
晴れた後そこにいたのは綺麗な毛並みで傷らしい傷はない無傷のポケモン。全体的に黒の体毛だが金の体毛が刺青の様に模様を描いている。その爪は鋭く、体長はウインディと変わらないように思う。この大きさで黒い見た目から狼と表現してもいいかもしれないが特徴的な大きな耳と尻尾はキツネの様にも見える。やはり一番しっくりとくる表現はジャッカルだ。
姿が見えたのならばやるべきことは決まっている。
「クロ、つぶらなひとみ」
相手は攻撃を警戒していたのか命中し・・・。
「後ろ、まもる!」
後ろに展開された半透明の障壁は禍々しい紫色に染まった凶刃を防ぎ切った。目の前で見ていたポケモンの姿は空気に溶けるように消えてゆく。
「 かげぶんしん を置いとくって初見殺しかよ」
冷や汗が流れる。とにかく強い、素早さと物理攻撃力が高いのだろう。それでいて他のステータスも低いという訳ではない。今までの野生のポケモンの比じゃない強さだ。
すなあらし を使てこないところを見ると特性がすなおこしか何かだったのか?こちらがまともに行動できなくなるほどの砂嵐を発生させる特性って酷いようにも思うが・・・。
「バークアウト!」
まもる が解除されると同時に バークアウト を放つ。
相手が空中にいたこともあり命中するがあまり堪えている様には見えない。むしろ歯牙にもかけない用に平気な様子。
たぶん、悪タイプは持っている。これで残りのタイプが岩か鋼だったら有効打がないことになるのだが難易度高すぎないか?
今わかっている技は あなをほる かげぶんしん つじぎり ってところか?あともう一つ範囲攻撃技があったはずがだ砂嵐で確認ができなかった。
ゲームの考え方はダメだ。クロも四つ以上の技を使っているのだから当てにならない。
そうこうしていると正面から突っ込んでくる。速い、 でんこうせっか か しんそく か?
「クロ、イカサマ」
俺には視認することも難しかったがクロは反応しイカサマを確実に命中させた。だが、相手の攻撃が命中していることには変わりなく着地の時に少しふらついている。
「 つきのひかり で態勢を整えるぞ」
クロは つきのひかり で体力を回復している。俺は油断なく相手を見据えているが攻撃をくらったことに驚いている様子。瞬きも忘れるくらいじっと見据えていると相手の口角が上がったように感じた。
背筋が侵されるようにゾクッと体中を駆け巡る。
(やばい、ヤバい、ヤバイ)
戦闘が激化する。相手はターゲットをクロに絞った。俺は巻き込まれないように後方へ大きく移動するというか衝撃波で飛ばされた。
クロは相手の しんそく を織り交ぜた緩急をつけた攻撃に翻弄されている。目は追いついていけるようだが イカサマ のタイミングをずらされうまく受け流せていない。
しんそく や つじぎり はインパクトのタイミングををずらし イカサマ で受け流す。
つぶらなひとみ で少しでも近接ダメージを抑えようと試行錯誤する。
かぜぶんしん に釣られそうになるが直観かすぐに判断し致命傷は避けてくれた。
バークアウト で距離を取らせ つきのひかり で回復を入れるがダメージレースは追い付かない。
範囲攻撃の ヘドロウェーブ や アシットボム を まもる で避ける。被弾したら能力ダウンを起こす致命的な技だ。
まもる を連続で出さざる負えないときは つきのひかり で耐久に持ち込みその場を凌ぐ。
かげぶんしん が時間とともに増えていきより複雑な攻撃になる。視界に映る光景はほぼ飽和攻撃だ。
とっておき を使いすべての分身体を無理矢理消し去った。5しかないPPを使い切ってでも高速で処理した。
俺もクロのサポートをするように指示を出したがあまり手助けにはなっていないかもしれない。
分身を消したところでクロも相手も足が止まった。
相手もこれだけの運動量は体に負担があるのか相応の疲れがみえる。分身体を一掃するときに使った とっておき が命中したのだろう右前足を庇うような姿勢でクロを見据えている。
クロの負傷具合はそれ以上だ。回数から考えて つきのひかり も今ので使い切ったか。多分体力量は5割ちょいぐらいとギリギリ回復した状況だ。致命傷はないが細かな怪我が目立ち消耗が激しい。
次が最後の交戦か・・・。
できるか?いや、やるしかない。あのスーパーマサラ人だって道具もなしにメガシンカしたんだ。波導だってエネルギーと何ら変わらない。島の大技ここで使わなくていつ使うんだ。
自身の体に流れる波導に意識を向ける。腕を交差させ、流れるようにお決まりのポーズをとっていく。あのおっちゃんの動きを思い出せ、ゲームの画面越しだとしてもそう難しい動きではなかった。
体中の波導が俺から離れ、クロへと注ぎ込まれる。
「『ブラックホールイクリプス』」
悪Zの技が炸裂する。Z技はその全てが必中。発動した時点で命中することは決まっている。
「あ、ぇ・・・」
身体の全身から何かが抜けるかのように力が入らなくなった。霞む視界に映る光景は相手ポケモンが崩れ落ちる姿とクロも全力を出し切ったのか座り込む姿だった。
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後ろで主人が崩れ落ちた気配がする。主人は大丈夫だろうか?ここは故郷の島ではないし補助の道具も持っていなかったはず。だが、発動した。相当な無理が主人の体にかかっているはずだ。ポケモンである私ですらこの有様なのだ。主人が無事であるかどうか不安でしかない。
ザ・・・、
金黒のポケモンが立とうとしている。
あれだけの攻撃をくらってまだ立つというのか。これ以上の手段は持ち合わせていないぞ・・・。
金黒は倒れ伏す私と主人を順にみるとこちらを見てとても楽しそうな嬉しそうな笑みを浮かべた。
徐に天を見据えると首をゆっくりと動かしていく。
「クルゥオォーーーン・・・・・・」
一声鳴くと此方へと近づいてくる。
私はどうにか相対しようと立ち上がろうとするが力が入らない。足掻こうとしているうちに金黒は目の前まで来てしまった。
金黒を見上げてみたがついさっきまで感じていた絶望に叩き込むかのような殺気は霧散している。何が何だかわからずに考えていると首裏あたりを甘噛みで持ち上げられてしまった。子供のように。
「ぅらっきー!?」
主人の元まで運ばれ近くに降ろされる。戦闘は終わったと理解し主人に触れてみるが酷く冷たい。
「ッ!?」
何度も起きてもらうように叩くが反応がない。時間が経つにつれ顔色はどんどん悪くなっていき、体は氷のように冷たくなってしまっている。
残りの力を振り絞って いやしのすず を使うが何の意味もない。
「っらっき ぶらっき ぅぁっぃ・・・・・・」
「クヴォン」
「ぁっきぃ?」
なんだろうか?主人を助ける方法でもあるのだろうか?こんなに冷たくなってしまった主人を助ける方法なんてあるのだろうか?
「ヴォン」
そういうと空を見上げている。私もつられて空を見上げた。
その空には大きな虹色が飛んでいた。通り道は雲が逃げるように晴れ渡り虹色が視界いっぱいに広がる。気づくと私の周りでは様々なポケモンが空を見上げていた。そのポケモンの中には私たちがここに来るまでに戦闘をしたポケモンもいる。だが、誰もいがみ合うことなく同じ感動を共有するかのように空を見上げていた。
虹の空から何かが落ちてくる。それは風に揺られるように落ちてくるのにどこかに吹き飛ばされることなく主人の上へと降りてきた。
降りてきたのは虹色に輝く一枚の羽。主人の上に降りてきた羽は主人に積もるのではなくそのまま透過するように主人の中へと入っていく。
するとどうだろう。冷たかった主人が生気が満ちるように温かくなる。温かさは消えることなく顔色も良くなっていき主人は静かな呼吸を繰り返し始めた。
「クオン」
金黒はそれを見届けたと話その場を去っていった。気づくと周りいたポケモン達もそれぞれの場所に戻っている。
少し放心しつつも助かったことは理解し私は海に向けて行動を移す。
主人を背に乗せ落ちないようにし前垂れた両腕を銜え岩砂漠を歩き始めた。
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『少しは頭が冷えましたか?』したか?』
「ゥオン」
『人間も悪い者ばかりではないのですよ?』ですよ?』
「・・・」
『私たちの争いは人間を巻き込むべきものではありません 怪我を直すのは今回だけですからね?』からね?』
「・・・」
『『わかりました?』』
「・・・ォン」